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放浪編
終わらない試験
「し、信じられねえ……あの砂鮫を倒しやがった」
「嘘だろおい……Aランク冒険者でも尻尾を振って逃げ出す化け物だぞ?」
「それに今の魔法……あいつ魔石や魔道具も使わずに自分の魔力だけで発動させたのか?もしかして、相当に凄い魔術師なんじゃ……」
砂鮫を倒したレナを見て囚人達は騒ぎ出し、観客席に居る人間も戸惑う。だが、彼等の反応に気づきながらもレナは死亡した砂鮫の元へ向かい、様子を調べる。
(やっぱりゴーレムのように土砂を練り固めた皮膚を纏っているな。こんな魔物も居るとは驚きだな……)
帝国地方には存在しない砂鮫に興味を示したレナはしばらくは観察を行うと、不意に歯の部分に煌めく物を発見する。不思議に思ったレナは口の中を覗き込むと、歯の間に指輪が挟まっている事に気づく。
(指輪?どうしてこんな所に……名前も彫ってあるな)
指輪を拾い上げると裏側の部分に名前が刻まれており、名前は「リーナ」と刻まれていた。砂鮫が襲った人間の所有物が歯に挟まっていた可能性が高い。状況的に考えても指輪の所有者が生き残っている可能性は低く、このまま放置するのも勿体ないと思ったレナは他の人間に気づかれないように収納魔法で異空間に回収する。
(さてと……いい加減にこの枷もうざったいな。剣を振るときに邪魔だし、動きにくいし、足元が不自由だと縮地も瞬動術も使えないし……いや、今は不味いか)
両手と両足に取り付けられた枷に対してレナは錬金術師の能力を生かして外そうとするが、すぐに周囲の視線に気づいて思い直す。この状況下で枷を外したら他の囚人が騒ぎ出す可能性が高く、中にはレナに自分の枷も外すように催促する人間も出てくるだろう。だが、厄介なのはレナをここまで拘束して連れ出したミノタウロスであり、恐らく彼は監獄の「看守」のような存在なのだろう。
(ここで外に逃げ出したら絶対に面倒な事になるな……逃げ出しても自分が何処に居るのか把握してなければどうしようもないし、もう少し情報を集めるか)
砂鮫から離れたレナは最初に観客席に視線を向けて様子を伺うと、観客席の方では囚人達が一か所に集まって何か話し合っており、やがて先ほど試験の説明を行った男性が前に出る。
「……見事だ!!よくぞ生き残ったな諸君!!だが、砂鮫を殺しても試験はまだ終わりじゃないぞ!!時間の限りは君達は戦ってもらう!!」
「はあ!?」
「もう終わりじゃないのか!?」
男性の言葉に生き残ったと思っていた囚人達は騒ぎ出し、砂鮫を倒したレナも溜息を吐く。だが、試験官と思われる男は即座に次の指示を与えた。
「安心したまえ、このような事態を想定して余分に魔物は用意しているからな!!さあ、今度の相手はこいつだ!!」
『ウオオオオッ!!』
試験官の声に反応するように観客席から大きな影が飛び出し、試験場の中央部に着地する。飛び降りてきたのは全身が赤色の皮膚に覆われ、頭に日本の角を生やした巨人であり、レナも見覚えのある魔物だった。
『ガアアアッ!!』
「お、オーガだぁっ!?」
「ぎゃああああっ!?」
姿を現したのは砂鮫と同様にレベル4に指定されている「オーガ」であり、その戦闘力はミノタウロスやサイクロプスにも劣らず、大人の赤毛熊ですら一撃で葬る事が出来ると言われている凶悪な魔物だった。レナも過去に戦った事がある厄介な相手にため息を吐き出し、冷や汗を流す。
「まさかオーガまで飼育しているなんて……囚人の中に魔物使いまでいるのか?」
『ウガァッ!!』
「うわ、いきなりか!?」
オーガは真っ先に砂鮫の傍に存在するレナに目掛けて走り出し、砂煙を派手に巻き上げながら移動を行う。流石に武器無しで挑むには面倒な相手だと判断したレナは地面に掌を押し当てて土塊の魔法を発動させる。
「大人しくしろ!!」
『フガァッ!?』
「こ、転んだ!?どうなってんだ!?」
レナは重力を利用してオーガの移動先の地面に砂地獄のような穴を生み出し、足のつま先を飲み込ませてオーガを転倒させる事に成功する。だが、あくまでも時間稼ぎ程度の効果しかなく、オーガが穴に嵌っている間にレナは右手に氷装剣を発動させて「大剣」を作り出す。
「加速剣撃……うわっ!?」
『ウガッ……!?』
戦技を発動させてオーガを打ち倒そうとしたレナだが、いつもの調子で掌に「重撃剣」を発動した瞬間に氷の剣が砕け散ってしまう。普段使用している退魔刀や反鏡剣の剣の柄は魔法耐性が高い世界樹の素材で構成されているのに対し、レナの生み出す氷装剣はあくまでも頑丈な氷の塊でしかなく、加速剣撃のような特殊な複合戦技を発動させるには硬度が足りなかった。
「しまった……これだと戦技が使えないのか」
『フンガァッ!!』
「うわっ!?」
穴から抜け出したオーガは砕けた剣に気を取られているレナに対して攻撃を仕掛け、慌ててレナは両手の枷に取り付けられている鎖を握りしめて突き付けられた右拳を受け止める。
「ふんぬっ……!!」
『ウオッ……!?』
普通の人間ならばオーガの腕力に耐え切れずに吹き飛ばされていたかもしれないが、咄嗟に身体能力を「限界強化」で強化させたレナはどうにか踏みとどまり、逆に鎖に視線を向けてある事を思いつく。
「嘘だろおい……Aランク冒険者でも尻尾を振って逃げ出す化け物だぞ?」
「それに今の魔法……あいつ魔石や魔道具も使わずに自分の魔力だけで発動させたのか?もしかして、相当に凄い魔術師なんじゃ……」
砂鮫を倒したレナを見て囚人達は騒ぎ出し、観客席に居る人間も戸惑う。だが、彼等の反応に気づきながらもレナは死亡した砂鮫の元へ向かい、様子を調べる。
(やっぱりゴーレムのように土砂を練り固めた皮膚を纏っているな。こんな魔物も居るとは驚きだな……)
帝国地方には存在しない砂鮫に興味を示したレナはしばらくは観察を行うと、不意に歯の部分に煌めく物を発見する。不思議に思ったレナは口の中を覗き込むと、歯の間に指輪が挟まっている事に気づく。
(指輪?どうしてこんな所に……名前も彫ってあるな)
指輪を拾い上げると裏側の部分に名前が刻まれており、名前は「リーナ」と刻まれていた。砂鮫が襲った人間の所有物が歯に挟まっていた可能性が高い。状況的に考えても指輪の所有者が生き残っている可能性は低く、このまま放置するのも勿体ないと思ったレナは他の人間に気づかれないように収納魔法で異空間に回収する。
(さてと……いい加減にこの枷もうざったいな。剣を振るときに邪魔だし、動きにくいし、足元が不自由だと縮地も瞬動術も使えないし……いや、今は不味いか)
両手と両足に取り付けられた枷に対してレナは錬金術師の能力を生かして外そうとするが、すぐに周囲の視線に気づいて思い直す。この状況下で枷を外したら他の囚人が騒ぎ出す可能性が高く、中にはレナに自分の枷も外すように催促する人間も出てくるだろう。だが、厄介なのはレナをここまで拘束して連れ出したミノタウロスであり、恐らく彼は監獄の「看守」のような存在なのだろう。
(ここで外に逃げ出したら絶対に面倒な事になるな……逃げ出しても自分が何処に居るのか把握してなければどうしようもないし、もう少し情報を集めるか)
砂鮫から離れたレナは最初に観客席に視線を向けて様子を伺うと、観客席の方では囚人達が一か所に集まって何か話し合っており、やがて先ほど試験の説明を行った男性が前に出る。
「……見事だ!!よくぞ生き残ったな諸君!!だが、砂鮫を殺しても試験はまだ終わりじゃないぞ!!時間の限りは君達は戦ってもらう!!」
「はあ!?」
「もう終わりじゃないのか!?」
男性の言葉に生き残ったと思っていた囚人達は騒ぎ出し、砂鮫を倒したレナも溜息を吐く。だが、試験官と思われる男は即座に次の指示を与えた。
「安心したまえ、このような事態を想定して余分に魔物は用意しているからな!!さあ、今度の相手はこいつだ!!」
『ウオオオオッ!!』
試験官の声に反応するように観客席から大きな影が飛び出し、試験場の中央部に着地する。飛び降りてきたのは全身が赤色の皮膚に覆われ、頭に日本の角を生やした巨人であり、レナも見覚えのある魔物だった。
『ガアアアッ!!』
「お、オーガだぁっ!?」
「ぎゃああああっ!?」
姿を現したのは砂鮫と同様にレベル4に指定されている「オーガ」であり、その戦闘力はミノタウロスやサイクロプスにも劣らず、大人の赤毛熊ですら一撃で葬る事が出来ると言われている凶悪な魔物だった。レナも過去に戦った事がある厄介な相手にため息を吐き出し、冷や汗を流す。
「まさかオーガまで飼育しているなんて……囚人の中に魔物使いまでいるのか?」
『ウガァッ!!』
「うわ、いきなりか!?」
オーガは真っ先に砂鮫の傍に存在するレナに目掛けて走り出し、砂煙を派手に巻き上げながら移動を行う。流石に武器無しで挑むには面倒な相手だと判断したレナは地面に掌を押し当てて土塊の魔法を発動させる。
「大人しくしろ!!」
『フガァッ!?』
「こ、転んだ!?どうなってんだ!?」
レナは重力を利用してオーガの移動先の地面に砂地獄のような穴を生み出し、足のつま先を飲み込ませてオーガを転倒させる事に成功する。だが、あくまでも時間稼ぎ程度の効果しかなく、オーガが穴に嵌っている間にレナは右手に氷装剣を発動させて「大剣」を作り出す。
「加速剣撃……うわっ!?」
『ウガッ……!?』
戦技を発動させてオーガを打ち倒そうとしたレナだが、いつもの調子で掌に「重撃剣」を発動した瞬間に氷の剣が砕け散ってしまう。普段使用している退魔刀や反鏡剣の剣の柄は魔法耐性が高い世界樹の素材で構成されているのに対し、レナの生み出す氷装剣はあくまでも頑丈な氷の塊でしかなく、加速剣撃のような特殊な複合戦技を発動させるには硬度が足りなかった。
「しまった……これだと戦技が使えないのか」
『フンガァッ!!』
「うわっ!?」
穴から抜け出したオーガは砕けた剣に気を取られているレナに対して攻撃を仕掛け、慌ててレナは両手の枷に取り付けられている鎖を握りしめて突き付けられた右拳を受け止める。
「ふんぬっ……!!」
『ウオッ……!?』
普通の人間ならばオーガの腕力に耐え切れずに吹き飛ばされていたかもしれないが、咄嗟に身体能力を「限界強化」で強化させたレナはどうにか踏みとどまり、逆に鎖に視線を向けてある事を思いつく。
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