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S級冒険者編
地下施設への入り口
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『間違いありません、この洞穴が地下施設に出入口です!!』
「これが出入口って……なんか味気ないな。それにこんな場所から地下施設に入れるのなら第五階層に辿り着いた冒険者だって簡単に見つかると思うけど」
『何を言ってんですか、そもそもこの第五階層にたどり着けるような人間は普通は勇者ぐらいですよ』
「まあ、一理あるけどさ」
「この中にその地下施設とやらがあるのか?」
ホネミンが発見した洞穴の前に全員が集まり、中の方を覗いてみると下り坂になっていることが発覚した。どうやら下に続いているのは間違いなく、まるで滑り台のように下の方へ移動できるらしい。だが、辺りが喰らいので明かりは必須らしく、レナは光球の魔法を発動させて奥を照らす。
「……思ったより、大分深そうだな。戻るのに苦労しそうだから、ロープでも用意しておこうか?」
『そうですね、帰り道の事を考えても退路を確保しておくのはいいことだと思います。ですけど、そんな都合よくロープなんてありますか?』
「大丈夫、こういう時は俺のチェーンを使おう」
「あ、久しぶりにそれ見た……」
レナは「神器チェーン」を取り出すと、洞穴の出入口の部分に大太刀を突き刺して鎖を巻き付ける。この鎖はレナの意思に合わせて長さが調整できるため、ロープ代わりに利用して降りる事が出来る。普段の戦闘では殆ど使用しない武器だが、勇者が作り出した神器の一つなので簡単に壊れる事はない。
「じゃあ、まずは俺が先に降りて様子を調べるよ。万が一の場合に備えて黒渦を置いていくから、危険だと判断したらすぐに戻ってくるね」
「レナ、気を付けて」
「む、無茶するなよ」
「何かあったらすぐに戻ってこい」
「頑張ってねレナ君!!」
「何があっても油断しては駄目よ」
『施設を見つけたらすぐに迎えに来てくださいね!!』
「分かってるよ……じゃあ、行ってくるよ」
チェーンを腕に巻きつけたレナは洞穴の中に入り込み、そのまま下り坂を滑り落ちていく。思っていた以上に深く、出入口の光が見えない距離まで下りていくと、レナは光球を頼りに周囲を照らす。
(想像以上に深いな……ホネミンの言うとおり、本当に地下施設の出入口なのかも)
下り坂を滑りながらもレナは気配感知と魔力感知の技能を発動させ、警戒は怠らない。魔物の中には地中を移動する魔物も珍しくはなく、一瞬の油断も出来ない――
――やがて下り坂を折りきるとレナは大きな空洞へと辿り着き、驚いた様子を浮かべて地下に存在する広大な空間を見渡す。ホネミンの宣言通り、どうやら本当に勇者が残した地下の施設へと辿り着いたらしく、レナの視界には古代遺跡を想像させる巨大な建造物が存在した。
「これが研究施設なのか……確かに前に訪れた遺跡で見かけた建物と雰囲気がよく似てるな」
建造物は古代ローマの遺跡を意識した造りとなており、かつてレナが訪れた勇者に関わる古代遺跡で見かけた建造物と似ていた。但し、こちらの建造物の方が圧倒的に大きく、同時に違和感を覚えた。
(なんだ?ここ、変な感じがする……なんだろう?)
何故かこの場所に陥った瞬間、レナは異様な雰囲気を感じ取って警戒心を高めるてしまう。気配感知も魔力感知にもなにも反応はないのだが、どうにも不安を抱かずにはいられず、皆を呼ぶ前にレナは右腕の鎖を取り外して様子を伺う。
まずは空洞全体は暗闇で覆われており、生き物の気配は全くと言っていいほどに感じられない。別に出入口が塞がれているわけでもないので簡単に地上の魔物も出入りできそうだが、何故かこの場所には一切の生物の気配を感じられなかった。
(蝙蝠どころか虫一匹も見当たらない……それにさっきから身体の調子がおかしい)
レナは空洞に訪れてから妙な気分に陥り、試しにレナは手のひらを差し出して風の聖痕を発動させようとした。だが、どういう事なのかこの空洞内には風の聖痕を発動させても風属性の精霊が集まる様子はなく、それどころか精霊の気配さえ感じ取れない。これがレナの違和感の正体だった。
(そうか、この場所には風の精霊がいないんだ!!でも、そんな事があり得るのか?完全に密封された場所ならともかく、外へと通じる通路があるのに風の精霊が1体も存在しないなんて……)
他の属性とは異なり、基本的に風の精霊はどんな場所にもで存在する。洞窟だろうが鍾乳洞だろうが外へと繋がる通路や隙間でもあれば風の精霊は入り込んでくるはずなのだが、この場所には風の精霊の存在が感じられない。そのせいでレナは異様な不安に襲われ、建物に視線を向ける。
ここがホネミンの言っていた研究施設である可能性は高いが、本能的にレナは建造物に迂闊に入ってはならないという不安を覚え、とりあえずは引き返すことにした。
※小説を読み返してみたらレナも神器を持っていたことを改めて思い出しました。(;´・ω・)コンナノカイテタッケ?
「これが出入口って……なんか味気ないな。それにこんな場所から地下施設に入れるのなら第五階層に辿り着いた冒険者だって簡単に見つかると思うけど」
『何を言ってんですか、そもそもこの第五階層にたどり着けるような人間は普通は勇者ぐらいですよ』
「まあ、一理あるけどさ」
「この中にその地下施設とやらがあるのか?」
ホネミンが発見した洞穴の前に全員が集まり、中の方を覗いてみると下り坂になっていることが発覚した。どうやら下に続いているのは間違いなく、まるで滑り台のように下の方へ移動できるらしい。だが、辺りが喰らいので明かりは必須らしく、レナは光球の魔法を発動させて奥を照らす。
「……思ったより、大分深そうだな。戻るのに苦労しそうだから、ロープでも用意しておこうか?」
『そうですね、帰り道の事を考えても退路を確保しておくのはいいことだと思います。ですけど、そんな都合よくロープなんてありますか?』
「大丈夫、こういう時は俺のチェーンを使おう」
「あ、久しぶりにそれ見た……」
レナは「神器チェーン」を取り出すと、洞穴の出入口の部分に大太刀を突き刺して鎖を巻き付ける。この鎖はレナの意思に合わせて長さが調整できるため、ロープ代わりに利用して降りる事が出来る。普段の戦闘では殆ど使用しない武器だが、勇者が作り出した神器の一つなので簡単に壊れる事はない。
「じゃあ、まずは俺が先に降りて様子を調べるよ。万が一の場合に備えて黒渦を置いていくから、危険だと判断したらすぐに戻ってくるね」
「レナ、気を付けて」
「む、無茶するなよ」
「何かあったらすぐに戻ってこい」
「頑張ってねレナ君!!」
「何があっても油断しては駄目よ」
『施設を見つけたらすぐに迎えに来てくださいね!!』
「分かってるよ……じゃあ、行ってくるよ」
チェーンを腕に巻きつけたレナは洞穴の中に入り込み、そのまま下り坂を滑り落ちていく。思っていた以上に深く、出入口の光が見えない距離まで下りていくと、レナは光球を頼りに周囲を照らす。
(想像以上に深いな……ホネミンの言うとおり、本当に地下施設の出入口なのかも)
下り坂を滑りながらもレナは気配感知と魔力感知の技能を発動させ、警戒は怠らない。魔物の中には地中を移動する魔物も珍しくはなく、一瞬の油断も出来ない――
――やがて下り坂を折りきるとレナは大きな空洞へと辿り着き、驚いた様子を浮かべて地下に存在する広大な空間を見渡す。ホネミンの宣言通り、どうやら本当に勇者が残した地下の施設へと辿り着いたらしく、レナの視界には古代遺跡を想像させる巨大な建造物が存在した。
「これが研究施設なのか……確かに前に訪れた遺跡で見かけた建物と雰囲気がよく似てるな」
建造物は古代ローマの遺跡を意識した造りとなており、かつてレナが訪れた勇者に関わる古代遺跡で見かけた建造物と似ていた。但し、こちらの建造物の方が圧倒的に大きく、同時に違和感を覚えた。
(なんだ?ここ、変な感じがする……なんだろう?)
何故かこの場所に陥った瞬間、レナは異様な雰囲気を感じ取って警戒心を高めるてしまう。気配感知も魔力感知にもなにも反応はないのだが、どうにも不安を抱かずにはいられず、皆を呼ぶ前にレナは右腕の鎖を取り外して様子を伺う。
まずは空洞全体は暗闇で覆われており、生き物の気配は全くと言っていいほどに感じられない。別に出入口が塞がれているわけでもないので簡単に地上の魔物も出入りできそうだが、何故かこの場所には一切の生物の気配を感じられなかった。
(蝙蝠どころか虫一匹も見当たらない……それにさっきから身体の調子がおかしい)
レナは空洞に訪れてから妙な気分に陥り、試しにレナは手のひらを差し出して風の聖痕を発動させようとした。だが、どういう事なのかこの空洞内には風の聖痕を発動させても風属性の精霊が集まる様子はなく、それどころか精霊の気配さえ感じ取れない。これがレナの違和感の正体だった。
(そうか、この場所には風の精霊がいないんだ!!でも、そんな事があり得るのか?完全に密封された場所ならともかく、外へと通じる通路があるのに風の精霊が1体も存在しないなんて……)
他の属性とは異なり、基本的に風の精霊はどんな場所にもで存在する。洞窟だろうが鍾乳洞だろうが外へと繋がる通路や隙間でもあれば風の精霊は入り込んでくるはずなのだが、この場所には風の精霊の存在が感じられない。そのせいでレナは異様な不安に襲われ、建物に視線を向ける。
ここがホネミンの言っていた研究施設である可能性は高いが、本能的にレナは建造物に迂闊に入ってはならないという不安を覚え、とりあえずは引き返すことにした。
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