不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭 予選編

雑魚ばかりではない

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「あいつが助けてくれたのか……別になんとかなったと思うけど」
「うわ、あれって前にあたしが倒した女の人ですか!?あんな距離から撃つなんて……」


シェルに気付いたエリナは驚きの声を上げ、彼女は王城にてシェルと対決して勝利を勝ち取っている。一方でシェルの方はエリナの顔を確認すると一瞬だけ眉を顰めるが、すぐにその場を立ち去った。他の冒険者に見つかる前に闘技場に戻るつもりらしく、その様子を見送ったレナは改めて冒険者達と向かい合う。

謎の攻撃によって巨人族の男が倒れた事で他の冒険者達は動揺し、周囲を警戒していた。だが、彼等はシェルの存在に気付かず、既に彼女は立ち去った事も知らないまま警戒心を高めて動く様子がない。そんな彼等を見てレナはエリナに先に行くように指示する。


「エリナ、こいつらは俺が何かとするからお前は闘技場に行け」
「えっ!?でも、この素材は……」
「エリナが倒したんだからエリナの物だよ。俺の事は気にしないでいい……俺に構わず、先に行け!!」
「あ、はい……なんか、そのセリフちょっと危ない気がしますけど、ありがとうございます!!」
「片方が逃げたぞ!?」
「ま、待ちやがれ!!」
「このまま行かせると思って……ひいっ!?」


レナの言葉にエリナは素直に礼を言うと闘技場へと向かい、その様子を見た冒険者達が騒ぎ立てる。だが、そんな彼等の前にレナは立ち塞がった。今度こそ退魔刀を引き抜き、冒険者達の前に立ちふさがると、レナは「威圧」の技能を発動させて彼等を威嚇する。


「ここから先は一方通行だ。通りたければ俺を倒してみろ」
「ぐぐっ……」
「な、なんだこのガキ……」
「何て迫力だ……!?」


人間の少年とは思えないほど気迫を纏うレナに対して冒険者達は冷や汗を流し、怖気づいてしまう。そんな中、一人の武芸者が冒険者達の間を潜り抜けてレナの前に躍り出る。その人物だけはレナの放つ威圧を正面から受けても涼しい表情を浮かべ、堂々と近づく。


「……拙者がお相手いたそう
「あんたは……和国の侍か?」
「その通り……和国の代表、ハンジロウと申す」
「は、ハンジロウだと!?」
「あの処刑人ハンジロウか……!!」


ハンジロウと名乗ったのは年齢は30代後半ぐらいの男性であり、長い髪の毛をポニーテールのようにまとめ上げ、その腰には異様な長さの長刀を差していた。その様子をみてレナは只者ではないと見抜き、案の定というべきか和国の代表の出場者だと判明する。

和国の代表選手は過去にレナが相対した「カンエン」と「ヨクヒ」他にも2名の参加者が存在する。その片方がレナの前に現れたらしく、彼は腰に差した刀を引き抜く。


(こいつは……強いな)


刀を抜いたハンジロウに対してレナは警戒心を抱き、相手が只者ではないことを見抜く。雰囲気はあのミドルと似通っているため、レナも本気で戦うために退魔刀と鏡刀を両手に構えた。


(この者……噂以上に出来る)


ハンジロウの方も武器を構えた瞬間にレナの雰囲気が一変した事に気付き、まるで竜種のような巨大な生物と相対している気分に陥る。それでもハンジロウは逃げ出す事はなく、レナの放つ気迫を涼し気な表情で受け流す。

睨み合う二人に対して他の冒険者達は邪魔をする事が出来ず、真剣勝負に割って入るなど武人の風上にも置けない。大会の参加者の殆どが武人のため、尚更二人の勝負の邪魔など出来るはずがない。


「参る!!」
「来い」


気合の雄たけびを上げながらハンジロウは駆け出すと、正面から突っ込む。何の策もなしに正攻法で攻め寄せてくるつもりかと思ったレナだが、ここでハンジロウは着物の内側に隠していた「煙玉」を取り出す。


「きええっ!!」
「うわっ!?な、何だっ!?」
「け、煙!?め、目眩ましかっ!?」
「真剣勝負じゃなかったのか!?」


煙玉を地面に叩きつけた瞬間、周囲に白煙が広がって様子を観察していた冒険者達が騒ぎ出す。ハンジロウが正面から乗り込んできたので彼等はレナに対して正々堂々と真剣勝負を挑むつもりだと思っていたが、予想に反してハンジロウは煙玉を使用して姿を消してしまう。

白煙に包まれたレナは咄嗟に目と口を閉じて「心眼」を発動させる。そしてハンジロウが気配を巧妙に隠して背後から切りかかろうとしている事に気付き、剣を振り抜く。


「そこかっ!!」
「ぬうっ!?」


金属音が鳴り響き、レナの振り払った退魔刀はハンジロウの刃によって防がれたが、衝撃を全て殺しきれずにハンジロウは吹き飛ばされる。即座にレナは追撃を行おうとしたが、ここで別方向から何かが近づいている事に気付いてレナは咄嗟に鏡刀を振り払う。


「おっと」
「なっ!?」
「馬鹿なっ……気づいていたのか?」


いつの間にかレナの背後には黒装束の男性が存在し、その手にはクナイが握りしめられていた。ハンゾウやカゲマルと同じく、忍者の類ではあるのだろうがレナは不意打ちに気付いて攻撃を防ぐ。すぐにハンジロウと黒装束の男は距離を取ると、やがて煙が晴れた時にはレナの周囲には複数名の黒装束の男達が存在した。
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