不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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外伝 ~ヨツバ王国編~

飛べ、スラミン!!

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『ぶるっしゃあああああああっ!!』
「うわぁあああっ!?」
「ぎゃああああっ!?」
「ひいいいいいっ!?」
『くぅっ……!?』


巨大化したスラミンの口内から鉄砲水を想像させる勢いで大量の水分が放出され、そのままウォータージェットのようにスラミンの巨体が浮き上がり、凄まじい速度で空中を移動する。レナ達はスラミンにしがみ付いて振り落とされないように気を付け、王都を取り囲む防壁へ向かう。

恐らくは時速100キロを軽く超える速度で移動する中、城下町の空にスラミンの放水によって美しい虹が発生する。やがてスラミンが体内の余分な水を全て吐き出すと勢いが落ちていき、大きな建物の上に落ちてしまう。


『ぷるんっ!!』
「うわぁっ!?」
「ダイン、しっかり掴まってないと落ちるよ!!」
「はわわっ」
「キュロロッ!?」
「ブモォッ……!!」


しかし、水分を吐き出しても体長を維持したままスラミンは屋根の上を弾み、別の建物の屋根へ向けて跳躍を繰り返す。レナ達は振り落とされないようにしっかりとしがみ付き、やがて防壁の近くまで辿り着く。


「よし、あと少しだスラミン!!頑張れ!!」
『ぷるるんっ!!』


勢いを付けてスラミンは跳躍を行い、防壁へ向けて飛び込む。レナ達を乗せた状態で遂には防壁を飛び越える事に成功したスラミンはそのまま防壁の周囲に存在する水堀の中に着水した。


『ぷるんっ!!』
「うわっ……やった!!脱出成功だ!!」
「おおっ……本当に上手く行った」
「よくやったぞスラミン!!お前は最高のスライムだ!!」
「ブモォッ……!!」
「キュロロッ♪」
『ぷるるんっ♪』


皆に褒められてスラミンは水堀の中で照れたように目元を細めるが、話している間にも防壁の上で警備していた兵士達がレナ達の存在に気付き、壁の上から矢を放つ。


「う、撃て!!侵入者だ!!」
「魔法兵!!すぐに奴等を仕留めろっ!!」
「いったい何処から現れたんだ!?」


兵士達は慌てた様子で弓矢を構え、魔法を扱える兵士も精霊魔法を発動させて攻撃を行う。あまり長居は出来ず、レナはスラミンをボード代わりに利用して水掘りを抜け出し、王都からの脱出を果たす。


「よし、皆全速力で逃げるよ!!十分に時間は稼げた!!」
「うおおおおっ!!逃げ足なら任せろぉっ!!」
「早く走るのは苦手……泳ぐのは得意だけど」
「キュロロッ!!」
「ブモォッ!!」


レナの指示に従って全員が駆け出し、走ることが苦手なコトミンとスラミンはアインが両肩で持ち上げて駆け抜ける。防壁を守護していた兵士達は逃走を開始したレナ達を追いかけるために準備を行い、城門を開いて白馬に跨った兵士達が追跡を行う。


「絶対に逃がすな!!」
「街の騒ぎは奴等の仕業か!?」
「何としても捕まえろっ!!」


無数の騎馬隊が草原を疾走するレナ達の後を追いかけ、その様子を走りながらレナは確認すると、上手く作戦通りに事が進んでいる事に笑みを浮かべる。実はレナ達の目的はこのまま逃げる事ではなく、兵士達の注意を引くことが目的であり、敢えて派手な脱出方法で王都の外へ抜け出した。

兵士達がレナ達に注目している間は当然だが他の警備が薄くなり、自由に行動しやすくなる。今回の作戦の本命はレナ達だけではなく、別行動を取っているティナ達である事に兵士達は気付いてはいない。しかし、いくら作戦といってもレナ達が捕まってしまえば意味は為さず、捕まらない程度にレナ達も逃走しなければならなかった。


「お、おいレナ!!なんか、風が強くなってきたんだけど……!?」
「うぷっ……砂煙が酷い」
「キュロロッ……!?」


ダインたちに声を掛けられてレナは城壁から出撃した騎馬隊から目を離すと、確かに皆の言う通りに草原にも関わらずに地面の砂を巻き上げながら強風が発生し、レナ達の行先を阻むように砂煙が発生する。


「この風は……!?」
「お、おい!?どうなってるんだよ、前が見えないぞ!?」
「あうっ……目が、開けられない」
「ブモォッ……!?」


砂煙がレナ達の場所にまで襲いかかり、まるで砂漠の「砂嵐」に襲われたように周囲の状況が把握できなくなった。最初にレナは考えたのはヨツバ王国の兵士達の魔法かと思ったが、風の聖痕は反応を示さない辺り、この砂煙の中には「風の精霊」の存在は感じられなかった。


(この砂煙……間違いなく、魔法の力で生み出された物だ。なのに風の精霊の存在が感じられないなんて……まさか、誰かが自分の魔力だけで魔法を作り出したのか!?)


考えられない事だが、唐突に発生した砂嵐は自然現象ではなく、何者かの手によって作り出された魔法である事は間違いない。恐らくは風属性と土属性を組み合わせた広域魔法だと考えられるが、驚くべき事にこれだけの規模の砂嵐を警世しながら風の精霊の存在を感じ取れない辺り、術者は精霊魔法を使わずに自分の魔力だけで魔法を発現させた事になる。

これほどの芸当ができる魔術師は世界にそう何人も存在せず、嫌な予感を覚えたレナは上空を見上げると、いつのまにか自分達が砂嵐の中心に存在する事に気付き、まるで台風の目のように周囲が竜巻に取り囲まれている事に気付く。






※作者からの割と重要な報告

カタナヅキ「た、大変だ~!!コミカライズ版の4~6話の無料公開が5月25日の10時で終了します!!」
レナ「えっ!?」
アイリス「まあ、仕方ない事じゃないんですか?」
カタナヅキ「何を言ってるんだ!!アイリスは単行本では大幅な修正を受けて素顔も見れなくなるかもしれないから、WEB版が消えたらお前の存在はますます希薄になるんだぞ!!」
アイリス「何でですか!!いい加減にそのネタを引っ張るのは止めなさい!!前回の話で私は普通に単行本でも出てきます!!」
カタナヅキ「1巻は、な……だが、2巻以降はどうかな?(; ・`д・´)」
アイリス「ふぁっ(; ゚Д゚)!?」
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