不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

王国の対応

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「それだけの法外な金額を用意出来るはずがない事は相手側も承知しているはず……だが、拒否すれば我が国がヨツバ王国に対して敵意を抱いていると思われる。今回の返答でもしも要求を受けなければ相手は宣戦布告する気だろう。そうなれば王国に勝ち目はない」
「え?そんなにヨツバ王国は強い国なの?」
「いや、今現在の王国は父上……先王の死去と王妃の暗殺によって国が乱れている。王妃に従っていた貴族の多くが未だに私に完全に恭順したとは言い切れない。せめてマリア殿が居れば話は別だったんだが……」
「叔母様が人質に取られている以上、ヨツバ王国と戦争になるのは不味いな……」


現在の王国は未だに混乱が収まったとは言い切れず、国王という主柱がいなくなり、帝国最大の冒険者ギルドである氷雨のギルドマスターであるマリアが不在の以上、もしもヨツバ王国と戦争になればバルトロス王国側に勝ち目はないらしい。大将軍であるミドルも失った事は痛く、イレアビトと協力していたカノンは拘束され、現在この国には若手のレミアしか残っていない。

イレアビトに従っていた勢力も未だにナオに忠誠を誓ったとはいえず、それどころか混乱に乗じて彼女を排そうとする輩も居る可能性も高い。こんな状況でヨツバ王国に攻め込まれれば王国に勝ち目はなく、だからといって相手側の要求を引き受ける事も出来ない。


「どうにか石化されたデブリ国王達を助け出す方法があれば何とかなるかもしれないが……現在、文官達にメドゥーサの文献を調べさせて石化を解除する方法を探させているが、そもそも神話の魔物として扱われていた魔人族のせいか、資料自体が殆ど残っていない」
「メドゥーサか……俺があの時に目玉を潰しておけばこんな事にならなかったのに」
「貴方のせいじゃないわよ。まさかメドゥーサの目玉を自分の顔に移植する人間がいるなんて分かるはずがないもの」
「うえっ……確かにそんな事するなんて頭がイカれてるとしか思えないよな」


帰還したラナの報告から襲撃を仕掛けたのはキラウである事は判明しており、現在王国は彼女の足取りを探していた。だが、数十年も死霊使いとして裏の世界で活動していた彼女を捕まえる事は難しく、未だに手掛かりも掴んでいない状況だった。

石像にされた人間達を元に戻すにはメドゥーサの力を手に入れたキラウを倒せば解除させる事が出来る思われるが、その肝心のキラウが見つからなければどうしようもない。他の方法で石像を元に戻せないのか試してはいるが、結局は今日に至るまで何の成果もない。そこでレナはアイリスと久々に「交信」を行い、石化を解除する方法を尋ねる。


『アイリス』
『おお、何か久しぶりの交信ですね。どうかしました?』
『メドゥーサに石化された人間を戻す方法を教えて欲しい。それとキラウの居場所も』


時間を停止した状態でレナはこれまでの経緯を省いて率直に質問を行う。アイリスと交信した時点で彼女はレナの記憶を読み取れるため、事情を察したアイリスは質問に答える。


『なるほど……また、面倒な展開に陥ってますね。レナさんは本当にトラブルの星の元に生まれたんじゃないかとお思うぐらいに面倒事に巻き込まれますね』
『俺、転ぶ度に女の子にセクハラする事はないけど……』
『そっちのトラブルじゃないですよ!!まあ、それはともかく……メドゥーサの魔眼で石化された人間を元に戻す方法は基本的にはメドゥーサの魔眼の持ち主を倒す、あるいは魔眼の持ち主に石化を解除させる、この二つだけです』
『ええっ!?ナイタール液があれば石化を解除出来ないの!?』
『出来ませんよ!!そもそもナイタール液なんてこの世界にありませんから!!』


残念ながらメドゥーサの石化を解除する方法は魔眼の持ち主を討伐するか、石化を解除させる以外の二通りしか存在せず、魔道具や薬品の類で石化を解除するのは難しいという。


『石像にされた人間は内部で生きてますので数千年の月日が経過しようと死亡する事はありません。ある意味では不死の生物に変わりますね。ちなみに石像は非常に頑丈なので壊れる事も滅多にありません。硬度はアダマンタイトにも匹敵します』
『それは凄いな……でも、本当に魔眼の持ち主を倒す以外に方法はないの?』
『残念ながらこの時代では石化を解除させる方法は魔眼の持ち主をどうにかするしかありません。一応、未来では石化を解除する方法が発見されますが、この時代ではその方法を実践する事は出来ませんね』
『……仕方ない、キラウを捕まえるしかないか』
『それも難しいと思いますよ。今のキラウはヨツバ王国に戻っています。どうやらカレハと手を組んで悪巧みを行っていますね』
『ヨツバ王国に?』


予想していたとはいえ、やはりというべきかキラウの襲撃はヨツバ王国も関与しているらしく、今回の事件もヨツバ王国の自作自演だと判明した。アイリスによれば現在のヨツバ王国を支配しているカレハは国を掌握するために邪魔な存在だったデブリ国王と他の家族を石像にさせる事で邪魔させないようにしたらしい。


『このカレハという女は曲者ですよ。あのイレアビトでさえも欺いた女ですからね。まあ、器という時点ではイレアビトには劣りますが……』
『でも、このままじゃ戦争が始まる。そうなったら俺達に勝ち目はある?』
『難しいですね……バルトロス王国が現在動かせる兵士の数は10万人程度、その一方でヨツバ王国側は3万人の兵士を動かせます。兵士の数という点では王国側が有利ですが、ヨツバ王国の軍隊は間違いなく世界最強です。きっと惨敗するでしょうね』
『兵力差が3倍もあるのに勝てないの!?』
『戦争において重要になるのは魔法の力です。ですが、魔法の技術に関しては圧倒的に森人族が優れています。実際に精霊魔法の使い手には人間が扱う砲撃魔法は殆ど通用しない事はレナさんも知っているでしょう?』


精霊魔法と砲撃魔法では性質上、どうしても精霊魔法の方が有利になる。精霊の力を利用する魔法は質が高く、さらに魔力の消耗も抑えられるため、大量の魔力を消費する砲撃魔法では相性が悪い。もしも戦争になれば3倍程度の兵力差ではバルトロス王国軍がヨツバ王国軍には勝てないという。

しかも王国の戦力は先の王城の一件で激減し、大将軍であるミドルは死亡、カノンは捕縛され、その他にもイレアビトに従っていた優秀な配下も彼女の死後に姿を眩ましている。冒険者に協力を仰ごうにも王国内の最大の冒険者ギルドである氷雨のギルドマスターであるマリアさえもカレハに拘束されているため、彼女を人質に取られた場合は迂闊に動けない。

ヨツバ王国側も王国四騎士が全員不在という事になるが、それでも王国と比べれば十分な戦力は存在し、更に国王を含めた他の王族を取り戻すために躍起になるだろう。戦争になれば王国側に勝ち目はなく、相手が国となればレナ達でも太刀打ちは出来ない。


『考えれば考える程に不味い状況なんだな……』
『そういう事ですね。どうします?逃げるなら今の内ですよ』
『冗談言うな、こうなったらヨツバ王国に乗り込む。それで叔母様を助けてキラウも捕まえてカレハをぶっ飛ばす……どう?』
『やれやれ、仕方ないですね……それなら私が安全にレナさんをヨツバ王国に忍び込ませる方法を教えましょう。今回は邪魔される事はないと思うので最初から最後まで助言してあげますよ』
『頼りにしているよ相棒』


アイリスの言葉にレナは心強く感じ、やはり彼女以上に頼れる存在はおらず、危険を承知でレナはヨツバ王国に乗り込む事にした――
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