不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
321 / 2,091
都市崩壊編

久々の交信

しおりを挟む
『分かりました。なら、私は闘技場の様子を調べてきますね……あ、そうだ。ついでにこれを渡して置きます』
「……なにこれ?」


ホネミンは思い出したように自分のフードから白色に光り輝く液体が詰められた小瓶をレナに渡す。不思議そうにホネミンに視線を向けると、彼女はレナだけに聞こえるように囁く。


『実はこれ、私が改良を加えた聖水なんです。普通の回復薬よりも効果は高いし、魔力の回復速度を一時的に高めます。ここに来る途中でどうにか作っていたんですけど、もしも大怪我を負ったらこれを使ってください』
「分かった。ありがとう……ホネミンも気を付けなよ」
『大丈夫ですよ。最悪の場合、死体のふりして乗り切りますから』


半ば冗談混じりのホネミンの返事にレナは苦笑し、彼女は城壁を離れるために下の階段に降りる。残されたレナ達は街に向かう前に南門の城門だけでも解放するために行動を移す。


「おい、すぐに城門を開け!!町の人達の逃げ道を作れ!!」
「そ、そんな事をすれば我々が……!?」
「お前、まだ状況を分かっていないのか?俺達が助けなけなればお前等全員死んでいたんだぞ?」


近くにいた兵士の袖を掴み、レナは「威圧」のスキルを発動させて兵士を睨みつける。レナのあまりの迫力に兵士は怯えた表情を浮かべるが、そんな彼等に容赦せずにレナは怒鳴りつける。


「魔獣兵がお前等の命を奪った時点で王妃はお前達の事を捨て駒としか認識していないんだよ!!そんな奴に忠誠をまだ誓うのか?」
「ぐっ……」
「おい、レナの言うとおりだぞ?早く城門を開かないと今度はお前等がぶっ飛ばされるぞ!?」
「そ、そんな……!?」


命が助かったと思った矢先に助けてくれた人間から脅される事になった兵士達は泣きそうな表情を浮かべるが、言い争っている間にも街中では大勢の人間が危機に晒されている。やがて観念したのか兵士達は立ち上がり、城門を開くために行動を開始した。


「わ、分かった……城門を開く。だが、こんな事をしても無駄だぞ……」
「いいから早くやれ!!」
『レナよ、吾輩は先に向かうぞ!!市民を守るのが冒険者の務めだからな!!』
「なっ!?待ちなさいっ!!」


兵士を叱咤して城門を開かせていると、痺れを切らしたのかシズネの制止を無視してゴウライが城壁を飛び降りて先に街中に入る。その姿を見たシズネも続けて彼女の後を追いかけるように走り去り、残されたダインは慌ててレナに声を掛ける。


「お、おい!!……二人とも行っちゃったぞ!?」
「ああ、もう……面倒臭い!!まだ開かないの!?」
「ま、待ってくれ!!まずは扉を封鎖する閂を取り外さなければ……」


鋼鉄製の城門を兵士達が操作して開こうとするが、完全に扉が開かれるまで時間が掛かりそうであり、仕方なくレナは強硬手段を取ることにした。


「しょうがない……退いて!!」
「レナ!?」


兵士達を下がらせるとレナは退魔刀を両手で握りしめ、鋼鉄の門と対峙する。扉を開くためには巨大な鋼鉄の閂を取り外す必要があるのだが、閂を確認したレナは意識を集中させ、扉に向けて跳躍する。



「――鬼刃!!」



次の瞬間、空中に浮きあがったレナの退魔刀が紅色に光り輝き、直後に鋼鉄の閂を切断するのと同時に地面にクレーターが発生する程の勢いで地面を叩きつける。その結果、閂が破壊された扉は剣圧によって内側から押し開かれ、城門が解放された。


「嘘ぉっ……!?」
「あ、あの頑丈な閂を一振りで……!?」
「ば、化物かっ!?」
「うるさい!!誰がアイリスだ!!」
『いや、化物=私というのは酷くないですか!?』


兵士達の驚愕の言葉にレナは怒鳴り返すと、彼の脳内にアイリスの声が響き渡る。どうやらホネミンが離れた事で再び彼女と交信が可能になったらしく、レナは即座にアイリスと本格的な更新を行う。


『アイリス!!状況を説明して!!』
『ちょっとちょっと、連絡できない間にとんでもない事態に陥っているじゃないですか!!』


レナが交信を遮断している間もアイリスはこちらの世界の状況を把握しており、冒険都市と闘技場の間で何が起きているのかレナに説明する。


『色々と報告すべき事があるんですが、簡単に説明すると現在の都市は大混乱に陥っています。各所で魔獣兵と呼ばれる軍団が暴れて市民に大きな被害が出ていますね』
『くそ、やっぱりか……こいつらの正体は?』
『ご存じの通りに王国の新しい戦力として飼育されていたゴブリン達です。大分昔になりますけど、冒険都市近辺に現れた武装ゴブリンの事を覚えていますか?』


アイリスの言葉にレナは冒険都市に訪れたばかりの頃を思い出し、旧帝国に所属する「魔物使い」の人間達が支配していたゴブリンの集団を思い出す。力は弱いが知能が高い事を利用して旧帝国はゴブリンを調教し、自分達の戦力にするために武装させたゴブリンを生み出していた。





※今回の投稿10秒前

レナ「これが公開ボタンか……1回押してみたかったんだよな」(´・ω・)ノポチッ
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。