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S級冒険者編
レナVSレミア
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「い、いえ……ナオ様とレナ様では立場が違います!!確かにナオ様は若い頃から無茶をしていましたが、傍には騎士団が存在しました!!」
「いや、それなら俺の側にも頼りになる人はいっぱいいるけど……シズネとかゴンちゃんの事はレミアも知ってるでしょ?」
「そ、それはそうですが……私が言いたいのはレナ様の場合は自ら進んで危険な事に首を突っ込み過ぎです!!どうしてレナ様が危険な事をしなければならないのですか?」
『あ、それは私も同感ですね。レナさん、危険な事は自分で解決しようとする節はありますね』
レミアの言い分にレナの心の中でアイリスも茶化してくるが、そんな彼女に「やかましいわ」と返事を与えながらもレナは向き直る。
「といってもね、俺としても王族の身分は理解しているよ。だけど、最近ヨツバ王国で王族同士の争いを知っているだけに大人しく城の中で引きこもるのは出来ないんだよ」
「そ、それは分かりますが……」
「実際、ナオが王位を継承するときに俺の事を国王にしようとした奴等もいるんでしょ?」
ナオが国王の座に就く際、ほんの少数ではあるが貴族の中でレナの事を王位に就かせようとした人間達もいた。結果的にはレナの方が話を断ったので大事にはならなかったが、バルトロス王国の慣習では最初に生まれた男児が本来は王に就けるはずであった。
先代の王であるバルトロス13世はレナが不遇職という理由で追放したが、現在はナオの配慮のお陰で身分は元に戻り、現在は世間にもレナの存在を知られている。レナが不遇職であるという事実もあるが、S級冒険者に昇格し、更には冒険都市で地竜の討伐を果たしたという功績を残したレナを馬鹿にする人間はいない。だが、同時に世間の彼の評価が高まった事で問題も起きていた。
「レナ様は一般人の間からご自分がなんと呼ばれているか知っていますか?竜殺し、魔法剣士、国の救世主、スライムハンター……ともかく、色々と渾名があります」
「スライムハンターてなに?」
「それはどうでもいい事です、とにかく、レナ様はこの国を救い、ヨツバ王国との衝突も避ける事に成功しました……ですが、そのせいでナオ様の身分を危うくさせているのです」
「どうしてナオが……」
「当然のお話です。レナ様が功績を上げれば上げるほど、ナオ様の名声よりもレナ様の名声が広がっていきます。そうなった場合、一番困らせるのはナオ様ですよ?」
レミアは国王であるナオよりもレナの名声が世間に広がっていく事を恐れ、これ以上に目立つ行動は避けるように促す。そのためには今回の九尾の討伐にレナが参加する事に反対するが、相手が竜種級の危険な魔物だと知ればレナも黙ってはいられない。
「レミアの言いたい事は分かったよ、ナオの事を心配しているのもね。だけど、九尾に関しては俺も参加しないわけにはいかない。こっちとしても同じS級冒険者がやられていると知って黙ってられないよ」
「……そうですか、どうしても私の願いは聞き入れられないというのですね」
「ごめんね」
「ですが、私も諦めるつもりはありません……レナ様、今から私に稽古を付けてくれませんか?」
「……稽古?」
唐突な提案にレナは戸惑うが、レミアは裏庭の方に視線を向け、人気がない事を確認するとレナに移動するように促す――
――数分後、裏庭に移動した二人は向かい合うと、レミアは10メートルほど離れた距離でレナに顔を向ける。そして彼女は意識を集中させると、全身に聖属性の魔力を纏わせ、両腕に「槍の形」に変化させた魔力を身に着けた。
「聖槍」
「おおっ……」
レナは目の前で本物の槍と見間違えるほどの形をした魔力を身に着けたレミアに驚き、彼女の扱うのはレナが知る「魔装術」と同じ原理ではあるが、本人はこの技の事を「聖装」と呼んでいる。レミアは生まれながらに聖属性の適性だけしか存在せず、それでいながら膨大な魔力を所有していた。
彼女の家系のルトリア家はバルトロス王国と同様に勇者の家系でもあり、ヨツバ王国のハヅキ家やミドリ家のように特別な存在でもある。レミアは若かりし頃に当主と大将軍の座を兼任するが、その実力はミドルやカノンにも劣らない。
「レナ様は竜槍隊に任せられないというのであれば、私一人ででも九尾の討伐を果たします。しかし、レナ様は私の実力を把握していないからこそ不安に思われているのでしょう」
「まあ、それもあるけど……」
「ならばここで私の力を見せましょう。竜種に匹敵するといっても、その竜種を上回る力を私が持つ事を証明すれば安心してくださいますか?」
レミアの発言は他人が聞けば自分は竜種よりも強いと言っているように聞こえるだろうが、実際にレミアと相対したレナは今までの彼女からは考えられない程の「威圧」を感じていた。忘れていたがレミアは若い頃から大将軍を任せられる立場であり、功績も立てている。かつてレナを苦しめた腐敗竜でさえも彼女は単独で討伐できるとアイリスから言われた事を思い出した。
※アイリス「まあ、レミアが勝てるのは腐敗竜と相性が良かっただけなんですけどね……(´・ω・)」
「いや、それなら俺の側にも頼りになる人はいっぱいいるけど……シズネとかゴンちゃんの事はレミアも知ってるでしょ?」
「そ、それはそうですが……私が言いたいのはレナ様の場合は自ら進んで危険な事に首を突っ込み過ぎです!!どうしてレナ様が危険な事をしなければならないのですか?」
『あ、それは私も同感ですね。レナさん、危険な事は自分で解決しようとする節はありますね』
レミアの言い分にレナの心の中でアイリスも茶化してくるが、そんな彼女に「やかましいわ」と返事を与えながらもレナは向き直る。
「といってもね、俺としても王族の身分は理解しているよ。だけど、最近ヨツバ王国で王族同士の争いを知っているだけに大人しく城の中で引きこもるのは出来ないんだよ」
「そ、それは分かりますが……」
「実際、ナオが王位を継承するときに俺の事を国王にしようとした奴等もいるんでしょ?」
ナオが国王の座に就く際、ほんの少数ではあるが貴族の中でレナの事を王位に就かせようとした人間達もいた。結果的にはレナの方が話を断ったので大事にはならなかったが、バルトロス王国の慣習では最初に生まれた男児が本来は王に就けるはずであった。
先代の王であるバルトロス13世はレナが不遇職という理由で追放したが、現在はナオの配慮のお陰で身分は元に戻り、現在は世間にもレナの存在を知られている。レナが不遇職であるという事実もあるが、S級冒険者に昇格し、更には冒険都市で地竜の討伐を果たしたという功績を残したレナを馬鹿にする人間はいない。だが、同時に世間の彼の評価が高まった事で問題も起きていた。
「レナ様は一般人の間からご自分がなんと呼ばれているか知っていますか?竜殺し、魔法剣士、国の救世主、スライムハンター……ともかく、色々と渾名があります」
「スライムハンターてなに?」
「それはどうでもいい事です、とにかく、レナ様はこの国を救い、ヨツバ王国との衝突も避ける事に成功しました……ですが、そのせいでナオ様の身分を危うくさせているのです」
「どうしてナオが……」
「当然のお話です。レナ様が功績を上げれば上げるほど、ナオ様の名声よりもレナ様の名声が広がっていきます。そうなった場合、一番困らせるのはナオ様ですよ?」
レミアは国王であるナオよりもレナの名声が世間に広がっていく事を恐れ、これ以上に目立つ行動は避けるように促す。そのためには今回の九尾の討伐にレナが参加する事に反対するが、相手が竜種級の危険な魔物だと知ればレナも黙ってはいられない。
「レミアの言いたい事は分かったよ、ナオの事を心配しているのもね。だけど、九尾に関しては俺も参加しないわけにはいかない。こっちとしても同じS級冒険者がやられていると知って黙ってられないよ」
「……そうですか、どうしても私の願いは聞き入れられないというのですね」
「ごめんね」
「ですが、私も諦めるつもりはありません……レナ様、今から私に稽古を付けてくれませんか?」
「……稽古?」
唐突な提案にレナは戸惑うが、レミアは裏庭の方に視線を向け、人気がない事を確認するとレナに移動するように促す――
――数分後、裏庭に移動した二人は向かい合うと、レミアは10メートルほど離れた距離でレナに顔を向ける。そして彼女は意識を集中させると、全身に聖属性の魔力を纏わせ、両腕に「槍の形」に変化させた魔力を身に着けた。
「聖槍」
「おおっ……」
レナは目の前で本物の槍と見間違えるほどの形をした魔力を身に着けたレミアに驚き、彼女の扱うのはレナが知る「魔装術」と同じ原理ではあるが、本人はこの技の事を「聖装」と呼んでいる。レミアは生まれながらに聖属性の適性だけしか存在せず、それでいながら膨大な魔力を所有していた。
彼女の家系のルトリア家はバルトロス王国と同様に勇者の家系でもあり、ヨツバ王国のハヅキ家やミドリ家のように特別な存在でもある。レミアは若かりし頃に当主と大将軍の座を兼任するが、その実力はミドルやカノンにも劣らない。
「レナ様は竜槍隊に任せられないというのであれば、私一人ででも九尾の討伐を果たします。しかし、レナ様は私の実力を把握していないからこそ不安に思われているのでしょう」
「まあ、それもあるけど……」
「ならばここで私の力を見せましょう。竜種に匹敵するといっても、その竜種を上回る力を私が持つ事を証明すれば安心してくださいますか?」
レミアの発言は他人が聞けば自分は竜種よりも強いと言っているように聞こえるだろうが、実際にレミアと相対したレナは今までの彼女からは考えられない程の「威圧」を感じていた。忘れていたがレミアは若い頃から大将軍を任せられる立場であり、功績も立てている。かつてレナを苦しめた腐敗竜でさえも彼女は単独で討伐できるとアイリスから言われた事を思い出した。
※アイリス「まあ、レミアが勝てるのは腐敗竜と相性が良かっただけなんですけどね……(´・ω・)」
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