不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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S級冒険者編

王族としての振舞い

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――竜槍隊の実力を確かめた結果、彼等では残念ながら九尾の討伐に参加するのは難しいと判断したレナはレミアに討伐隊を組む事を反対する。王族であるレナの言葉には臣下であるレミアも逆らう真似はせず、そもそもあれだけの実力を見せつけられれば流石の彼女も反対は出来なかった。

だが、竜槍隊は決して弱くはなく、現時点でバルトロス王国の最強の騎士団である事には代わりはない。しかし、彼等が戦った相手は世界でただ一人と言っても過言ではない接近戦も得意な魔術師であった事が災いしたのだ。最もレナ以外の人物が戦ったとしても彼等がS級冒険者に匹敵するとは考えられず、どちらにしろ竜槍隊の同行は認められないだろう。

当初の予定通りに今回の九尾の討伐に関しては冒険都市の冒険者が主体となり、レミアはその補佐役として同行する事が決まる。仮にもバルトロス王国の大将軍を補佐役など問題があるのではないかと思われるが、今回の討伐に参加しているのは王子であるレナという事もあり、彼女はあくまでも王族に仕える臣下として補佐役を行うのであれば特におかしな話ではない。


「竜槍隊の人達、結構話すと良い人で良かったよ」
「そうですか……」
「あのミドルに指導を受けていただけはあるね。俺の知っている槍騎士の友達よりも多彩な技を覚えてたよ。そういえばレミアも……」
「レナ様、少しよろしいでしょうか?」


廊下を歩く途中、レナはレミアに呼び止められて不思議そうに振り返ると、彼女はその場に跪く。突然のレミアの行動にレナは驚くが、彼女は懇願する。


「……臣下の身でありながら、このような事をお願いするのは問題があるとは分かっていますが、どうしてもレナ様にお願い申し上げたい事があります」
「えっ……急にどうしたの?」
「先ほどの戦闘を拝見して、私の方もレナ様の強さを改めて思い知りました。ですが、やはり臣下として王族であるレナ様が九尾の討伐に参加する事は素直に認めかねます」
「それは……俺の実力が弱いから不安という事?」
「いえ、そうではありません!!」


レナはレミアの言葉を聞いて不思議に思うが、レミアが言いたいのはレナの強さが問題ではなく、王族でありながら自ら危険な行為を進んで行おうとすることを諫めた。


「これはバルトロス王族に仕える臣下として申し上げます。レナ様は確かにお強い、その力は剣聖の域を超え、あのミドル大将軍にも匹敵するでしょう。しかし、王族という立場でありながら冒険者という危険な職業に就き、あまつさえ本来は臣下が行うべき仕事を進んで行うのは間違っています!!」
「えっと……つまり、王族なのに危険な事をするなと言いたいの?」
「そうです!!レナ様は王族であられる以上、無用な危険事に首を突っ込むのはお辞めください!!レナ様はご自身がこの国にとってどれだけ重要な存在なのかを理解していません!!もしも貴方が無くなればどれほどの人間が苦しみ、悲しむと思っているのですか!?」
「そう言われても……」


バルトロス王国の王族として復帰したレナではあるが、彼の生活は追放されいた時期と変わらず、王族として縛られる事はなく生活を送っている。しかし、その事に関してレミアは不満があった。


「勿論、追報された期間が長く、王族として振舞えと言われても難しいとは思います。ですが、レナ様はもう立派な王族なのです!!王族であるのならば無用な危険は避けて臣下に任せるべきです!!それなのにレナ様は危険な事は自ら行って解決しようとする節があります!!」
「それはそうかもしれないけど……」
「それが間違いなのです!!確かに国を背負う立場である国王の座はナオ様が受け継ぎました。しかし、だからといって王族であるレナ様が国を支える責務がなくなったわけではありません。王族であるのならばまずは自分の身を案じ、危険な事から避けるのが道理です!!私の言っている事は間違ってますか!?」
「うっ……間違ってはいないかな」
「そうでしょう?だからこそ、九尾の討伐の件はレナ様の参加なさるのはお辞めになってください!!」


レミアの言葉にレナは言い返す事が出来ず、確かに王族でありながら危険な魔物の討伐を自ら進んで行うなどおかしな話である。だからこそ危険な仕事は臣下である自分達に任せるようにとレミアは進言するが、ここでレナはある事を思い出す。


「あれ?でも、そのわりにはナオだって国王になる前は騎士団を率いて色々と危険な事をやっていたような気がするんだけど……」
「えっ……あっ、いや、それはですね」


深淵の森から抜け出したばかりの頃、レナはヴァルキュリア騎士団という女騎士で構成された騎士団をナオが率いていた事を思い出し、彼女は王族でしかも王位継承者の身分でありながら騎士団を率いて自ら危険な任務に就いていた事を指摘する。そのレナの言葉に対してレミアは言い返す事が出来ず、王族でありながらナオは進んで危険な行為を犯していた事になる。
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