文字の大きさ
大
中
小
287 / 2,093
闘技祭 決戦編
ハヤテの行方
「こっちだ!!早く来いよ!!」
「ちょっと待って……まだ身体の痺れが残ってて上手く走れない」
「大丈夫か?」
「ああ、もう!!ほら、肩を貸してやるから早くしろよ!?」
ダインの肩を借りながらレナは曲り角を通過する。後方から兵士達が追いかけてくる足音は聞こえてくるが、ゴンゾウが闘拳を身に付けて立ち塞がる。
「ここは俺に任せろ。時間を稼ぐ」
「馬鹿、何を言ってんだよ!?ここで捕まったら僕達は犯罪者なんだぞ!?」
「しかし……このままでは追いつかれるぞ?」
「大丈夫、俺に考えがある……ダイン、前に闇属性の初級魔法を使った事があるよね?それは今も出来る?」
「え?別に使えるけど……何する気だよ?」
「いいから準備をして……俺が合図したら魔法を発動させて」
レナはゴンゾウを下がらせると、兵士達が駆け寄る前にダインに杖を構えさせる。徐々に兵士の足音と声が大きくなり、ダインが不安そうな表情を浮かべてレナに問い質す。
「お、おい!!まだなの!?」
「もうちょっと……今!!」
「や、闇夜!!」
気配感知と魔力感知の能力を発動してレナは兵士達が曲り角に到着した瞬間を見計らい、ダインに合図を送って魔法を発動させる。彼の装備する杖先から黒煙を想像させる闇属性の魔力の「黒霧」が誕生し、その直後にレナも掌を構えて風圧の魔法を発動させた。
「風圧!!」
「うわぁっ!?」
「な、なんだ!?」
「煙っ!?」
曲り角から現れた兵士達にダインとレナの魔法で発生した黒霧が襲い掛かり、煙幕のように彼等の視界を封じる。しかも通常の煙と違い、魔法で構成された黒霧は兵士達の身体に纏わりつき、視界を完全に塞ぐ。さらに後続の兵士達は前方を走っていた兵士が急に立ち止まった事で勢いを殺しきれず、そのまま兵士達が衝突してしまう。
「ぎゃあっ!?」
「あいでっ!?」
「馬鹿、押すなっ!?何してるんだ!!」
「ま、前が見えないんだよ!!」
曲り角で兵士達の混乱する声が響き渡り、しばらくは時間を稼げると判断したレナは今の内に先に進む事をジェスチャーで二人に伝えると、ゴンゾウとダインも頷く。急いで3人は通路を駆け抜け、何度か分かれ道を移動して観客席に続く階段の前まで移動した。
「ふうっ……こ、ここまで移動すれば大丈夫じゃないか?」
「もう兵士は追っていないようだが……」
「一応は助かった……のかな?二人のお陰で助かったよ」
「ぷるぷるっ!!」
「ぷるんっ!!」
「ああ、うん。スラミンとヒトミンもありがとうね」
階段の前でレナ達は息を荒げながらも兵士達の追跡を振り切った事を確認し、安堵の息を吐く。スラミンとヒトミンを抱き上げながらレナは階段の上を確認し、休憩の時間もそろそろ終わりを迎えようとしているので観客席に戻る人間も多かった。
「予選もあと半分か……そういえば剣聖で出場していない奴がまだ居たよな?」
「ああっ……ハヤテとかいう奴だろ?俺、あんまり知らないんだけど強いのか?」
「なんでも見た目はガキなのに鬼のように強いらしいぜ。まあ、そいつが本当に強いのかこれから確かめられるだろ」
「それもそうだな」
通り過ぎる人間の中でハヤテの名前を口にする人間を見かけ、レナは未だにハヤテが出場していない事を思い出す。氷雨の剣聖の中でもゴウライに次ぐ実力者であり、シュンの師匠でもある。しかし、現在は王妃の指示を受けてレナの命を狙っているらしく、未だに一度も姿が見えていない事に違和感を抱く。
「ねえ、二人は前半の試合の時に試合場でハヤテの姿を見た?」
「え?さあ……そこまで詳しく見てなかったから知らないよ」
「俺はずっと探していたが、少なくとも見当たらなかったな……見落としていた可能性もあるが」
観客席にいたダインとゴンゾウも試合場で待機していた参加選手の中にハヤテを見た覚えはなく、レナは彼女が試合場には居なかったのではないかと考える。実際にミドルは試合場ではなく闘技場の通路側で待機しており、ハヤテも同様に試合場に存在しなかった可能性も高い。
(ハヤテは何処に居るんだ?俺の命を狙っているのなら闘技場にいると思うけど、ここまで姿を見せないのは気になるな……王妃の傍に居るのか?そもそも王妃はどうして姿を見せないんだ?)
大会予選が開始されてから既に数時間が経過しているが、肝心の王妃は姿を見せていない事も気にかかり、レナは嫌な予感を覚える。こんな時にアイリスと交信出来たら心強いが、今の状況では彼女の力は頼れない。
「おい、レナ……こんな所で考え込んでないで一先ずは観客席に向かわないのか?多分、ここにいるよりも兵士には見つかりにくいと思うけど……」
「そうだな。観客席には大勢の種族が居る。その中に紛れれば簡単には見つからないだろう」
「……それもそうだね」
二人の言葉にレナは頷き、とりあえずは観客席で身を隠す事にした。予選試合は既に終えているのでレナが試合場に戻る必要もなく、ハンゾウがヨツバ王国の人間にティナの無事を知らせる事が出来れば捜索も打ち切られる事は間違いなく、もうしばらく時間を稼ぐことが出来れば兵士の捜索も終了するだろう。
「ちょっと待って……まだ身体の痺れが残ってて上手く走れない」
「大丈夫か?」
「ああ、もう!!ほら、肩を貸してやるから早くしろよ!?」
ダインの肩を借りながらレナは曲り角を通過する。後方から兵士達が追いかけてくる足音は聞こえてくるが、ゴンゾウが闘拳を身に付けて立ち塞がる。
「ここは俺に任せろ。時間を稼ぐ」
「馬鹿、何を言ってんだよ!?ここで捕まったら僕達は犯罪者なんだぞ!?」
「しかし……このままでは追いつかれるぞ?」
「大丈夫、俺に考えがある……ダイン、前に闇属性の初級魔法を使った事があるよね?それは今も出来る?」
「え?別に使えるけど……何する気だよ?」
「いいから準備をして……俺が合図したら魔法を発動させて」
レナはゴンゾウを下がらせると、兵士達が駆け寄る前にダインに杖を構えさせる。徐々に兵士の足音と声が大きくなり、ダインが不安そうな表情を浮かべてレナに問い質す。
「お、おい!!まだなの!?」
「もうちょっと……今!!」
「や、闇夜!!」
気配感知と魔力感知の能力を発動してレナは兵士達が曲り角に到着した瞬間を見計らい、ダインに合図を送って魔法を発動させる。彼の装備する杖先から黒煙を想像させる闇属性の魔力の「黒霧」が誕生し、その直後にレナも掌を構えて風圧の魔法を発動させた。
「風圧!!」
「うわぁっ!?」
「な、なんだ!?」
「煙っ!?」
曲り角から現れた兵士達にダインとレナの魔法で発生した黒霧が襲い掛かり、煙幕のように彼等の視界を封じる。しかも通常の煙と違い、魔法で構成された黒霧は兵士達の身体に纏わりつき、視界を完全に塞ぐ。さらに後続の兵士達は前方を走っていた兵士が急に立ち止まった事で勢いを殺しきれず、そのまま兵士達が衝突してしまう。
「ぎゃあっ!?」
「あいでっ!?」
「馬鹿、押すなっ!?何してるんだ!!」
「ま、前が見えないんだよ!!」
曲り角で兵士達の混乱する声が響き渡り、しばらくは時間を稼げると判断したレナは今の内に先に進む事をジェスチャーで二人に伝えると、ゴンゾウとダインも頷く。急いで3人は通路を駆け抜け、何度か分かれ道を移動して観客席に続く階段の前まで移動した。
「ふうっ……こ、ここまで移動すれば大丈夫じゃないか?」
「もう兵士は追っていないようだが……」
「一応は助かった……のかな?二人のお陰で助かったよ」
「ぷるぷるっ!!」
「ぷるんっ!!」
「ああ、うん。スラミンとヒトミンもありがとうね」
階段の前でレナ達は息を荒げながらも兵士達の追跡を振り切った事を確認し、安堵の息を吐く。スラミンとヒトミンを抱き上げながらレナは階段の上を確認し、休憩の時間もそろそろ終わりを迎えようとしているので観客席に戻る人間も多かった。
「予選もあと半分か……そういえば剣聖で出場していない奴がまだ居たよな?」
「ああっ……ハヤテとかいう奴だろ?俺、あんまり知らないんだけど強いのか?」
「なんでも見た目はガキなのに鬼のように強いらしいぜ。まあ、そいつが本当に強いのかこれから確かめられるだろ」
「それもそうだな」
通り過ぎる人間の中でハヤテの名前を口にする人間を見かけ、レナは未だにハヤテが出場していない事を思い出す。氷雨の剣聖の中でもゴウライに次ぐ実力者であり、シュンの師匠でもある。しかし、現在は王妃の指示を受けてレナの命を狙っているらしく、未だに一度も姿が見えていない事に違和感を抱く。
「ねえ、二人は前半の試合の時に試合場でハヤテの姿を見た?」
「え?さあ……そこまで詳しく見てなかったから知らないよ」
「俺はずっと探していたが、少なくとも見当たらなかったな……見落としていた可能性もあるが」
観客席にいたダインとゴンゾウも試合場で待機していた参加選手の中にハヤテを見た覚えはなく、レナは彼女が試合場には居なかったのではないかと考える。実際にミドルは試合場ではなく闘技場の通路側で待機しており、ハヤテも同様に試合場に存在しなかった可能性も高い。
(ハヤテは何処に居るんだ?俺の命を狙っているのなら闘技場にいると思うけど、ここまで姿を見せないのは気になるな……王妃の傍に居るのか?そもそも王妃はどうして姿を見せないんだ?)
大会予選が開始されてから既に数時間が経過しているが、肝心の王妃は姿を見せていない事も気にかかり、レナは嫌な予感を覚える。こんな時にアイリスと交信出来たら心強いが、今の状況では彼女の力は頼れない。
「おい、レナ……こんな所で考え込んでないで一先ずは観客席に向かわないのか?多分、ここにいるよりも兵士には見つかりにくいと思うけど……」
「そうだな。観客席には大勢の種族が居る。その中に紛れれば簡単には見つからないだろう」
「……それもそうだね」
二人の言葉にレナは頷き、とりあえずは観客席で身を隠す事にした。予選試合は既に終えているのでレナが試合場に戻る必要もなく、ハンゾウがヨツバ王国の人間にティナの無事を知らせる事が出来れば捜索も打ち切られる事は間違いなく、もうしばらく時間を稼ぐことが出来れば兵士の捜索も終了するだろう。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。