399 / 2,091
放浪編
鬼の子はやはり鬼(アイラ「うふふっ……」)
しおりを挟む
「そうだ、この鎖なら……こうすればどうだっ!?」
『ウガァッ!?』
オーガの拳を受け止めた鎖を「形状高速変化」の能力で鎖の表面を刃物のように研ぎ澄ませた瞬間、拳を食い込ませていた部分に血液が滲む。オーガは慌てて拳を引き抜いたが、その隙を逃さずにレナは右腕を伸ばして掌底を叩きこむ。
「食らえ、衝風!!」
『ガハァッ……!?』
レナが掌を押し当てた箇所に衝撃波が発生し、脇腹に強烈な一撃を受けたオーガは血反吐を吐く。風の聖痕の効果で風属性の魔法が強化されているのか通常時よりも魔法の威力が高まっており、続けてレナは久々に自分が得意とする拳の戦技を発動させる。
「弾撃!!」
『オグゥッ!?』
勢いよく地面を踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、勢い良く拳を撃ち込む。貫通力に特化したレナが独自に編み出した拳技であり、鋼鉄の刃でさえも簡単に弾くはずのオーガの頑丈な皮膚に拳の跡が残る程に強烈な一撃が炸裂した。
『グ、ガァッ……』
「いい加減に……くたばれ!!」
腹部を抑えながら膝を崩したオーガに対してレナは痛めた左拳を摩りながらも後ろに下がり、今度は右拳に意識を集中させ、止めの一撃を放つ。
「撃雷!!」
『ッ――!?』
拳に重力と電撃の魔力を帯びた状態でオーガの顔面を打ち抜き、顔面が凹んだ上に全身に電撃を浴びたオーガは白目を剥いて倒れこむ。その様子を確認した囚人達は唖然とした表情を浮かべ、その一方でレナは額に汗を流して痛めた両拳を回復魔法で治療する。
「お、おい……あいつ、一体何をしたんだ?」
「嘘だろ!?オーガを素手で殺したのか!?」
「そんなバカな……レベルが50を超える格闘家でも成体のオーガには適わないと言われてるんだぞ!!」
「でも、実際に死んでるじゃねえか……何なんだあいつ、魔術師じゃないのか?」
遠目ではレナが素手のみでオーガを倒したようにしか見えなかった囚人達は騒ぎ出し、続けて二度も試験場に送り込んだ魔物を殺された事で観客席に立っていた人間達も混乱する。まさか素手でオーガを打ち倒すような存在が現れるとは思わず、これ以上の魔物の用意などしていなかった。
「お、おい!!あのガキは食料調達班のうちが引き取るからな!!」
「馬鹿を言え!!俺が先に目を付けたんだ!!だから警備班が引き取る!!」
「待て!!あれほどの逸材を見逃せるか!!あいつは調理班のうちが引き取る。いい用心棒になりそうだからな!!」
「お、落ち着け!!まだ試験は終わってないぞ!?」
観客席の囚人達は我先にとレナを引き取ろうと騒ぎ出すが、当のレナ本人は倒れたオーガの様子を調べ、頭部の角に手を伸ばす。
(よし……今の内に)
レナの錬金術師の能力は生物に対しては使用する事は出来ないが、既に命を失った死体に関して別であり、オーガの頭に生えている角の片方を物質変換の能力を利用して剥ぎ取る。他の囚人に気づかれないように回収した角を空間魔法で異空間に収めると、話し合いが纏まったのか試験の説明を行っていた囚人が前に出る。
「お、おめでとう!!見事に生き残った君達は晴れて監獄都市に住む事が許された正規の囚人となった!!いやはや……まさかここまでの人数が生き残るとは監獄都市の歴史上でも稀な結果だぞ?」
「正規の囚人?どういう意味だ!?」
「……言葉通りの意味だ。試験を見事に勝ち抜いた君達は正式に囚人として認められた。それと同時に囚人として認定された者には仕事が分け与えられる」
「仕事だと!?一体何をやらせる気だ!!」
「そうだね……食料の調達、食事の用意、監獄内の清掃、他には農作業や警備の仕事もある。ちなみにこの監獄都市では金銭の流通が認められている」
「なんだと!?ここにも金があるのか?」
「そういう事だ。外の世界でも同じようにこの監獄都市でも働けば相応の報酬も与えられるだろう」
監獄内でも金銭が流通されているという話に試験場内の囚人達は驚き、しかも対価に見合った報酬を受け取れるという話に目を輝かせる者も居た。だが、そんな彼等の希望を揉み消すように男性は言葉を付け加えた。
「但し、食事に関しては全て有料制となっている……つまり、働かざる者は食うべからず、働いてお金を稼がなければ明日生き残るための食事も手に入らない事になるがね」
「な、何だって!?」
「それじゃあ……金を稼がないと生き残れないのか!?」
「当たり前じゃないか。ここは世界最悪の監獄……それほど甘い場所じゃないんだよ。仕事に関しても種類は豊富だが、それぞれの仕事には働ける人数は限られている。ちなみに仕事中は看守の監視が入るから小さな失敗も許されないから気を付けたまえ」
普通の刑務所や監獄では死刑囚であろうと食事に関しては毎日用意されるが、監獄都市内の食事は全て有料制のため、お金を持たない人間には食事は与えられない。しかも肝心の仕事は看守の監視付きとなっており、仕事で失敗すれば看守から直々に罰則を与えられ、最悪の場合は命を奪われる。
監獄ではあるが「都市」という名前が付けられている時点で他の監獄とは囚人の支配体制が大きく異なり、囚人は一定の自由を与えられる一方で他の監獄よりも厳しい環境下で過ごす必要があり、この監獄都市が世界最悪の監獄だと言われる由縁でもあった。
『ウガァッ!?』
オーガの拳を受け止めた鎖を「形状高速変化」の能力で鎖の表面を刃物のように研ぎ澄ませた瞬間、拳を食い込ませていた部分に血液が滲む。オーガは慌てて拳を引き抜いたが、その隙を逃さずにレナは右腕を伸ばして掌底を叩きこむ。
「食らえ、衝風!!」
『ガハァッ……!?』
レナが掌を押し当てた箇所に衝撃波が発生し、脇腹に強烈な一撃を受けたオーガは血反吐を吐く。風の聖痕の効果で風属性の魔法が強化されているのか通常時よりも魔法の威力が高まっており、続けてレナは久々に自分が得意とする拳の戦技を発動させる。
「弾撃!!」
『オグゥッ!?』
勢いよく地面を踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、勢い良く拳を撃ち込む。貫通力に特化したレナが独自に編み出した拳技であり、鋼鉄の刃でさえも簡単に弾くはずのオーガの頑丈な皮膚に拳の跡が残る程に強烈な一撃が炸裂した。
『グ、ガァッ……』
「いい加減に……くたばれ!!」
腹部を抑えながら膝を崩したオーガに対してレナは痛めた左拳を摩りながらも後ろに下がり、今度は右拳に意識を集中させ、止めの一撃を放つ。
「撃雷!!」
『ッ――!?』
拳に重力と電撃の魔力を帯びた状態でオーガの顔面を打ち抜き、顔面が凹んだ上に全身に電撃を浴びたオーガは白目を剥いて倒れこむ。その様子を確認した囚人達は唖然とした表情を浮かべ、その一方でレナは額に汗を流して痛めた両拳を回復魔法で治療する。
「お、おい……あいつ、一体何をしたんだ?」
「嘘だろ!?オーガを素手で殺したのか!?」
「そんなバカな……レベルが50を超える格闘家でも成体のオーガには適わないと言われてるんだぞ!!」
「でも、実際に死んでるじゃねえか……何なんだあいつ、魔術師じゃないのか?」
遠目ではレナが素手のみでオーガを倒したようにしか見えなかった囚人達は騒ぎ出し、続けて二度も試験場に送り込んだ魔物を殺された事で観客席に立っていた人間達も混乱する。まさか素手でオーガを打ち倒すような存在が現れるとは思わず、これ以上の魔物の用意などしていなかった。
「お、おい!!あのガキは食料調達班のうちが引き取るからな!!」
「馬鹿を言え!!俺が先に目を付けたんだ!!だから警備班が引き取る!!」
「待て!!あれほどの逸材を見逃せるか!!あいつは調理班のうちが引き取る。いい用心棒になりそうだからな!!」
「お、落ち着け!!まだ試験は終わってないぞ!?」
観客席の囚人達は我先にとレナを引き取ろうと騒ぎ出すが、当のレナ本人は倒れたオーガの様子を調べ、頭部の角に手を伸ばす。
(よし……今の内に)
レナの錬金術師の能力は生物に対しては使用する事は出来ないが、既に命を失った死体に関して別であり、オーガの頭に生えている角の片方を物質変換の能力を利用して剥ぎ取る。他の囚人に気づかれないように回収した角を空間魔法で異空間に収めると、話し合いが纏まったのか試験の説明を行っていた囚人が前に出る。
「お、おめでとう!!見事に生き残った君達は晴れて監獄都市に住む事が許された正規の囚人となった!!いやはや……まさかここまでの人数が生き残るとは監獄都市の歴史上でも稀な結果だぞ?」
「正規の囚人?どういう意味だ!?」
「……言葉通りの意味だ。試験を見事に勝ち抜いた君達は正式に囚人として認められた。それと同時に囚人として認定された者には仕事が分け与えられる」
「仕事だと!?一体何をやらせる気だ!!」
「そうだね……食料の調達、食事の用意、監獄内の清掃、他には農作業や警備の仕事もある。ちなみにこの監獄都市では金銭の流通が認められている」
「なんだと!?ここにも金があるのか?」
「そういう事だ。外の世界でも同じようにこの監獄都市でも働けば相応の報酬も与えられるだろう」
監獄内でも金銭が流通されているという話に試験場内の囚人達は驚き、しかも対価に見合った報酬を受け取れるという話に目を輝かせる者も居た。だが、そんな彼等の希望を揉み消すように男性は言葉を付け加えた。
「但し、食事に関しては全て有料制となっている……つまり、働かざる者は食うべからず、働いてお金を稼がなければ明日生き残るための食事も手に入らない事になるがね」
「な、何だって!?」
「それじゃあ……金を稼がないと生き残れないのか!?」
「当たり前じゃないか。ここは世界最悪の監獄……それほど甘い場所じゃないんだよ。仕事に関しても種類は豊富だが、それぞれの仕事には働ける人数は限られている。ちなみに仕事中は看守の監視が入るから小さな失敗も許されないから気を付けたまえ」
普通の刑務所や監獄では死刑囚であろうと食事に関しては毎日用意されるが、監獄都市内の食事は全て有料制のため、お金を持たない人間には食事は与えられない。しかも肝心の仕事は看守の監視付きとなっており、仕事で失敗すれば看守から直々に罰則を与えられ、最悪の場合は命を奪われる。
監獄ではあるが「都市」という名前が付けられている時点で他の監獄とは囚人の支配体制が大きく異なり、囚人は一定の自由を与えられる一方で他の監獄よりも厳しい環境下で過ごす必要があり、この監獄都市が世界最悪の監獄だと言われる由縁でもあった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。