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最終章 前編 〈王都編〉
王城への侵入方法
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「これは……凄いな、ここまで精巧な地図を何処で手に入れたんだい?」
「企業秘密、それよりも作戦を教えて欲しい」
「ああ、分かった。これに書き込んでいいかい?」
「問題ないよ」
自分達が入手した地図よりも精巧な見取図が記されている地図にコタロウは驚くが、すぐにペンを取り出して作戦の内容の説明を開始した。彼は王城内に存在する4つの地下牢を指差し、裏門と正門を円で描く。
「まず、ナオ姫が存在するのは北東の地下牢で間違いない。それと北西の地下牢には青の剣聖、南東には同じく剣聖のジャンヌが捕まっているという情報が入ってきた」
「何だと!?ジャンヌの奴も捕まってたのか!?あの馬鹿……」
「というか、青の剣聖も捕まってるのか?」
「ごほんっ……話を続けていいかい?」
二人が捕まっていたという情報はガロとモリモも初耳らしく、騒ぎ声をあげた彼等を会議室の全員が睨みつけて黙らせる。説明はまだ途中だったのでコタロウは咳ばらいを行い、具体的な救出方法を語った。
「我々の目的はナオ姫の救出、そのためには彼女を救い出すために城内の兵士と将軍達を排除しなければならない。だが、王城には現在3000名の兵士が滞在し、防壁には1万を超える兵士達が駐在している。それに城下町には十回している兵士達も数多く存在する」
「城内で騒ぎが起こればすぐに城下町と防壁の兵士達が駆けつけてくるか……」
「そこで我々は城内の兵士と城下町の兵士を引き寄せるためにある準備を整えている。この街に存在する廃屋を利用して火災を引き起こす。当然、被害は最小限に収めるようにするけどね」
「火災……火事を引き起こすつもりでござるか!?いくら何でもそれは……」
「ここまでしなければ兵士達を街の方へ誘き寄せる事が出来ない。複数の箇所に同時に火災が起きれば兵士達も対処のために動くはずだ」
コタロウの言葉にレナ達は難しい表情を浮かべ、確かに城下町で騒動を引き起こして兵士を招き寄せるという作戦事態は悪くはない。しかし、そのために廃屋とはいえ火事を起こすという過激すぎる作戦に不安を抱く。
「おい、いくら廃屋だからって火事を起こせば他の民家にも燃え移る可能性があるだろうが!!一般人に被害が出たらどうする!?」
「他に方法はない。まさか君達が街で騒動を起こして兵士達の目を引き付けるのかい?それは無理だろう、いくら強くても君達が数千の兵士に勝てるはずがない」
「ぐうっ……」
火災で兵士の注意を引くという作戦にガロは反対するが、コタロウは現状では他に良案はなく、この方法以外で兵士を城下町に引き寄せる事は出来ないと断言した。既に準備は整えているらしく、後は実行する段階に迫っていた。
「大丈夫、この作戦は周囲に火が燃え移らないように計算して行う。僕としても無関係の人間を巻き込みたくはないからね」
「だが、絶対に安全とは言い切れないのでござろう?」
「勿論、配慮はするが最悪の場合は死傷者も出るだろう。だが、そんな小さな事に拘っていてはイレアビトは殺せない」
「お前、人の命を何だと思っていやがる……!!」
「僕達は国を救おうとしているんだ。そのためなら最小限の被害も考慮しなければならない」
冷静な態度のままコタロウは説明を行うと、ガロとハンゾウは納得出来ない表情を浮かべるが、何も言い返さない。それを承諾と受け取ったコタロウは説明を続ける。
「まず、城下町で火災を引き起こして兵士の注意を引いた後、僕達は民衆を扇動して王城へ向かう。民衆の協力が得られれば王国の兵士達も迂闊には手を出さないだろう。最初に狙うのは正門だ」
「民衆に迷惑を掛ける癖に民衆頼りか?頼りになる統率者だな!!」
「それを言われると耳が痛いが……本命は別だ。民衆を誘導して僕達は正門に押し寄せれば兵士は自然と正門に集まる。その間に裏門ともう一つの出入口から侵入を試みるんだ」
「もう一つの出入口?」
「王城には王族がもしもの場合のために備えて脱出するための地下通路が存在する。勿論、こちらにも警備の兵士が待機しているだろうが、部隊を二つに分けて裏門と隠し通路から侵入を行う」
コタロウは王城の隅に存在する小部屋を指差し、緑影の地図にも記されていない隠し通路がこちらに存在する事を示す。正門には民衆を扇動して押し寄せ、その間に裏門と隠し通路から侵入を試みる作戦にレナ達は黙り込む。
「どうだい?これが僕達の考えた作戦だ。何か質問はあるかい?」
「……侵入するまではともかく、脱出はどうするんだ?」
「ナオ姫を救出した後、別動隊を隠し通路に送り込む。どうにか彼等と合流して外へ逃げ出してくれ」
「救出部隊の人数は?」
「高レベルの冒険者と傭兵が50人程度だ。民衆を扇動して正門に向かう部隊は10名、裏門から忍び込む部隊は30名、そして隠し通路から入り込む兵士は10名だ」
「どうして隠し通路から忍び込む人間の数が少ないのでござるか?この地図を見た限りでは最も侵入の成功確率が高いように思うでござるが……」
「隠し通路はあくまでも王族の脱出用に作られた通路だ。だから大人数で動ける程の幅は存在しない。だから大人数で動くと逆に行動が遅れる恐れがある」
「まあ、なら仕方ないか……」
レナは会議室に集まった人間達を見渡し、知り合いであるガロ達を除けば全員が冒険者か傭兵である事を確認する。全員が只物ではない事は伺えるが、それでもミドルや王妃の配下である子供達と渡り合える実力者とは思えない。
大将軍であるミドル以外にも王妃の配下には腕利きの将軍や厄介な能力を持つ人間も少なくはなく、侵入に成功したとしてもナオを救い出すまでに激しい戦闘になるだろう。だが、それとは別にレナはある人物の事が気になり、コタロウに尋ねる。
「……大将軍のレミアは何処に居る?」
「レミア?ああ、最近になって投獄されたと聞いているよ。確か南西の牢獄に捕まっていると聞いているが……どうしてそんな事を聞く?」
大将軍であるレミアが地下牢に捕らわれているのは革命団にとっても都合が良く、拘束されている以上は何らかの罪を犯しているため、侵入時にレミアが革命団の前に現れる事はない。だが、彼女が拘束されている場所を聞き出したレナはある考えが浮かび、コタロウに質問した。
「この作戦の決行日は?」
「明日の夜までには全ての準備を整える。君達が協力するというのなら出来れば王城の裏口か隠し通路の部隊に入ってもらいたい」
「いや、その2つだけじゃない。もう1つだけ進入路がある」
「何と!?それは真でござるか!?」
「何処から入るつもりだ!?」
レナの言葉にハンゾウとダイアが驚き、その一方でコタロウは険しい表情を浮かべて城内の地図を確認するが、先に告げた3つの出入口以外に王城へ入り込めそうな通路は見当たらない。それにも関わらずに堂々と侵入すると宣言したレナにコタロウは問い返す。
「……では聞かせてくれ、君達は何処から入るつもりだ?」
「ここだよ」
コタロウの言葉にレナは王城の中心地に存在する裏庭を指差し、全員が怪訝な表情を浮かべた。地図上には花壇や樹木が植えこまれているだけで特に変わりはなく、地下通路の類も隠されていない。一体どうやってレナはこんな場所から王城へ侵入するつもりなのかとコタロウが尋ねる前にレナは天井を指差す。
「俺達は空から城内へ侵入する」
「何だって?」
「そして裏庭へ侵入した後に俺達は派手に暴れる。その間に他の皆は地下牢へ潜入してナオを救い出してほしい」
レナの言葉に会議室の全員が唖然とした表情を浮かべ、上空から侵入を行うというレナの言葉に全員が信じられなかったが、レナは自分の作戦が成功させる自信はあった。
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「ああ、分かった。これに書き込んでいいかい?」
「問題ないよ」
自分達が入手した地図よりも精巧な見取図が記されている地図にコタロウは驚くが、すぐにペンを取り出して作戦の内容の説明を開始した。彼は王城内に存在する4つの地下牢を指差し、裏門と正門を円で描く。
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「何だと!?ジャンヌの奴も捕まってたのか!?あの馬鹿……」
「というか、青の剣聖も捕まってるのか?」
「ごほんっ……話を続けていいかい?」
二人が捕まっていたという情報はガロとモリモも初耳らしく、騒ぎ声をあげた彼等を会議室の全員が睨みつけて黙らせる。説明はまだ途中だったのでコタロウは咳ばらいを行い、具体的な救出方法を語った。
「我々の目的はナオ姫の救出、そのためには彼女を救い出すために城内の兵士と将軍達を排除しなければならない。だが、王城には現在3000名の兵士が滞在し、防壁には1万を超える兵士達が駐在している。それに城下町には十回している兵士達も数多く存在する」
「城内で騒ぎが起こればすぐに城下町と防壁の兵士達が駆けつけてくるか……」
「そこで我々は城内の兵士と城下町の兵士を引き寄せるためにある準備を整えている。この街に存在する廃屋を利用して火災を引き起こす。当然、被害は最小限に収めるようにするけどね」
「火災……火事を引き起こすつもりでござるか!?いくら何でもそれは……」
「ここまでしなければ兵士達を街の方へ誘き寄せる事が出来ない。複数の箇所に同時に火災が起きれば兵士達も対処のために動くはずだ」
コタロウの言葉にレナ達は難しい表情を浮かべ、確かに城下町で騒動を引き起こして兵士を招き寄せるという作戦事態は悪くはない。しかし、そのために廃屋とはいえ火事を起こすという過激すぎる作戦に不安を抱く。
「おい、いくら廃屋だからって火事を起こせば他の民家にも燃え移る可能性があるだろうが!!一般人に被害が出たらどうする!?」
「他に方法はない。まさか君達が街で騒動を起こして兵士達の目を引き付けるのかい?それは無理だろう、いくら強くても君達が数千の兵士に勝てるはずがない」
「ぐうっ……」
火災で兵士の注意を引くという作戦にガロは反対するが、コタロウは現状では他に良案はなく、この方法以外で兵士を城下町に引き寄せる事は出来ないと断言した。既に準備は整えているらしく、後は実行する段階に迫っていた。
「大丈夫、この作戦は周囲に火が燃え移らないように計算して行う。僕としても無関係の人間を巻き込みたくはないからね」
「だが、絶対に安全とは言い切れないのでござろう?」
「勿論、配慮はするが最悪の場合は死傷者も出るだろう。だが、そんな小さな事に拘っていてはイレアビトは殺せない」
「お前、人の命を何だと思っていやがる……!!」
「僕達は国を救おうとしているんだ。そのためなら最小限の被害も考慮しなければならない」
冷静な態度のままコタロウは説明を行うと、ガロとハンゾウは納得出来ない表情を浮かべるが、何も言い返さない。それを承諾と受け取ったコタロウは説明を続ける。
「まず、城下町で火災を引き起こして兵士の注意を引いた後、僕達は民衆を扇動して王城へ向かう。民衆の協力が得られれば王国の兵士達も迂闊には手を出さないだろう。最初に狙うのは正門だ」
「民衆に迷惑を掛ける癖に民衆頼りか?頼りになる統率者だな!!」
「それを言われると耳が痛いが……本命は別だ。民衆を誘導して僕達は正門に押し寄せれば兵士は自然と正門に集まる。その間に裏門ともう一つの出入口から侵入を試みるんだ」
「もう一つの出入口?」
「王城には王族がもしもの場合のために備えて脱出するための地下通路が存在する。勿論、こちらにも警備の兵士が待機しているだろうが、部隊を二つに分けて裏門と隠し通路から侵入を行う」
コタロウは王城の隅に存在する小部屋を指差し、緑影の地図にも記されていない隠し通路がこちらに存在する事を示す。正門には民衆を扇動して押し寄せ、その間に裏門と隠し通路から侵入を試みる作戦にレナ達は黙り込む。
「どうだい?これが僕達の考えた作戦だ。何か質問はあるかい?」
「……侵入するまではともかく、脱出はどうするんだ?」
「ナオ姫を救出した後、別動隊を隠し通路に送り込む。どうにか彼等と合流して外へ逃げ出してくれ」
「救出部隊の人数は?」
「高レベルの冒険者と傭兵が50人程度だ。民衆を扇動して正門に向かう部隊は10名、裏門から忍び込む部隊は30名、そして隠し通路から入り込む兵士は10名だ」
「どうして隠し通路から忍び込む人間の数が少ないのでござるか?この地図を見た限りでは最も侵入の成功確率が高いように思うでござるが……」
「隠し通路はあくまでも王族の脱出用に作られた通路だ。だから大人数で動ける程の幅は存在しない。だから大人数で動くと逆に行動が遅れる恐れがある」
「まあ、なら仕方ないか……」
レナは会議室に集まった人間達を見渡し、知り合いであるガロ達を除けば全員が冒険者か傭兵である事を確認する。全員が只物ではない事は伺えるが、それでもミドルや王妃の配下である子供達と渡り合える実力者とは思えない。
大将軍であるミドル以外にも王妃の配下には腕利きの将軍や厄介な能力を持つ人間も少なくはなく、侵入に成功したとしてもナオを救い出すまでに激しい戦闘になるだろう。だが、それとは別にレナはある人物の事が気になり、コタロウに尋ねる。
「……大将軍のレミアは何処に居る?」
「レミア?ああ、最近になって投獄されたと聞いているよ。確か南西の牢獄に捕まっていると聞いているが……どうしてそんな事を聞く?」
大将軍であるレミアが地下牢に捕らわれているのは革命団にとっても都合が良く、拘束されている以上は何らかの罪を犯しているため、侵入時にレミアが革命団の前に現れる事はない。だが、彼女が拘束されている場所を聞き出したレナはある考えが浮かび、コタロウに質問した。
「この作戦の決行日は?」
「明日の夜までには全ての準備を整える。君達が協力するというのなら出来れば王城の裏口か隠し通路の部隊に入ってもらいたい」
「いや、その2つだけじゃない。もう1つだけ進入路がある」
「何と!?それは真でござるか!?」
「何処から入るつもりだ!?」
レナの言葉にハンゾウとダイアが驚き、その一方でコタロウは険しい表情を浮かべて城内の地図を確認するが、先に告げた3つの出入口以外に王城へ入り込めそうな通路は見当たらない。それにも関わらずに堂々と侵入すると宣言したレナにコタロウは問い返す。
「……では聞かせてくれ、君達は何処から入るつもりだ?」
「ここだよ」
コタロウの言葉にレナは王城の中心地に存在する裏庭を指差し、全員が怪訝な表情を浮かべた。地図上には花壇や樹木が植えこまれているだけで特に変わりはなく、地下通路の類も隠されていない。一体どうやってレナはこんな場所から王城へ侵入するつもりなのかとコタロウが尋ねる前にレナは天井を指差す。
「俺達は空から城内へ侵入する」
「何だって?」
「そして裏庭へ侵入した後に俺達は派手に暴れる。その間に他の皆は地下牢へ潜入してナオを救い出してほしい」
レナの言葉に会議室の全員が唖然とした表情を浮かべ、上空から侵入を行うというレナの言葉に全員が信じられなかったが、レナは自分の作戦が成功させる自信はあった。
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