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S級冒険者編
聖槍と聖鎧
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――キラウが蘇らせた腐敗竜が冒険都市に襲撃を仕掛ける前、レナはアイリスからレミアならば単独で腐敗竜を倒せるという話を聞いていた。正確に言えばアイリスによるとレミアは腐敗竜に勝てるのは相性が良いからであり、実力で勝っているとは言い難いらしい。
レミアが扱う「聖槍」は紛れもなくレナがホネミンから学んだ「魔鎧術」で間違いなく、ヨツバ王国の一部の剣士のみに扱われる「魔刀術」も元々は同じ原理で作り出された技術である。但し、魔鎧術の場合は全身に鎧のように魔力を纏い、魔刀術の場合は武器に纏わせる。しかし、レミアの場合は自分の魔力を鎧だけではなく武器のように変形させて攻撃する事が出来る。
レナの扱う魔鎧術は「蒼炎」で武器に纏わせたり、場合によっては肉体に覆いこむ事は出来る。しかし、レミアのように武器のように変化させて攻撃するなどの芸当は出来ない。これはレアとレミアの魔鎧術の性質その物が違うという点もあり、単純に技量の差ではレミアが勝るのだろう。
『レナさんは魔鎧術を習得したのはせいぜい数か月、一方でレミアの方は十数年です。本来、聖属性は攻撃に不向きなんですが、レミアの場合は特殊な家系なので魔力の質量は常人とは比べ物になりません。気を付けて下さいね』
『分かった。俺、この戦いが終ったら結婚するんだ』
『いや、分かりやすい死亡フラグですね!!ていうか貴方もう結婚してるじゃないですか!!』
アイリスと交信を終えるとレナはレミアと向き直り、今回ばかりは手加減して勝てる相手ではないのでレナは退魔刀と大太刀を両手に出現させる。その様子を見てレミアも緊張を隠せず、レナに注意した。
「レナ王子、お約束ください。先に相手を戦闘不能、あるいは降参を余儀なくさせる状況に追い込んだ方の勝利でいいですね?」
「ああ、問題ないよ……でも、俺は強いよ?」
「よく存じております……闘技祭で見せつけた実力、そしてあのミドル大将軍を倒した貴方を弱いと思うはずがありません。しかし、私も最後の大将軍としての意地があります!!」
両腕に槍の形をした魔力を纏わせたレミアは構えると、まずは手始めにレナに向けて腕を伸ばす。その行為にレナは疑問を抱き、槍が届く距離にも関わらずに腕を伸ばしてきたレミアの行動に戸惑うが、すぐにその意図を察する。
(そうか、この槍は伸ばす事もできるのか!!)
レミアは腕に纏わせた槍の形を変形させ、魔力を増量させて槍のリーチを伸ばす。その結果としてレナの腹部に目掛けて槍が放たれると、咄嗟にレナは横へ回避しようとした。しかし、それを予測していたようにレミアは槍の軌道を変化させて追撃を行う。
「逃しません!!」
「うわっ!?」
自分に向けて伸びてきた槍が途中で曲がり、軌道を変化した事にレナは驚くが、魔力で構成された槍は伸びるだけではんく、形を自由自在に変化してレナに向かう。それを見たレナは咄嗟に縮地を発動させて回避を行うが、それを予測した様にレミアも動く。
「縮地ならば私も出来ます!!」
「うおっ!?」
レミアも同時に縮地を行い、レナに迫ると今度は両手の槍を突き出す。迫りくる二本の槍に対してレナは咄嗟に両手の武器で受け流そうとするが、刃に触れる直前でレミアは両手を合わせると二つの槍を合体させる。
「大聖槍!!」
「くっ!?」
受け流そうとしたレナの目の前に巨大な1本の槍に変化した聖槍が迫り、それを見たレナは咄嗟に退魔刀の刃で受け止めるが、予想以上の衝撃に後方に押し込まれる。それを見たレミアは両腕を引くと、今度は二つの槍に分離したかと思うと戦技を発動させた。
「乱れ突き!!」
「これは……!?」
レミアが両腕を利用して発動した結果、レナの視界にはまるで数十本の聖槍が同時に突き出されたようにしか見えなかったが、刺突系の戦技に関してはシズネとの組手で見慣れており、対応策も取りやすい。冷静に槍の動作を見極めて残像ではなく本物の槍の位置を確認すると、今度こそレナも受け流す。
「受け流し!!」
「くぅっ!?」
二つの槍を退魔刀と大太刀で正確に刃で軌道を逸らすと、レミアは両腕が弾かれたかのように後退り、唇を噛みしめた。その様子を見て反撃の好機と判断したレナは「風の聖痕」を発動させると、退魔刀に風の魔力を纏わせて魔法剣を放つ。
「風刃!!」
「きゃっ!?」
幼少期は多用していた初級魔法と支援魔法の合成魔術を退魔刀の刃から繰り出したレナの攻撃は、レミアの身体に衝突して吹き飛ばす。勝負有りかと思われたが、攻撃が受ける寸前にレミアは全身に「鎧」の形をした魔力を構成し、攻撃を防ぐ。
レナの目の前には白色に光り輝く魔力の鎧を身に着けたレミアが立ち尽くし、その姿にレナは闘技祭が開催される前に闘技場で戦った「黒騎士」を思い出す。黒騎士は元々はレミアの先祖がキラウの死霊術によって生み出された存在であり、どうやら既に黒騎士の扱う技術をレミアも習得していたらしい。
レミアが扱う「聖槍」は紛れもなくレナがホネミンから学んだ「魔鎧術」で間違いなく、ヨツバ王国の一部の剣士のみに扱われる「魔刀術」も元々は同じ原理で作り出された技術である。但し、魔鎧術の場合は全身に鎧のように魔力を纏い、魔刀術の場合は武器に纏わせる。しかし、レミアの場合は自分の魔力を鎧だけではなく武器のように変形させて攻撃する事が出来る。
レナの扱う魔鎧術は「蒼炎」で武器に纏わせたり、場合によっては肉体に覆いこむ事は出来る。しかし、レミアのように武器のように変化させて攻撃するなどの芸当は出来ない。これはレアとレミアの魔鎧術の性質その物が違うという点もあり、単純に技量の差ではレミアが勝るのだろう。
『レナさんは魔鎧術を習得したのはせいぜい数か月、一方でレミアの方は十数年です。本来、聖属性は攻撃に不向きなんですが、レミアの場合は特殊な家系なので魔力の質量は常人とは比べ物になりません。気を付けて下さいね』
『分かった。俺、この戦いが終ったら結婚するんだ』
『いや、分かりやすい死亡フラグですね!!ていうか貴方もう結婚してるじゃないですか!!』
アイリスと交信を終えるとレナはレミアと向き直り、今回ばかりは手加減して勝てる相手ではないのでレナは退魔刀と大太刀を両手に出現させる。その様子を見てレミアも緊張を隠せず、レナに注意した。
「レナ王子、お約束ください。先に相手を戦闘不能、あるいは降参を余儀なくさせる状況に追い込んだ方の勝利でいいですね?」
「ああ、問題ないよ……でも、俺は強いよ?」
「よく存じております……闘技祭で見せつけた実力、そしてあのミドル大将軍を倒した貴方を弱いと思うはずがありません。しかし、私も最後の大将軍としての意地があります!!」
両腕に槍の形をした魔力を纏わせたレミアは構えると、まずは手始めにレナに向けて腕を伸ばす。その行為にレナは疑問を抱き、槍が届く距離にも関わらずに腕を伸ばしてきたレミアの行動に戸惑うが、すぐにその意図を察する。
(そうか、この槍は伸ばす事もできるのか!!)
レミアは腕に纏わせた槍の形を変形させ、魔力を増量させて槍のリーチを伸ばす。その結果としてレナの腹部に目掛けて槍が放たれると、咄嗟にレナは横へ回避しようとした。しかし、それを予測していたようにレミアは槍の軌道を変化させて追撃を行う。
「逃しません!!」
「うわっ!?」
自分に向けて伸びてきた槍が途中で曲がり、軌道を変化した事にレナは驚くが、魔力で構成された槍は伸びるだけではんく、形を自由自在に変化してレナに向かう。それを見たレナは咄嗟に縮地を発動させて回避を行うが、それを予測した様にレミアも動く。
「縮地ならば私も出来ます!!」
「うおっ!?」
レミアも同時に縮地を行い、レナに迫ると今度は両手の槍を突き出す。迫りくる二本の槍に対してレナは咄嗟に両手の武器で受け流そうとするが、刃に触れる直前でレミアは両手を合わせると二つの槍を合体させる。
「大聖槍!!」
「くっ!?」
受け流そうとしたレナの目の前に巨大な1本の槍に変化した聖槍が迫り、それを見たレナは咄嗟に退魔刀の刃で受け止めるが、予想以上の衝撃に後方に押し込まれる。それを見たレミアは両腕を引くと、今度は二つの槍に分離したかと思うと戦技を発動させた。
「乱れ突き!!」
「これは……!?」
レミアが両腕を利用して発動した結果、レナの視界にはまるで数十本の聖槍が同時に突き出されたようにしか見えなかったが、刺突系の戦技に関してはシズネとの組手で見慣れており、対応策も取りやすい。冷静に槍の動作を見極めて残像ではなく本物の槍の位置を確認すると、今度こそレナも受け流す。
「受け流し!!」
「くぅっ!?」
二つの槍を退魔刀と大太刀で正確に刃で軌道を逸らすと、レミアは両腕が弾かれたかのように後退り、唇を噛みしめた。その様子を見て反撃の好機と判断したレナは「風の聖痕」を発動させると、退魔刀に風の魔力を纏わせて魔法剣を放つ。
「風刃!!」
「きゃっ!?」
幼少期は多用していた初級魔法と支援魔法の合成魔術を退魔刀の刃から繰り出したレナの攻撃は、レミアの身体に衝突して吹き飛ばす。勝負有りかと思われたが、攻撃が受ける寸前にレミアは全身に「鎧」の形をした魔力を構成し、攻撃を防ぐ。
レナの目の前には白色に光り輝く魔力の鎧を身に着けたレミアが立ち尽くし、その姿にレナは闘技祭が開催される前に闘技場で戦った「黒騎士」を思い出す。黒騎士は元々はレミアの先祖がキラウの死霊術によって生み出された存在であり、どうやら既に黒騎士の扱う技術をレミアも習得していたらしい。
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