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真・闘技祭 予選編
エリナとの共闘
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「おっと……誰だ!?」
『あっ!?その声……すいません、兄貴っすか!?』
「ん?その声は……エリナか。なんか久しぶりだな」
足元に矢が突き刺さったレナは矢が放たれた方向に視線を向けると、100メートルほど離れた建物に立つエリナを発見する。彼女は弓矢を構えた状態で慌てて風の精霊を利用してレナに話しかけた。相手がエリナだと知るとレナも警戒心を解いて自分も風の精霊を利用して話しかける。
『エリナ、不意打ちとはいい度胸だな……今度、ティナに言い付けてリンダさんに折檻してもらうぞ!!』
『ちょ、誤解です!?それは止めてください、それにあたしの狙いは兄貴じゃないんですよ』
『じゃあ、何で矢を射ったの?』
『それは目当ての魔物を狙っての射撃だったんですよ!!ほら、空を見てください!!』
エリナの言葉にレナは上空を見上げると、今更ながらに空を飛行する魔物姿を捉える。外見は鷹と馬が組み合わさったような魔物であり、某魔法使い学校の映画では有名な「ヒッポグリフ」と呼ばれる魔物だと見抜く。
身の丈は4メートルを軽く超え、その大きな翼を動かして空を飛ぶ姿にレナは驚き、同時に翼の一部が妙に銀色に光り輝いている事に気付く。遠視と観察眼の技能を発動させてレナは確認すると、羽根の1枚だけが明らかに蛍光塗料のようなものを塗りつけられて光り輝いていた。
(あの光は……前に俺が変装して闘技場に出場した時にも利用した「銀砂」か!?)
かつてレナは正体を隠すために闘技場で変装して出場を果たした時、銀色の砂のような染め薬で髪の毛を染めた事がある。水とお湯さえあれば簡単に染める事が出来る道具でしかも髪の毛だけではなく、他の物体でも使用できる。恐らくではあるがヒッポグリフの羽根にも同様に銀砂を縫っているのだろう。
「クェエエエエッ!!」
「うお、なんか怒ってる?」
『あたしがさっき、銀色に光っている羽根の部分だけを撃ち落とそうとしたんですけど、当たる寸前に方向転換してお尻に矢が掠めてから怒ってるんです』
「そりゃ、切れるわ」
ヒッポグリフは怒りの咆哮を放ちながら空を飛び回り、どうやら銀色に光り輝いている羽根が指定の素材らしく、羽根を回収して闘技場まで運べば予選を突破できるらしい。エリナはヒッポグリフの羽根だけを狙って射抜いたようだが、狙いを外してヒッポグリフのお尻を掠った後にレナの足元に突き刺さったらしい。
エリナの狙いが自分ではないと分かったレナはヒッポグリフに視線を向け、あの魔物の羽根を奪い取れば闘技場に参加できる事を知る。どうするべきかとレナは悩み、ここで風の聖痕を利用して空でも飛んでヒッポグリフを狙うべきか考えた時、突如として空中に新たな影が現れた。
「飛脚!!」
「その声は……ハンゾウ!?」
『うぇっ!?』
空を飛ぶヒッポグリフの元に目掛けて接近してきたのは忍者のハンゾウであり、彼女は足の裏から衝撃波を生み出しながら空を移動するヒッポグリフに接近し、短刀を構える。まさかヒッポグリフを仕留めるつもりなのかとレナ達は驚いたが、彼女はヒッポグリフの背後に移動を行うと、翼の部分に目掛けて短刀を放つ。
「御免!!」
「クエッ!?」
「おおっ……羽根だけを切ったのか」
『凄いっす!!でも、その獲物を先に見つけたのはあたしなのに……』
まさか空を浮かぶ自分に近付いて奇襲を仕掛ける輩がいるとは思わなかったヒッポグリフはハンゾウの攻撃に対処しきれず、彼女に銀色に光り輝く羽根を奪われてしまう。その様子を見てレナは素直に感心し、一方でエリナの方は獲物を奪われた事に悔しがる。
ハンゾウは笑みを浮かべて銀色の羽根を握りしめると、落下中にレナとエリナに対して親指を立てると先に自分は闘技場に向かう事を伝えた。
「御二人とも、拙者は先に向かうでござる!!本選で待っているでござるよ!!」
「ハンゾウ!!嬉しいのは分かるけど、ヒッポグリフはお前を狙ってるぞ!!」
「えっ……おおうっ!?」
「クエエッ!!」
ヒッポグリフは自分に攻撃を仕掛けてきたハンゾウに対して滑降し、そのまま鋭いくちばしを突き刺す。ハンゾウは咄嗟に飛脚を発動させて回避に成功するが、ヒッポグリフは執拗に彼女を追い掛け回す。
「クエエエッ!!」
「ちょ、ごめんでござる!!でも、仕方ないのでござるよ!!あいたぁっ!?」
地上を走り去るハンゾウに怒り狂ったヒッポグリフは彼女のお尻に目掛けてくちばしを繰り出し、結局は闘技場に向かう前にハンゾウはヒッポグリフを撒く必要があった。その様子を若干呆れた様子でレナは見送ると、エリナがレナの元にまで駆けつけてくる。
「あ~あ、まさか忍者さんに獲物を奪われるなんて……狩人なのに他の人間に獲物を奪われるのは屈辱っす」
「まあまあ、仕方ないよ……それよりもエリナ、俺達は今は敵同士だけど、戦わないの」
「じょ、冗談はきついですよ……あたしなんかが兄貴に勝てるわけないじゃないですか。それに姫様の夫に手なんか出しませんよ」
「よし、それなら協力しよう。予選を突破するまでは俺達は仲間同士だ、一緒に協力して次の獲物を探す。どう?」
「了解っす、あたしは文句ありません」
レナの言葉にエリナは承諾し、予選中に他の選手と協力してはならないという規則はない。二人は共に戦う事を約束すると、次の獲物を探すためにレナは風の聖痕を使用して周辺の様子を伺う。
『あっ!?その声……すいません、兄貴っすか!?』
「ん?その声は……エリナか。なんか久しぶりだな」
足元に矢が突き刺さったレナは矢が放たれた方向に視線を向けると、100メートルほど離れた建物に立つエリナを発見する。彼女は弓矢を構えた状態で慌てて風の精霊を利用してレナに話しかけた。相手がエリナだと知るとレナも警戒心を解いて自分も風の精霊を利用して話しかける。
『エリナ、不意打ちとはいい度胸だな……今度、ティナに言い付けてリンダさんに折檻してもらうぞ!!』
『ちょ、誤解です!?それは止めてください、それにあたしの狙いは兄貴じゃないんですよ』
『じゃあ、何で矢を射ったの?』
『それは目当ての魔物を狙っての射撃だったんですよ!!ほら、空を見てください!!』
エリナの言葉にレナは上空を見上げると、今更ながらに空を飛行する魔物姿を捉える。外見は鷹と馬が組み合わさったような魔物であり、某魔法使い学校の映画では有名な「ヒッポグリフ」と呼ばれる魔物だと見抜く。
身の丈は4メートルを軽く超え、その大きな翼を動かして空を飛ぶ姿にレナは驚き、同時に翼の一部が妙に銀色に光り輝いている事に気付く。遠視と観察眼の技能を発動させてレナは確認すると、羽根の1枚だけが明らかに蛍光塗料のようなものを塗りつけられて光り輝いていた。
(あの光は……前に俺が変装して闘技場に出場した時にも利用した「銀砂」か!?)
かつてレナは正体を隠すために闘技場で変装して出場を果たした時、銀色の砂のような染め薬で髪の毛を染めた事がある。水とお湯さえあれば簡単に染める事が出来る道具でしかも髪の毛だけではなく、他の物体でも使用できる。恐らくではあるがヒッポグリフの羽根にも同様に銀砂を縫っているのだろう。
「クェエエエエッ!!」
「うお、なんか怒ってる?」
『あたしがさっき、銀色に光っている羽根の部分だけを撃ち落とそうとしたんですけど、当たる寸前に方向転換してお尻に矢が掠めてから怒ってるんです』
「そりゃ、切れるわ」
ヒッポグリフは怒りの咆哮を放ちながら空を飛び回り、どうやら銀色に光り輝いている羽根が指定の素材らしく、羽根を回収して闘技場まで運べば予選を突破できるらしい。エリナはヒッポグリフの羽根だけを狙って射抜いたようだが、狙いを外してヒッポグリフのお尻を掠った後にレナの足元に突き刺さったらしい。
エリナの狙いが自分ではないと分かったレナはヒッポグリフに視線を向け、あの魔物の羽根を奪い取れば闘技場に参加できる事を知る。どうするべきかとレナは悩み、ここで風の聖痕を利用して空でも飛んでヒッポグリフを狙うべきか考えた時、突如として空中に新たな影が現れた。
「飛脚!!」
「その声は……ハンゾウ!?」
『うぇっ!?』
空を飛ぶヒッポグリフの元に目掛けて接近してきたのは忍者のハンゾウであり、彼女は足の裏から衝撃波を生み出しながら空を移動するヒッポグリフに接近し、短刀を構える。まさかヒッポグリフを仕留めるつもりなのかとレナ達は驚いたが、彼女はヒッポグリフの背後に移動を行うと、翼の部分に目掛けて短刀を放つ。
「御免!!」
「クエッ!?」
「おおっ……羽根だけを切ったのか」
『凄いっす!!でも、その獲物を先に見つけたのはあたしなのに……』
まさか空を浮かぶ自分に近付いて奇襲を仕掛ける輩がいるとは思わなかったヒッポグリフはハンゾウの攻撃に対処しきれず、彼女に銀色に光り輝く羽根を奪われてしまう。その様子を見てレナは素直に感心し、一方でエリナの方は獲物を奪われた事に悔しがる。
ハンゾウは笑みを浮かべて銀色の羽根を握りしめると、落下中にレナとエリナに対して親指を立てると先に自分は闘技場に向かう事を伝えた。
「御二人とも、拙者は先に向かうでござる!!本選で待っているでござるよ!!」
「ハンゾウ!!嬉しいのは分かるけど、ヒッポグリフはお前を狙ってるぞ!!」
「えっ……おおうっ!?」
「クエエッ!!」
ヒッポグリフは自分に攻撃を仕掛けてきたハンゾウに対して滑降し、そのまま鋭いくちばしを突き刺す。ハンゾウは咄嗟に飛脚を発動させて回避に成功するが、ヒッポグリフは執拗に彼女を追い掛け回す。
「クエエエッ!!」
「ちょ、ごめんでござる!!でも、仕方ないのでござるよ!!あいたぁっ!?」
地上を走り去るハンゾウに怒り狂ったヒッポグリフは彼女のお尻に目掛けてくちばしを繰り出し、結局は闘技場に向かう前にハンゾウはヒッポグリフを撒く必要があった。その様子を若干呆れた様子でレナは見送ると、エリナがレナの元にまで駆けつけてくる。
「あ~あ、まさか忍者さんに獲物を奪われるなんて……狩人なのに他の人間に獲物を奪われるのは屈辱っす」
「まあまあ、仕方ないよ……それよりもエリナ、俺達は今は敵同士だけど、戦わないの」
「じょ、冗談はきついですよ……あたしなんかが兄貴に勝てるわけないじゃないですか。それに姫様の夫に手なんか出しませんよ」
「よし、それなら協力しよう。予選を突破するまでは俺達は仲間同士だ、一緒に協力して次の獲物を探す。どう?」
「了解っす、あたしは文句ありません」
レナの言葉にエリナは承諾し、予選中に他の選手と協力してはならないという規則はない。二人は共に戦う事を約束すると、次の獲物を探すためにレナは風の聖痕を使用して周辺の様子を伺う。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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