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最終章 前編 〈王都編〉
革命団の救出作戦
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「――以上が僕の知る限りのイレアビトの過去だ。何か質問はあるかい?」
『…………』
コタロウの言葉に全員が押し黙り、大半の人間は王妃が旧帝国の末裔であるという事実に動揺を隠せず、言葉を口に出来ない。レナもアイリスか王妃の事情を聞いてはいたが、やはり詳細を知っている人間の言葉は重みが違い、まさか王妃が実の母親を殺して旧帝国の支配者となった事は初耳だった。
しかも王妃は旧帝国の人脈を利用して王妃の座に就き、その後に自分の邪魔と判断した旧帝国をキラウと腐敗竜を利用して自滅に追い込んだ事に等しい。自分を支えてきた組織を邪魔と判断した時点で容赦なく排除する非情さ、それでいながら綿密な計画を立てて母親を殺した慎重さ、何よりも幼少の頃から優れた知能で傭兵団を結成したカリスマには驚かされる。
「僕が旧帝国の人間で会った事は革命団の幹部は全員知っている。それでも彼等は僕に付いて行くことを約束してくれた。君達はどうだい?僕を信用できるかい?」
「一つだけ聞かせて欲しい……あんたは王妃を倒した後、どうするつもりだ?」
「別に何も……生き延びれたら遠方に避難させた妻と子供と平和に暮らすだろうね。僕にとって旧帝国の野望はどうでもいい」
「そんな話を信じろっていうのかよ!?てめえ等のせいで何人が犠牲になったと思ってやがる!!腐敗竜が襲撃した時に俺のダチも死んだんだぞ!!」
「ガロ、止めろ!!」
「何してんだ馬鹿!!」
コタロウの言葉にガロは怒りを露わにしてコタロウの袖を掴んで持ち上げる。腐敗竜が冒険都市に襲撃を仕掛けたのは裏で旧帝国がキラウを動かしたからであり、ガロの友人だった兵士も犠牲になっている。だからガロは旧帝国に所属していたコタロウを殴りつけようとしたが、モリモとダイアが慌てて抑えつけた。
「離せよ!!こいつらのせいで俺達がどんな目に遭ったと思っている!?」
「……確かに僕は旧帝国に所属していた。それは認めよう、僕の所属していた傭兵団の資金が旧帝国の援助を行っていたのも認める。だが、今は違う。僕はもう旧帝国の人間じゃない」
「信じられるかそんな事!!」
「考えても見てくれ、もう旧帝国は滅びたも同然だ。イレアビトにとっても自分の過去を知る者ほど邪魔な存在はいないだろう。そして僕は彼女の過去を知る数少ない人間だ」
「何が言いたいんですか?」
「僕も彼女に狙われる立場だ……だから戦う、家族を守るために」
旧帝国に所属していたコタロウだが、イレアビトの本性を知ってからは彼女の元を去り、今まで誰にも気づかれないように生きてきた。何時しか妻と子供も産まれ、平凡な人生を送ろうとしていた時にイレアビトが国王の王妃となったいう情報を聞いて恐怖した。彼女が自分の過去を他の人間に話さないように自分を始末するのではないかとコタロウは考えたという。
実際にコタロウの元にイレアビトの配下が何度も送り込まれ、自分の元に戻ってくるように促された事もあった。だが、家族を持ったコタロウはもう裏稼業の仕事など引き受けるつもりはなく、勧誘を断って何年も逃げ続けた。しかし、自分のせいで家族に逃亡生活を強いる今の現状に心苦しさを覚え、遂に彼はイレアビトと対立する事を決めた。
「イレアビトと国王の息子が産まれたと聞いた時点で僕は彼女がバルトロス王国の支配者になろうとしている事を確信した。もしもイレアビトの目的が果たされた時、僕達家族は安住の地を失う。他国に逃げようと国を支配した彼女ならばどんな手を使っても僕を見つけ出すだろう……そうなれば僕は家族を守る事は出来ない」
「だから王妃が国を支配する前に手を打つために革命団を結成したんですか?」
「そういう事になるね。それに幹部の中には僕と同様に王妃と浅はかならぬ因縁を持つ者も多い。王妃の政策に賛成しなかった事から追放された貴族、王妃の派閥に入ることを拒否した事で暗殺された将軍の息子、旧帝国に家族を殺された傭兵……彼女は敵が多いからね。彼等を勧誘していたら何時の間にかこんな大所帯になっていたよ」
コタロウの言葉に集まっていた幹部の表情が険しさを増し、どうやらこの場に集まった者達は王妃に個人的に恨みを抱いている者ばかりらしく、彼等は王妃を討つために一致団結していた。
「君はガロ君と言ったね、僕達の中には裏稼業に手を染めた人間も多い。だが、それでも王妃を討つという目的は共通している。君も大切な人を取り戻したいんだろう?」
「ぐうっ……!!」
「君達が仕えるマリア殿にも革命団の援助をしてもらっている。だから僕達はある意味では同志とも言えなくはない、協力してくれるかい?」
最後のコタロウの言葉はガロよりも黙って聞いていたレナに向けての言葉だった。革命団としても噂に聞くレナの実力は期待しているらしく、全員が視線を向けてくる。そんな彼等の反応にレナはため息を吐き出し、コタロウに質問する。
「あんたの事は正直に言えば信用できる人間か分からない。だけど、ナオ姫の救出作戦を教えて欲しい。判断はその後にしたい」
「駄目だ。僕達に協力してくれると約束してくれるまでは計画の事は話せないね」
「じゃあ、もしも俺達が断ったどうするつもりだ?」
「その場合は……悪いが君達にはここで死んでもらう」
レナの言葉にコタロウは手を上げると、即座に部屋の中に居た革命団の人員が武器を構える。だが、彼等が武器を抜く前にレナは反鏡剣を引き抜き、コタロウの首筋に構えた。
「――それは止めた方が良い、あまり俺達を舐めるなよ」
「っ……!?」
コタロウは一瞬にして距離を詰められ、自分の首に刃を向けるレナに冷や汗を流す。元々は傭兵だったコタロウでさえもレナの動作が見えず、気づいたら何時の間にか自分の首筋に剣を構えられていた。その光景を見て他の幹部たちに動揺が走り、その隙にハンゾウも二人の幹部の後頭部に苦無を構え、ガロも腰の件を引き抜いて自分の背後に回ろうとしていた幹部の胸元に刃先を構える。
「忍者を舐めないでほしいでござる殺気がバレバレでござったよ」
「ちっ……冒険者も舐めんじゃねえよ」
「くそ、こうなるのかよ!?」
「おいおい、そんな武器で俺に挑むつもりか?」
モリモは既に盾を構え、ダイアは筋肉を盛り上げて幹部を威嚇する。腕利きの冒険者である彼等の反応は素早く、相手が武器を抜いた時点で全員が反撃体勢を整えていた。予想以上の反応の速さにコタロウは驚き、そんな彼に紅色の瞳を怪しく光り輝かせながらレナは告げた。
「あんた等が何者だか知らないけど、こっちも相当に修羅場をくぐってるんだよ。あんまり人を舐めるなよ……おっさん」
「おっさん……この外見でそう呼ばれたのは初めてだな」
レナが反鏡剣を鞘に戻すとコタロウは安堵すると他の人間にも武器を下ろす様に命じ、幹部たちは黙って武器を戻して壁際に離れるとハンゾウ達も武器を収める。やがてコタロウは観念したように溜息を吐き出してレナの提案を受け入れた。
「君達の実力はよく分かった。いいだろう、誰か王城の地図を持ってきてくれ」
「それなら俺達も持っている」
コタロウの言葉にレナは緑影から受け取った地図の存在を思い出し、机の上に地図を広げる。緑影が持ち込んだ王城内の地図は革命団が入手した城内の地図よりも精巧に作られ、最新の情報が書き込まれていた。それを見てコタロウは感心したように地図を覗き込む。
※酔っ払いに絡まれて心身ともにへとへとになりました……酒は飲んでも飲まれるな( ̄д ̄)今日は残念ながら1話投稿です。
『…………』
コタロウの言葉に全員が押し黙り、大半の人間は王妃が旧帝国の末裔であるという事実に動揺を隠せず、言葉を口に出来ない。レナもアイリスか王妃の事情を聞いてはいたが、やはり詳細を知っている人間の言葉は重みが違い、まさか王妃が実の母親を殺して旧帝国の支配者となった事は初耳だった。
しかも王妃は旧帝国の人脈を利用して王妃の座に就き、その後に自分の邪魔と判断した旧帝国をキラウと腐敗竜を利用して自滅に追い込んだ事に等しい。自分を支えてきた組織を邪魔と判断した時点で容赦なく排除する非情さ、それでいながら綿密な計画を立てて母親を殺した慎重さ、何よりも幼少の頃から優れた知能で傭兵団を結成したカリスマには驚かされる。
「僕が旧帝国の人間で会った事は革命団の幹部は全員知っている。それでも彼等は僕に付いて行くことを約束してくれた。君達はどうだい?僕を信用できるかい?」
「一つだけ聞かせて欲しい……あんたは王妃を倒した後、どうするつもりだ?」
「別に何も……生き延びれたら遠方に避難させた妻と子供と平和に暮らすだろうね。僕にとって旧帝国の野望はどうでもいい」
「そんな話を信じろっていうのかよ!?てめえ等のせいで何人が犠牲になったと思ってやがる!!腐敗竜が襲撃した時に俺のダチも死んだんだぞ!!」
「ガロ、止めろ!!」
「何してんだ馬鹿!!」
コタロウの言葉にガロは怒りを露わにしてコタロウの袖を掴んで持ち上げる。腐敗竜が冒険都市に襲撃を仕掛けたのは裏で旧帝国がキラウを動かしたからであり、ガロの友人だった兵士も犠牲になっている。だからガロは旧帝国に所属していたコタロウを殴りつけようとしたが、モリモとダイアが慌てて抑えつけた。
「離せよ!!こいつらのせいで俺達がどんな目に遭ったと思っている!?」
「……確かに僕は旧帝国に所属していた。それは認めよう、僕の所属していた傭兵団の資金が旧帝国の援助を行っていたのも認める。だが、今は違う。僕はもう旧帝国の人間じゃない」
「信じられるかそんな事!!」
「考えても見てくれ、もう旧帝国は滅びたも同然だ。イレアビトにとっても自分の過去を知る者ほど邪魔な存在はいないだろう。そして僕は彼女の過去を知る数少ない人間だ」
「何が言いたいんですか?」
「僕も彼女に狙われる立場だ……だから戦う、家族を守るために」
旧帝国に所属していたコタロウだが、イレアビトの本性を知ってからは彼女の元を去り、今まで誰にも気づかれないように生きてきた。何時しか妻と子供も産まれ、平凡な人生を送ろうとしていた時にイレアビトが国王の王妃となったいう情報を聞いて恐怖した。彼女が自分の過去を他の人間に話さないように自分を始末するのではないかとコタロウは考えたという。
実際にコタロウの元にイレアビトの配下が何度も送り込まれ、自分の元に戻ってくるように促された事もあった。だが、家族を持ったコタロウはもう裏稼業の仕事など引き受けるつもりはなく、勧誘を断って何年も逃げ続けた。しかし、自分のせいで家族に逃亡生活を強いる今の現状に心苦しさを覚え、遂に彼はイレアビトと対立する事を決めた。
「イレアビトと国王の息子が産まれたと聞いた時点で僕は彼女がバルトロス王国の支配者になろうとしている事を確信した。もしもイレアビトの目的が果たされた時、僕達家族は安住の地を失う。他国に逃げようと国を支配した彼女ならばどんな手を使っても僕を見つけ出すだろう……そうなれば僕は家族を守る事は出来ない」
「だから王妃が国を支配する前に手を打つために革命団を結成したんですか?」
「そういう事になるね。それに幹部の中には僕と同様に王妃と浅はかならぬ因縁を持つ者も多い。王妃の政策に賛成しなかった事から追放された貴族、王妃の派閥に入ることを拒否した事で暗殺された将軍の息子、旧帝国に家族を殺された傭兵……彼女は敵が多いからね。彼等を勧誘していたら何時の間にかこんな大所帯になっていたよ」
コタロウの言葉に集まっていた幹部の表情が険しさを増し、どうやらこの場に集まった者達は王妃に個人的に恨みを抱いている者ばかりらしく、彼等は王妃を討つために一致団結していた。
「君はガロ君と言ったね、僕達の中には裏稼業に手を染めた人間も多い。だが、それでも王妃を討つという目的は共通している。君も大切な人を取り戻したいんだろう?」
「ぐうっ……!!」
「君達が仕えるマリア殿にも革命団の援助をしてもらっている。だから僕達はある意味では同志とも言えなくはない、協力してくれるかい?」
最後のコタロウの言葉はガロよりも黙って聞いていたレナに向けての言葉だった。革命団としても噂に聞くレナの実力は期待しているらしく、全員が視線を向けてくる。そんな彼等の反応にレナはため息を吐き出し、コタロウに質問する。
「あんたの事は正直に言えば信用できる人間か分からない。だけど、ナオ姫の救出作戦を教えて欲しい。判断はその後にしたい」
「駄目だ。僕達に協力してくれると約束してくれるまでは計画の事は話せないね」
「じゃあ、もしも俺達が断ったどうするつもりだ?」
「その場合は……悪いが君達にはここで死んでもらう」
レナの言葉にコタロウは手を上げると、即座に部屋の中に居た革命団の人員が武器を構える。だが、彼等が武器を抜く前にレナは反鏡剣を引き抜き、コタロウの首筋に構えた。
「――それは止めた方が良い、あまり俺達を舐めるなよ」
「っ……!?」
コタロウは一瞬にして距離を詰められ、自分の首に刃を向けるレナに冷や汗を流す。元々は傭兵だったコタロウでさえもレナの動作が見えず、気づいたら何時の間にか自分の首筋に剣を構えられていた。その光景を見て他の幹部たちに動揺が走り、その隙にハンゾウも二人の幹部の後頭部に苦無を構え、ガロも腰の件を引き抜いて自分の背後に回ろうとしていた幹部の胸元に刃先を構える。
「忍者を舐めないでほしいでござる殺気がバレバレでござったよ」
「ちっ……冒険者も舐めんじゃねえよ」
「くそ、こうなるのかよ!?」
「おいおい、そんな武器で俺に挑むつもりか?」
モリモは既に盾を構え、ダイアは筋肉を盛り上げて幹部を威嚇する。腕利きの冒険者である彼等の反応は素早く、相手が武器を抜いた時点で全員が反撃体勢を整えていた。予想以上の反応の速さにコタロウは驚き、そんな彼に紅色の瞳を怪しく光り輝かせながらレナは告げた。
「あんた等が何者だか知らないけど、こっちも相当に修羅場をくぐってるんだよ。あんまり人を舐めるなよ……おっさん」
「おっさん……この外見でそう呼ばれたのは初めてだな」
レナが反鏡剣を鞘に戻すとコタロウは安堵すると他の人間にも武器を下ろす様に命じ、幹部たちは黙って武器を戻して壁際に離れるとハンゾウ達も武器を収める。やがてコタロウは観念したように溜息を吐き出してレナの提案を受け入れた。
「君達の実力はよく分かった。いいだろう、誰か王城の地図を持ってきてくれ」
「それなら俺達も持っている」
コタロウの言葉にレナは緑影から受け取った地図の存在を思い出し、机の上に地図を広げる。緑影が持ち込んだ王城内の地図は革命団が入手した城内の地図よりも精巧に作られ、最新の情報が書き込まれていた。それを見てコタロウは感心したように地図を覗き込む。
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