不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません？

カタナヅキ

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真・闘技祭　予選編

予選開始

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『さあ、試合開始時刻まで間もなくです！！ホネミンさんは誰が優勝すると思いますか？』
『そうですね、本命は破壊剣聖のゴウライさん、次点で破壊王子のレナさんといった所ですかね』
『おお、どちらも有名な剣士ですね！！』
「誰が破壊王子やねんっ！！」

ホネミンの解説にレナは突っ込みを入れるが、当然だが闘技場まで聞こえるはずがない。だが、世間一般でもレナの武勇は知れ渡っているらしく、破壊剣聖であるゴウライと同様に優勝候補と認識されているらしい(ホネミンの身内贔屓もあるが)。

一方で予選開始の時刻まで１分を切り、レナは強化された退魔刀と鏡刀を空間魔法から取り出して装備を行う。そして開始時刻を遂に迎え、闘技場から予選開始の合図の花火が打ち上げられた。

『さあ、試合開始です！！いったいどれほどの猛者が勝ち残るか、どうか皆さんもお楽しみください！！』
『頑張ってくださいね～』

闘技場から試合開始の合図を確認すると、レナはギルドの建物から降りようとした瞬間、四方から魔力を感知する。視線を向けると、数名の魔術師がレナに向けて杖を構えて砲撃魔法を発動させようとしていた。

「サンダーランス！！」
「フレイムアロー！！」
「ウィンドスピア！！」
「おおっ？」

まさか魔術師に奇襲を仕掛けられるとは思わなったレナだが、即座に鏡刀を構えると三方向から迫りくる帆砲撃魔法の対処を行う。鏡刀を振りかざして戦技を発動させる事もなく全ての魔法を切り裂き、跳ね返す。

「よっと」
「うおっ！？」
「ば、馬鹿なっ！？魔法を斬っただと！？」
「なっ、情報によれば奴は反鏡剣はもう持ってないんじゃ……」

レナに攻撃を仕掛けた魔術師は砲撃魔法が防がれた事に驚愕し、並の剣士ではそもそも砲撃魔法に対抗する術持たない。不意打ちならばレナを倒せると思い込んでいたのかもしれないが、生憎とレナは気配感知や魔力感知の技能も覚えているのでいくら姿を隠そうと敵の位置を捉える事はできる。

自分に攻撃を仕掛けた３人の魔術師に関しては特に対応せず、レナは無視して冒険者ギルドの建物を飛び降りると、地上に降りてまずは目当ての魔物の姿を探す。既に予選開始と同時に魔物達は解き放たれているはずだが、ここで予想外の乱入者が現れた。

『ふははははっ！！見つけたぞレナ！！』
「うわっ！？」

地上に降りた瞬間、聞き覚えのある声に驚いてレナは振り返ると、そこには完全武装した状態のゴウライが立っていた。どうやら破損した鎧は修復が完了したらしく、彼女は全身に甲冑を纏った状態で姿を現す。まさか予選からゴウライと鉢合わせするとは思わなかったレナだが、ゴウライの方は嬉しそうな声を上げてデュランダルを構える。

『レナ！！よくよく考えたらお前とは戦った事はなかったな！！吾輩と勝負だ！！』
「ええっ……勘弁してよ」
『問答無用！！では、行くぞ！！』

ゴウライはレナを発見して嬉々とした声を上げ、予選にも関わらずに彼はレナと戦うために駆け出す。まさか予選で最初の相手がゴウライだと思わなかったレナは逃げようかと考えた時、ここで突風が二人の間に走った。

突如として発生した突風と共に上空から大剣を構える大男が降り立ち、その姿を見たレナとゴウライは驚く。そしてゴウライの方は男の放つ雰囲気から只者ではないと悟り、一方でレナの方は大男の姿に見覚えがあり、すぐに正体を見抜く。

『お前は……！？』
「あっ……確か、六聖将の……クレナイ？」
「……その勝負、混ぜて貰うぞ」

姿を現したのはクレナイであり、彼は大剣に嵐の如きく渦巻く風の魔力を纏いながらもレナとゴウライの間に割って入った。まさかの六聖将の筆頭と遭遇したレナは驚くが、ゴウライの方は嬉しそうな声を上げる。

『その出で立ち、その顔、そして大剣！！そうか、お前がクレナイだな！！会うのは初めてか！！』
「……ゴウライといったか、貴様は我が国の代表枠でありながら何故国王の元に顔を見せん？何度も呼び出しを受けたはずだろう」
『むう、それはすまん！！だが、吾輩も修行で忙しかったのだ！！』
「……まあいい、貴様はさっさと魔物を見つけ出してこい、この男の相手は俺がする」
『なんだと！？』

クレナイの発言にゴウライは驚愕し、その一方でレナはクレナイの姿を見てダイン達の話を思い出す。六聖将の中でツバサとクレナイはレナは戦っておらず、人伝にどのような戦い方をするのかだけは聞いていた。彼も魔刀術の使い手にして嵐のような暴風の魔力を刀身に纏わせ、その攻撃の威力は砲撃魔法にも匹敵するという。

レナと向き合ったクレナイは大剣を構えると、刀身に嵐を想像させる風の魔力の渦巻を纏わせ、向かい合うだけでも強風が襲い掛かり、並の剣士ならば立っている事もままならない。だが、レナはクレナイと相対しても全く動じず、それどころか負ける気がしなかった。

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