不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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最終章 王国編

朗報と悲報

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――空間魔法を駆使してレナ達は無事に革命団が保有する隠れ家の1つに移動を行い、元々は冒険者の訓練場として設計された広間へ到着する。これで黒渦を維持せずに済んだレナはやっと肩の力を抜く。


「ふうっ……やっぱり、魔法を維持し続けるのはきついな」
「レナ様、こちらをお飲み下さい。森に会った数種類の薬草を配合して作り出した魔力回復薬です」
「お、ありがとうございます」


リンダから小瓶を渡され、有難くレナは中身を飲む。回復薬とは異なり、魔力を回復するさせる薬品は遅効性のため、効果が現れるまで時間が掛かる。まだ作戦開始の時間までには余裕があるため、レナはアイリスから助言を守って剣と魔法を組み合わせた技を生み出すために訓練を行おうとした。


「ゴンちゃん、ちょっと悪いけど相手をして……して」
「レナ?」


だが、ゴンゾウに訓練の相手を頼もうとしたレナは急な眠気に襲われ、その様子を見て心配した全員が近寄ろうとした時、レナの身体が前のめりに倒れ込む。


「うっ……」
「レナ!?おい、どうした!?」
「すぐに横にしてください!!」


級に倒れ込もうとしたレナを咄嗟にゴンゾウが抱きかかえると、リンダが皆を落ち着かせるように説明する。すぐに床に毛布が敷き詰められ、彼女はレナを横にすると安心した表情を浮かべた。


「大丈夫です、どうやら薬の効果で眠っただけのようです」
「薬って……おい、まさかさっきの薬に何か混ぜていたのか!?」
「はい。こうしなければレナ様は休もうとしないでしょう……少々強引でしたが、魔力と体力を回復させるにはこれが一番なんです」
「お、驚いたよ~……」


リンダは渡した薬には睡眠を促す効果もある薬草も混ざっていたため、緊張の糸が切れた事で精神が緩んでいたレナは呆気なく眠りにつく。そんな彼の元にリンダは両手を押し当てると、外見では分からないが相当に身体を酷使している事が発覚する。

これまでにレナは常に空間魔法を維持し続けていた事で魔力の大部分を消耗し、更にメドゥーサとの戦闘や王国兵との交戦で体力も使い切っていた。ここまで意識を保っていた事自体が奇跡に近く、しばらくの間は休ませる必要があった。


「レナ様は今回の作戦の要を任せられています。なのでこれ以上に無茶な行動は控えるべきでしょう」
「でも、だからってこんな方法で眠らせなくても……」
「私達が休むように言ってもきっとこの方は聞き入れないでしょう。それならば薬の効果で考える暇もなく休ませる方が得策かと……」
「そ、そうですか……」


意外と大胆な行動を起こすリンダにゴンゾウ達は戸惑うが、レナに身体を休めて欲しいという思いは皆も同じのため、彼女の行動を咎めはしない。それにこの場に居る全員もずっと起きていたので作戦前に仮眠を取る必要があるため、全員が就寝の準備を行う。


「ううっ……スラミンが、スラミンの大群が襲ってくる」
「レナがうなされている……でも、楽しそうな夢を見てる」
「ぷるるんっ」


枕代わりにスラミンを頭に敷いたレナの寝顔を覗きながら全員が休む準備を整える。隠れ家にはベッドがある部屋も存在するが、この場に居る全員分のベッドはなく、それに下手に動かすと目を覚ます可能性があるので仲間達はレナを中心に毛布を地面に敷いて横になる。

作戦の決行まで十分に時間はあるため、全員が少しでも身体を休ませようと眠りにつくが、聴覚の鋭いハンゾウ、ティナ、エリナ、リンダの3人は訓練場の外側から近寄ってくる足音を耳にして起き上がった。訓練場に繋がる扉は一つしか存在せず、リンダが起き上がって外に立つ人間を問い質す。


「何者ですか?ここは立ち入り禁止にするように申し出ているはずですが……」
『革命団の団長を務めるコタロウだ。そこにハンゾウ君はいるかい?』
「おお、コタロウ殿でござるか!!どうぞ、中に入っても構わないでござる」


外から聞こえてきた声を聞いてハンゾウはすぐに扉を開くと、そこにはコタロウとアイラの姿が存在し、一足先に隠れ家に戻って治療を受けていたバルの姿も存在した。3人の他にはガロとモリモとダイアの姿も存在し、それを見たミナが慌てて駆けつける。


「モリモ!!それにガロも!!どうしてここに!?」
「おお、ミナ!!やっぱりお前もここに来たのか!!」
「おい……なんで俺よりモリモの名前を先に呼んだんだ?」
「おいおい、落ち着けよ……本当にお前はミナの嬢ちゃんに関わる事だと冷静さを失くすな」


嬉しそうにモリモとハイタッチを行うミナにガロが少しショックを受けた表情を浮かべ、ダイアがそんな彼を慰める。そんな彼等の横を素通りしてコタロウはハンゾウの元へ向かい、彼女から事情を説明してもらう。


「君の言う通りに大人数が入れる程の広間を用意したが……まさか本当にこれだけの人数の仲間を呼び寄せるとは驚いたよ。一体どんな手品を使ったんだい?」
「それは企業秘密でござる。まあ、転移魔法みたいな物で帰ってきたと思えばいいでござる」
「そうか、なら深くは聞かないよ。それにしもて……まさか王国四騎士の方が勢ぞろいになるとは心強いね」
「え?ちっちゃいお兄さんはあたしらの事を知ってるんですか?」
「エリナ、失礼ですよ」
「いや、気にしないでくれ。革命団の団長と言っても、革命団には上下関係はない。同じ目的を持つ仲間同士だからね、変に気を遣わないでくれ」


自分達の存在を知っていたコタロウにエリナ達は驚くが、彼の告げた「勢ぞろい」という言葉が気にかかり、この場に存在する王国四騎士はエリナとリンダだけのはずだが、出入口の扉から二つの人影が現れた。


「リンダ、やはりお前達も無事だったか」
「……どうも」
「アカイ!!それにジダンも……二人とも無事だったのですね!!」


姿を現したのはエリナ達と同じく王国四騎士であるアカイとジダンが訓練場に足を踏み入れ、再会を喜び合う。どうやら二人も王都に潜入していたらしく、革命団と合流して匿って貰っていたらしい。


「この二人は王城に捕まっているヨツバ王国の王族の方々の救出のため、少し前から僕達に協力してくれているんだよ」
「国王様達も王城に捕まっているのですか!?」
「まだ確証はないけど、数日前に王城に森人族の集団が護送されたという報告が届いている。恐らく、王国軍に捕まったヨツバ王国の王族の方々だろうね」
「そんな……お父さんやお姉ちゃんやお兄ちゃんも捕まっているの!?」


ヨツバ王国の王族が捕らえられたという情報にティナは動揺し、リンダの方もその可能性を予測していたのか悲痛の表情を浮かべる。そんな二人の顔を見て王族の護衛を任されていたジダンはその場に跪き、自分が王族を守れずに一人だけ生き延びた事を謝罪した。


「申し訳ありませんティナ様……!!自分が不甲斐ないばかりに国王様達を守り切れず、自分だけが逃げ出すなど……この場でどうか私の首を切ってください!!」
「え、ええっ!?」


土下座をして自分を罰するように要求してくるジダンに対し、ティナは困惑の声を上げると彼女の代わりにアカイがジダンの頭に拳を叩き込む。


「愚か者が!!貴様が死ねば王族の方々がは戻ってくると思っているのか!?死を以て罪を償うぐらいならば、生き恥を晒してでも国のために忠誠を尽くせ!!」
「うぐっ!?」
「ジダン、貴方の身に何が起きたのかは知りませんが、アカイの言う通りです。今は王国四騎士が一致団結し、問題に当たる必要があるのです」


二人に諭されたジダンは頭に大きなたん瘤を作りながらも涙を流し、王族の救出を果たすためにティナに改めて謝罪と誓いを立てる。
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