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放浪編
女囚館へ潜入
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「行っちゃいましたね。どうします?追いかけますか?」
「どうやってだよ……こんな事なら叔母様に空を飛ぶ魔法でも教えて貰えば良かった」
「何?そんな魔法があるのか?」
「いや、分かんないけど……叔母様なら普通に空を飛べそうだから」
魔術師の職業を極めているマリアならば自力で空を飛ぶ魔法も知っている可能性もあるが、生憎と現在のレナは空を飛んで行くパールを追いかける術はない。ハンゾウやカゲマルならば「飛脚」と呼ばれる戦技で空を駆け抜けるように移動出来るが、生憎とレナにそのような真似は出来ない。
「ここで待っていれば戻ってくるかな?」
「どうでしょうかね、あの人は気まぐれですから用事を終えてもすぐには戻ってこないかもしれません。それに夜を迎えれば看守長が目を覚ましますし、もしも看守長の元へ訪れたら朝までは帰ってこないと思いますけど?」
「流石にそこまでは待てないな……でも、あの人は魔法腕輪を装着していなかったな」
パールと遭遇した時は彼女は魔法腕輪を身に着けておらず、ネズミの話によれば彼女が持っている可能性が高いらしいので、自分で身に着けていなければ何処かに預けているのかもしれない。
「本当にあの人が魔法腕輪を持ってるのか?」
「少なくとも、僕が朝に遭遇した時は腕輪らしき物を身に着けてましたよ。もしかしたら自分の部屋の中に置いてきたのかもしれませんけど……」
「という事は……あそこか」
金網で隔離されている女囚館に視線を向け、外見は二階建て体育館にしか見えない。また、天井の部分は硝子張りとなっており、どうやらプールまで内蔵されている様子だった。この女囚館にどの程度の女性囚人が暮らしているのかは不明だが、男性囚人と比べてもそれほど多くはないと思われた。
四方を金網で取り囲まれており、金網の高さは7、8メートルは存在した。その程度の高さならば獣人族の囚人ならば飛び越えられそうだが、金網の内側には深い堀が存在するため、どうにか飛び越えたとしても堀の中に落ちてしまうだろう。しかも堀には何処から調達してきたのか竹やりまで施されているため、飛び越えて着地する事も難しい。
「この金網……普通の鉄じゃないな。魔法金属製?」
「素材までは分かりませんけど、見た目よりもかなり頑丈で壊す事は出来ませんよ。何度か女囚館に忍び込もうとした囚人が破壊を試みましたけど全員が失敗に終わっています」
「そんなに凄い代物なのか?」
「この金網を作り出したのもこの都市を作り出した人物らしいです。何度か専門家が訪れて調べましたけど、結局は何も分からなかったそうです」
ネズミによれば過去に巨人族の集団が大きな丸太を使用して破壊を試みようとしたが、金網は壊れる事はなく逆に突っ込んだ丸太の方が網に食い込んで砕けてしまったらしい。素材も普通の金属ではなく、ミスリル製の武器でも傷一つ付ける事も出来ない程に頑丈な硬度を誇る。
侵入を試みようとした囚人の中には地面を掘って地中から女囚館に忍び込もうとした者もいたが、この金網は地中にも施されているらしく、10メートル以上掘り進めても金網は存在したという。
(見かけは普通の金網にしか見えないけどな……でも、俺の能力は通じるようだな)
金網に手を伸ばしながら試しにレナは「物質変換」や「形状高速変化」の能力を試すと金網の一部が変色し、形を変える事も出来た。過去に召喚された勇者の遺物だと思われるが、魔法を無効化するような性質は持ち合わせていないらしく、レナの能力を使えば侵入自体は不可能ではない。
問題なのは女囚館に忍び込んだ後であり、魔法腕輪があるとすればパールが使用している部屋の中だろうが、生憎と女囚館の間取りを知らないレナは彼女の部屋が何処に存在するのかも分からない。しかも頻繁に女性兵士が巡回を行っており、金網の傍に存在するレナ達を見かけて注意する。
「そこ!!用事がないならここから消えろ!!覗くような真似は許さないぞ!!」
「あ、すいません……」
「レナさん、とりあえずはここから離れましょう。何時までも残っていると変態扱いされますよ」
兵士の言葉に従ってレナ達は金網から離れると、これからどうするべきかを考える。とりあえずは錬金術師の能力を使えば金網を突破する事は容易く、問題なのは侵入した後にどうやって他の女囚人や兵士に気づかれないように建物に忍び込んで魔法腕輪を探すかである。
「……ネズミ、お前はこの女囚館の間取りも知っているんじゃないの?」
「まあ、一応は……何度かパールさんに連れられて中に入れてもらったこともあります」
「じゃあ、そのパールの部屋も知っているの?」
「知ってますけど……まさか、忍び込むつもりですか?止めた方がいいですよ、女囚館への侵入者はどんな理由があろうと即処刑ですから」
「何?そんなに厳しいのか?」
女囚館に男性の囚人が忍び込んだ場合、問答無用で拘束されて処刑が実行される。どのような理由であろうと侵入者は死刑を言い渡されるため、この数年の間では無謀に女囚館への侵入を試みる囚人は一人もいない。しかし、レナはどうしても忍び込まなければならなかった。
「どうやってだよ……こんな事なら叔母様に空を飛ぶ魔法でも教えて貰えば良かった」
「何?そんな魔法があるのか?」
「いや、分かんないけど……叔母様なら普通に空を飛べそうだから」
魔術師の職業を極めているマリアならば自力で空を飛ぶ魔法も知っている可能性もあるが、生憎と現在のレナは空を飛んで行くパールを追いかける術はない。ハンゾウやカゲマルならば「飛脚」と呼ばれる戦技で空を駆け抜けるように移動出来るが、生憎とレナにそのような真似は出来ない。
「ここで待っていれば戻ってくるかな?」
「どうでしょうかね、あの人は気まぐれですから用事を終えてもすぐには戻ってこないかもしれません。それに夜を迎えれば看守長が目を覚ましますし、もしも看守長の元へ訪れたら朝までは帰ってこないと思いますけど?」
「流石にそこまでは待てないな……でも、あの人は魔法腕輪を装着していなかったな」
パールと遭遇した時は彼女は魔法腕輪を身に着けておらず、ネズミの話によれば彼女が持っている可能性が高いらしいので、自分で身に着けていなければ何処かに預けているのかもしれない。
「本当にあの人が魔法腕輪を持ってるのか?」
「少なくとも、僕が朝に遭遇した時は腕輪らしき物を身に着けてましたよ。もしかしたら自分の部屋の中に置いてきたのかもしれませんけど……」
「という事は……あそこか」
金網で隔離されている女囚館に視線を向け、外見は二階建て体育館にしか見えない。また、天井の部分は硝子張りとなっており、どうやらプールまで内蔵されている様子だった。この女囚館にどの程度の女性囚人が暮らしているのかは不明だが、男性囚人と比べてもそれほど多くはないと思われた。
四方を金網で取り囲まれており、金網の高さは7、8メートルは存在した。その程度の高さならば獣人族の囚人ならば飛び越えられそうだが、金網の内側には深い堀が存在するため、どうにか飛び越えたとしても堀の中に落ちてしまうだろう。しかも堀には何処から調達してきたのか竹やりまで施されているため、飛び越えて着地する事も難しい。
「この金網……普通の鉄じゃないな。魔法金属製?」
「素材までは分かりませんけど、見た目よりもかなり頑丈で壊す事は出来ませんよ。何度か女囚館に忍び込もうとした囚人が破壊を試みましたけど全員が失敗に終わっています」
「そんなに凄い代物なのか?」
「この金網を作り出したのもこの都市を作り出した人物らしいです。何度か専門家が訪れて調べましたけど、結局は何も分からなかったそうです」
ネズミによれば過去に巨人族の集団が大きな丸太を使用して破壊を試みようとしたが、金網は壊れる事はなく逆に突っ込んだ丸太の方が網に食い込んで砕けてしまったらしい。素材も普通の金属ではなく、ミスリル製の武器でも傷一つ付ける事も出来ない程に頑丈な硬度を誇る。
侵入を試みようとした囚人の中には地面を掘って地中から女囚館に忍び込もうとした者もいたが、この金網は地中にも施されているらしく、10メートル以上掘り進めても金網は存在したという。
(見かけは普通の金網にしか見えないけどな……でも、俺の能力は通じるようだな)
金網に手を伸ばしながら試しにレナは「物質変換」や「形状高速変化」の能力を試すと金網の一部が変色し、形を変える事も出来た。過去に召喚された勇者の遺物だと思われるが、魔法を無効化するような性質は持ち合わせていないらしく、レナの能力を使えば侵入自体は不可能ではない。
問題なのは女囚館に忍び込んだ後であり、魔法腕輪があるとすればパールが使用している部屋の中だろうが、生憎と女囚館の間取りを知らないレナは彼女の部屋が何処に存在するのかも分からない。しかも頻繁に女性兵士が巡回を行っており、金網の傍に存在するレナ達を見かけて注意する。
「そこ!!用事がないならここから消えろ!!覗くような真似は許さないぞ!!」
「あ、すいません……」
「レナさん、とりあえずはここから離れましょう。何時までも残っていると変態扱いされますよ」
兵士の言葉に従ってレナ達は金網から離れると、これからどうするべきかを考える。とりあえずは錬金術師の能力を使えば金網を突破する事は容易く、問題なのは侵入した後にどうやって他の女囚人や兵士に気づかれないように建物に忍び込んで魔法腕輪を探すかである。
「……ネズミ、お前はこの女囚館の間取りも知っているんじゃないの?」
「まあ、一応は……何度かパールさんに連れられて中に入れてもらったこともあります」
「じゃあ、そのパールの部屋も知っているの?」
「知ってますけど……まさか、忍び込むつもりですか?止めた方がいいですよ、女囚館への侵入者はどんな理由があろうと即処刑ですから」
「何?そんなに厳しいのか?」
女囚館に男性の囚人が忍び込んだ場合、問答無用で拘束されて処刑が実行される。どのような理由であろうと侵入者は死刑を言い渡されるため、この数年の間では無謀に女囚館への侵入を試みる囚人は一人もいない。しかし、レナはどうしても忍び込まなければならなかった。
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