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闘技祭 決戦編
擬態変装
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――仮面の剣士の手助けにより逃走に成功したレナ達は兵士の追跡を逃れて隠れていた。最初に避難先に選んだのは地下の選手の控室であり、200以上も存在する部屋の内の1つに入り込む。鍵の類はレナの能力で解除し、通路の奥側の部屋に隠れる事に成功した。
「……やっと休憩できそうだな」
「そうでござるな。部屋の中は防音なので普通に喋っても平気なのは助かるでござる」
「王女様、怪我はないですか?」
「うん、大丈夫だよ~」
「レナ、喉か湧いたら言う。スラミンが水を蓄えてるから」
「ぷるぷるっ」
「それ、スラミンの口から出る水だろ。口移しさせる気か」
ベッドの上にティナは座り込み、出入口の扉はハンゾウが見張る。一応は鍵をかけているとはいえ、部屋の中は防音なので通路側の様子を伺えない事が厄介だが、逆に言えばレナ達が声を抑える必要もない。最も兵士たちがこの地下の控室に到着するのも時間の問題であり、何時までも逃げる事は出来ない。
「参ったな……まさかこうも早く強硬手段に出るとは予想外だった」
「油断してたでござる。しかし、レナ殿がヨツバ王国の王女殿と手紙のやり取りを行っていたのは驚きでござる。二人はどういう関係でござる?」
「友達だよ。でも、まさか偽手紙を用意するなんて……あの王妃はどれだけ狡猾なんだよ」
「ごめんね……私のせいでこんな事になっちゃって」
「何言ってんすか!!王女様のせいじゃないですよ!!全部私が悪いっす……氷雨の冒険者だからって信用したのが間違いでした」
落ち込むティナをエリナが必死に励ますが、今は一刻も早く誤解を解くことが先決であり、このままでは犯罪者として捕まってしまう。どうにかティナをヨツバ王国の国王達の元へ返さなければならないのだが、国王達が滞在している闘技場内の部屋にも警備の兵士が配備されているだろう。
「しょうがない……ここはスラミンの能力で変装しよう」
「え?スラミンちゃん?」
「おおっ、スライムの擬態能力でござるな?スライムを身体に張り付けて別人に変装し、王女様を安全な場所に避難させれば……」
「マジっすか!!そんなに凄い能力をスラミンさんが持っているんですか?」
「ぷるぷるっ」
レナ達の視線がコトミンの頭の上にいるスラミンに集まり、スラミンは「任せろ」とばかりに飛び跳ねる。忘れがちだがコトミンの衣服を形成しているのはスラミンの本体であり、普段から接しているのはスラミンの分身体である。スライムの特性である「擬態」の能力を利用すれば別人に成りすます事も出来るため、レナはスラミンを両手で持ち上げる。
「おめえの出番だぞスラミン」
「ぷるるんっ」
「お、おめえ……?」
「じゃあ、まずは分身を作って皆に張り付いてね」
スラミンを持ち上げたレナは両手で鷲掴み、そのまま左右に引っ張る。まるでお餅の様にスラミンの身体が伸びるが、やがて二つに分断してしまう。
『ぷるんっ』
「わあっ!?スラミンちゃんが増えた!?」
「よし、今度はエリナとハンゾウも手伝ってよ。ほら、反対側を持って!!」
「こ、こうっすか?」
「拙者も!?」
2体に別れたスラミンを両手で構えたままレナはハンゾウとエリナを手伝わせて再びスラミンの身体を引き延ばし、今度は1メートル程伸びた所で分断し、計4体の小型スラミンが誕生した。
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「ぷるんっ」
「ぷるっくりんっ」
「わあ~……可愛い!!」
「でも1匹だけ鳴き声がおかしかったような……」
掌に収まるほどに小さくなったスラミン達にティナは興奮するが、このサイズだと全身を覆いこむ事は出来ないため、顔を変装する事しか出来ない。しかし、顔だけでも変えられれば変装としては十分であり、レナはスラミン本体を見に纏うコトミン以外に分裂したスラミンを渡す。
「よし、これで準備は出来た。後はスラミンを顔に張り付けて偽装すれば顔でばれることはなくなる」
「しかし、大丈夫でござるか?顔に張り付けて窒息しないでござる?」
「その辺はちゃんとスラミンも気を遣うから大丈夫。鼻と口の部分には張り付かないよ。後は髪型と来ている衣服を変えないとな……」
「レナ、この部屋の人の服がいっぱいある」
「丁度良かった。ならこの部屋の人には悪いけどしばらくの間だけ貸して貰おう」
コトミンがクローゼットを開くと本来の部屋の持ち主の持ち物なのか女性物の衣服が並んでおり、緊急時という事で持ち主には悪いが衣服を借りる事にした。無論、黙って持ち込むのは忍びないので詫びとして机の上に金貨を1枚置いておく。
「じゃあ、皆早く着替えて。ほら、俺に遠慮しないでいいから!!」
「……いやんっ」
「は、恥ずかしいよぉっ……」
「兄貴大胆っすね!!」
「……無論、冗談でござるよな?」
「すいません」
レナが女性陣に着替えるように指示を出すと、コトミンは棒読みで胸を隠し、ティナは恥ずかし気にスカートに手を伸ばし、エリナは何故か尊敬したように上着に手を掛けるが、ハンゾウが冷たい視線で腰の刀に手を伸ばしのでレナは女性陣が着替えている間は視線を外す事にした。
※カタナヅキ「ちっ……ハンゾウがいなければラブコメの定番に持ち込めたのに(´・ω・)」
スラミン「ぷるぷるっ(兄弟いっぱい出来た)」
「……やっと休憩できそうだな」
「そうでござるな。部屋の中は防音なので普通に喋っても平気なのは助かるでござる」
「王女様、怪我はないですか?」
「うん、大丈夫だよ~」
「レナ、喉か湧いたら言う。スラミンが水を蓄えてるから」
「ぷるぷるっ」
「それ、スラミンの口から出る水だろ。口移しさせる気か」
ベッドの上にティナは座り込み、出入口の扉はハンゾウが見張る。一応は鍵をかけているとはいえ、部屋の中は防音なので通路側の様子を伺えない事が厄介だが、逆に言えばレナ達が声を抑える必要もない。最も兵士たちがこの地下の控室に到着するのも時間の問題であり、何時までも逃げる事は出来ない。
「参ったな……まさかこうも早く強硬手段に出るとは予想外だった」
「油断してたでござる。しかし、レナ殿がヨツバ王国の王女殿と手紙のやり取りを行っていたのは驚きでござる。二人はどういう関係でござる?」
「友達だよ。でも、まさか偽手紙を用意するなんて……あの王妃はどれだけ狡猾なんだよ」
「ごめんね……私のせいでこんな事になっちゃって」
「何言ってんすか!!王女様のせいじゃないですよ!!全部私が悪いっす……氷雨の冒険者だからって信用したのが間違いでした」
落ち込むティナをエリナが必死に励ますが、今は一刻も早く誤解を解くことが先決であり、このままでは犯罪者として捕まってしまう。どうにかティナをヨツバ王国の国王達の元へ返さなければならないのだが、国王達が滞在している闘技場内の部屋にも警備の兵士が配備されているだろう。
「しょうがない……ここはスラミンの能力で変装しよう」
「え?スラミンちゃん?」
「おおっ、スライムの擬態能力でござるな?スライムを身体に張り付けて別人に変装し、王女様を安全な場所に避難させれば……」
「マジっすか!!そんなに凄い能力をスラミンさんが持っているんですか?」
「ぷるぷるっ」
レナ達の視線がコトミンの頭の上にいるスラミンに集まり、スラミンは「任せろ」とばかりに飛び跳ねる。忘れがちだがコトミンの衣服を形成しているのはスラミンの本体であり、普段から接しているのはスラミンの分身体である。スライムの特性である「擬態」の能力を利用すれば別人に成りすます事も出来るため、レナはスラミンを両手で持ち上げる。
「おめえの出番だぞスラミン」
「ぷるるんっ」
「お、おめえ……?」
「じゃあ、まずは分身を作って皆に張り付いてね」
スラミンを持ち上げたレナは両手で鷲掴み、そのまま左右に引っ張る。まるでお餅の様にスラミンの身体が伸びるが、やがて二つに分断してしまう。
『ぷるんっ』
「わあっ!?スラミンちゃんが増えた!?」
「よし、今度はエリナとハンゾウも手伝ってよ。ほら、反対側を持って!!」
「こ、こうっすか?」
「拙者も!?」
2体に別れたスラミンを両手で構えたままレナはハンゾウとエリナを手伝わせて再びスラミンの身体を引き延ばし、今度は1メートル程伸びた所で分断し、計4体の小型スラミンが誕生した。
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「ぷるんっ」
「ぷるっくりんっ」
「わあ~……可愛い!!」
「でも1匹だけ鳴き声がおかしかったような……」
掌に収まるほどに小さくなったスラミン達にティナは興奮するが、このサイズだと全身を覆いこむ事は出来ないため、顔を変装する事しか出来ない。しかし、顔だけでも変えられれば変装としては十分であり、レナはスラミン本体を見に纏うコトミン以外に分裂したスラミンを渡す。
「よし、これで準備は出来た。後はスラミンを顔に張り付けて偽装すれば顔でばれることはなくなる」
「しかし、大丈夫でござるか?顔に張り付けて窒息しないでござる?」
「その辺はちゃんとスラミンも気を遣うから大丈夫。鼻と口の部分には張り付かないよ。後は髪型と来ている衣服を変えないとな……」
「レナ、この部屋の人の服がいっぱいある」
「丁度良かった。ならこの部屋の人には悪いけどしばらくの間だけ貸して貰おう」
コトミンがクローゼットを開くと本来の部屋の持ち主の持ち物なのか女性物の衣服が並んでおり、緊急時という事で持ち主には悪いが衣服を借りる事にした。無論、黙って持ち込むのは忍びないので詫びとして机の上に金貨を1枚置いておく。
「じゃあ、皆早く着替えて。ほら、俺に遠慮しないでいいから!!」
「……いやんっ」
「は、恥ずかしいよぉっ……」
「兄貴大胆っすね!!」
「……無論、冗談でござるよな?」
「すいません」
レナが女性陣に着替えるように指示を出すと、コトミンは棒読みで胸を隠し、ティナは恥ずかし気にスカートに手を伸ばし、エリナは何故か尊敬したように上着に手を掛けるが、ハンゾウが冷たい視線で腰の刀に手を伸ばしのでレナは女性陣が着替えている間は視線を外す事にした。
※カタナヅキ「ちっ……ハンゾウがいなければラブコメの定番に持ち込めたのに(´・ω・)」
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