不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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闘技祭 決戦編

変装完了

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――数分後、無事に全員が着替えを終えると部屋の中には5人の「女子」が存在した。顔を別人に変装し、クローゼットに入っていた女性物の衣服に着替え終えると、レナは自分の格好を眉を顰める。


「まあ、女性物の服しかなかったのは仕方ないけどさ……こんな服を着る羽目になるとは」
「存外似合っているでござるよ」
「おお~兄貴、完全な美少女ですよ」
「……イケてる」
「わあっ……レナたん可愛いよっ!!」


レナの格好は森人族の女性が好みそうな緑色で統一された上着とズボンに履き替え、出来る限り筋肉が目立たない様に全身を覆い隠すためにマントも羽織る。スラミンの分身体で顔の形を少し変化させているが、元々は森人族の血筋を継いでいるので顔立ち自体は悪くはなく、髪の毛の方も元に戻す。


「元々痩せてたし、ちょっと工夫を加えただけでこんなに可愛くなるなんて……流石は兄貴っす!!これなら裸にされなければばれないっす!!」
「嬉しくねえよ」
「むうっ……言葉遣いが男のまま。完全に女になりきらないと駄目」
「嬉しくないざます」
「性格の悪い貴族の家庭教師みたいな口調になってますよ」


晴れて初の女装を体験する事になったレナは溜息を吐き出し、もしもアイリスと交信できたら我々ていたのは間違いないだろう。最もアイリスは前にレナが女装が似合うと言っていた事もあるため、意外と受け入れられるかもしれない。


「それより皆はどう?ハンゾウは……おお、なんか雰囲気が変わっていいね」
「そ、そうでござるか?拙者はいつもの服の方が落ち着くのでござるが……」


ハンゾウは短パンにシャツというボーイッシュさを感じさせる服装に着替えており、普段の彼女ならば有り得ぬ露出度が高い服装だった。レナに見つめられて恥ずかしそうにハンゾウは身を隠す。ちなみに彼女はレナが変装用に普段から所持している「銀砂」を利用して髪の毛を染めており、現在は銀髪のロングヘアーになっている。


「エリナの方は……え、ブレザー?そんな物まで入ってたの?逆に目立つ気がするんだけど……」
「この服の事を知ってるんでか?珍しいから来てみたんですけど、ちょっとスカートの丈が短くてパンツ見えそうなんですけど……」


エリナが着込んでいるのは何故か地球の「ブレザー」であり、過去に訪れた異世界人が残した文化で作り出されたのか、少しスカートの丈が短い事を除けば間違いなく女子高生が着用するブレザーで間違いなかった。ちなみにエリナは髪型をツインテールに変えており、変装した顔立ちが童顔なので意外と違和感はなかった。


「ティナはセーラー服か。どうしてそれを敢えてチョイスしたのかはともかく、その髪型と眼鏡をかけていると委員長キャラだな」
「いいんちょ?」


ティナの方は地球の「セーラー服」を着用しており、現在の彼女は髪の毛を三つ編みにまとめ、伊達メガネを装着していた。ちなみにこちらの眼鏡もクローゼットの衣服のポケットに入っていた物であり、現在の彼女の顔立ちが清楚さを感じさせる凛々しい表情を浮かべているので中身はともかく、外見は真面目な女子高生にしか見えない。


「最後はコトミンか。お前には期待してたのに……がっかりだよ!!」
『これ、気に入った』


5人の中でもスタイルが良く、普段からスクール水着のような衣服を身にまとっているコトミンが変装したのは赤毛熊をモチーフにした「着ぐるみ」だった。どうしてそんな物まで入っているのかは不明だが、本物の赤毛熊と比べると可愛らしい顔立ちをしており、このまま風船でも持たせれば遊園地で働くマスコットキャラクターにも見えなくもない。


「何なんだこの光景は……変装したのに逆に目立つって意味ない気がするんだけど」
「まあ、逆にこれだけ目立てば兵士達も拙者達の存在に気付かないのでは?」
「どうっすかね……私達はともかく、コトミンさんは不審者として連行されませんか?」
『むうっ……この着ぐるみ、中が暑くて人魚族にはきつい。やっぱり着替える』
「え~……可愛いのに」


着ぐるみを着用していたコトミンだが、予想よりも内部に蓄積される熱がきつかったのかあっさりと脱ぎ捨てる。人魚族であるコトミンにとっては脱水症状を起こすと普通の人間よりも急速的に身体に負担が掛かるため、あまり厚着は出来ない。そのため、彼女は着ぐるみを脱ぎ捨てて選んだのは露出度の多い衣服に限られる。


「……しょうがないからこれ1枚でいい」
「ワンピースか。じゃあ、後は髪型をポニーテールでもすればいいか。ほら、結んであげるからこっちに来なさいもう」
「兄貴、何だかお母さんみたいっす」


着替え終えたコトミンの髪の毛をリボンでまとめると、遂にレナ達は変装を完了する。この状態ならば知り合いでも一目見ただけではレナ達の正体は気付かれる事はないだろうが、問題はここからどうやって抜け出すかだった。
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