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弱肉強食の島編
強い男は嫌いじゃない
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「待て……お前達、下がりなさい」
「族長!?」
「どうしてここに……」
「族長……という事は貴女がこの中で一番偉い人?」
老婆が前に出ると他のダークエルフの女性達は驚き、その一方でレナは族長という言葉を聞いて彼女達の中でも上の立場の人間だと判断する。老婆は杖を使いながらレナの元に近付き、改めて向き合う。
「儂の孫が世話になったようじゃな」
「孫……それって、あいつらの事?」
レナはハルナに任せた二人に視線を向けれ鵜と、二人は傷つきながらも笑みを浮かべ、その態度に何故かレナは身体が震える。その一方で族長と呼ばれた老婆はレナに視線を向け、改めてその身体つきを確認する。
「ふむ、見るだけでは到底強そうには見えないが、意外と鍛えこまれているな。無駄な肉が一切ない……」
「いやんっ」
「恥ずかしかるなよ……」
自分の事をじろじろと見てくる老婆にレナは身体を隠すと、老婆はレナに改めて近付き、そして目元を光り輝かせると杖を握りしめる。どうやら仕込み杖だったらしく、刃が飛び出すとレナに向けて放つ。
「きええっ!!」
「あぶなっ!?」
「うわっ!?何だこの婆さん!?」
奇声を発しながら老婆は杖を突き出すと、その攻撃に対してレナは顔を少し動かして紙一重で避ける。その攻撃を見てハルナは驚きの声を上げるが、一方で攻撃を仕掛けた老婆と他のダークエルフ達は驚愕の表情を浮かべた。
刃を繰り出してきたときはレナも驚いたが、レナは常日頃からシズネを相手に戦闘訓練を行っており、彼女の突き技と比べれば老婆の繰り出した不意打ちなど簡単に対処できた。老婆は自分の刃を避けたレナに対して今度は切りかかろうとした。
「ふんっ!!」
「いい加減に……しろっ!!」
「ぬあっ!?」
切りかかってきた刃に対してレナは肘と膝を繰り出し、刃を抑えつける。この際に老婆に対してレナは左手を振り払い、彼女の手を叩いて仕込み杖の回収を行う。武器さえ手にいればこちらに分があり、レナは仕込み杖を老婆に向けた
「まだやるか?」
「くぅっ……なるほど、大したものじゃ。現役を退いたとはいえ、まさか儂を子供扱いするとは……娘達が惚れるのも無理はない」
「惚れる?何の話をしてるんだ?」
「よく見ろ……儂の娘達は錯乱しているのではない、お主にぞっこんじゃ」
「ぞっこんって……婆さん、何処でそんな言葉を知ったんだ」
仕込み杖を肩に置きながらレナは振り返ると、そこにはハルナに抑えつけられたアンジュとサーシャの姿が存在し、どちらもレナが顔を言向けると頬を赤らめて視線を逸らす。確かにその態度は乙女のようだが、先ほどまで本気で殺しかかって来たのに彼女達の態度の変化に戸惑う。
「嘘でしょ……さっきまで殺そうとしてたじゃん」
「我が一族は自分を打ち負かした強い男に魅かれるのが代々の習性じゃ。お主がこの二人を打ち負かした時点で二人の心はお主の手の中……どうか娘達を幸せにしておくれ」
「いきなり殺そうとしておいて図々しい!!」
流石のレナも老婆の言い分には意見するが、彼女の方は落ちた杖の鞘を回収し、朗らかな笑みを浮かべながらレナ達に笑いかける。
「まあ、そういう反応をするのも無理はない。お主等はどうやら「島外」からやってきたようじゃな……事情を知りたいのであろう。とりあえずは外に出よ、儂等の里で説明してやろう」
「里?それに島外って……」
「こんな場所で説明するのもなんじゃ、ほれ……お主等も武器を収めよ。今からこの二人は大切な客人として迎え入れるぞ」
「族長がそういうなら……」
「命拾いしたな」
「……私達がな」
ダークエルフ達は族長の命令には忠実らしく、彼女達は武器を抑える。その様子を見てレナはとりあえずはこの老婆のいう事を聞く事にしてハルナに目配せを行う。彼女は仕方なく捕まえていたアンジュとサーシャを手放す。
レナ達は老婆の先導で遂に外へ抜け出すと、自分達が森の中にいる事に気付く。但し、深淵の森やヨツバ王国の森とは違った雰囲気の森の中であり、見た事もない植物がいくつか生えていた。
(何だ、あの果物……見たことないな)
移動の途中でレナは樹木に実っている果物を見て驚き、これまでレナはこの世界の様々な果物は見てきたが、それでも見た事がない果物が幾つも生えていた。それに果物以外にも森の中で見かける動物も普通ではない。
「キュルルッ……」
「この声は……一角兎?」
「一角兎?何を言っている、こいつは二角兎だ。一つしか角が生えていない兎なんているはずないだろう」
聞き覚えのある声を耳にしたレナは振り返ると、そこには額に二つの小さな角を生やした黒色の毛皮の兎が存在した。子供の頃はよく狩っていた一角兎と瓜二つだが、額に生えている角の数と毛皮の色合いが違った。
ダークエルフから二角兎と呼ばれた生き物はレナ達を見ると慌てて駆け出し、その様子を見送ったレナは初めて見た魔物に最初は一角兎の亜種か進化種かと思ったが、恐らくはこの島では普通の一角兎はいないのだろう。
「族長!?」
「どうしてここに……」
「族長……という事は貴女がこの中で一番偉い人?」
老婆が前に出ると他のダークエルフの女性達は驚き、その一方でレナは族長という言葉を聞いて彼女達の中でも上の立場の人間だと判断する。老婆は杖を使いながらレナの元に近付き、改めて向き合う。
「儂の孫が世話になったようじゃな」
「孫……それって、あいつらの事?」
レナはハルナに任せた二人に視線を向けれ鵜と、二人は傷つきながらも笑みを浮かべ、その態度に何故かレナは身体が震える。その一方で族長と呼ばれた老婆はレナに視線を向け、改めてその身体つきを確認する。
「ふむ、見るだけでは到底強そうには見えないが、意外と鍛えこまれているな。無駄な肉が一切ない……」
「いやんっ」
「恥ずかしかるなよ……」
自分の事をじろじろと見てくる老婆にレナは身体を隠すと、老婆はレナに改めて近付き、そして目元を光り輝かせると杖を握りしめる。どうやら仕込み杖だったらしく、刃が飛び出すとレナに向けて放つ。
「きええっ!!」
「あぶなっ!?」
「うわっ!?何だこの婆さん!?」
奇声を発しながら老婆は杖を突き出すと、その攻撃に対してレナは顔を少し動かして紙一重で避ける。その攻撃を見てハルナは驚きの声を上げるが、一方で攻撃を仕掛けた老婆と他のダークエルフ達は驚愕の表情を浮かべた。
刃を繰り出してきたときはレナも驚いたが、レナは常日頃からシズネを相手に戦闘訓練を行っており、彼女の突き技と比べれば老婆の繰り出した不意打ちなど簡単に対処できた。老婆は自分の刃を避けたレナに対して今度は切りかかろうとした。
「ふんっ!!」
「いい加減に……しろっ!!」
「ぬあっ!?」
切りかかってきた刃に対してレナは肘と膝を繰り出し、刃を抑えつける。この際に老婆に対してレナは左手を振り払い、彼女の手を叩いて仕込み杖の回収を行う。武器さえ手にいればこちらに分があり、レナは仕込み杖を老婆に向けた
「まだやるか?」
「くぅっ……なるほど、大したものじゃ。現役を退いたとはいえ、まさか儂を子供扱いするとは……娘達が惚れるのも無理はない」
「惚れる?何の話をしてるんだ?」
「よく見ろ……儂の娘達は錯乱しているのではない、お主にぞっこんじゃ」
「ぞっこんって……婆さん、何処でそんな言葉を知ったんだ」
仕込み杖を肩に置きながらレナは振り返ると、そこにはハルナに抑えつけられたアンジュとサーシャの姿が存在し、どちらもレナが顔を言向けると頬を赤らめて視線を逸らす。確かにその態度は乙女のようだが、先ほどまで本気で殺しかかって来たのに彼女達の態度の変化に戸惑う。
「嘘でしょ……さっきまで殺そうとしてたじゃん」
「我が一族は自分を打ち負かした強い男に魅かれるのが代々の習性じゃ。お主がこの二人を打ち負かした時点で二人の心はお主の手の中……どうか娘達を幸せにしておくれ」
「いきなり殺そうとしておいて図々しい!!」
流石のレナも老婆の言い分には意見するが、彼女の方は落ちた杖の鞘を回収し、朗らかな笑みを浮かべながらレナ達に笑いかける。
「まあ、そういう反応をするのも無理はない。お主等はどうやら「島外」からやってきたようじゃな……事情を知りたいのであろう。とりあえずは外に出よ、儂等の里で説明してやろう」
「里?それに島外って……」
「こんな場所で説明するのもなんじゃ、ほれ……お主等も武器を収めよ。今からこの二人は大切な客人として迎え入れるぞ」
「族長がそういうなら……」
「命拾いしたな」
「……私達がな」
ダークエルフ達は族長の命令には忠実らしく、彼女達は武器を抑える。その様子を見てレナはとりあえずはこの老婆のいう事を聞く事にしてハルナに目配せを行う。彼女は仕方なく捕まえていたアンジュとサーシャを手放す。
レナ達は老婆の先導で遂に外へ抜け出すと、自分達が森の中にいる事に気付く。但し、深淵の森やヨツバ王国の森とは違った雰囲気の森の中であり、見た事もない植物がいくつか生えていた。
(何だ、あの果物……見たことないな)
移動の途中でレナは樹木に実っている果物を見て驚き、これまでレナはこの世界の様々な果物は見てきたが、それでも見た事がない果物が幾つも生えていた。それに果物以外にも森の中で見かける動物も普通ではない。
「キュルルッ……」
「この声は……一角兎?」
「一角兎?何を言っている、こいつは二角兎だ。一つしか角が生えていない兎なんているはずないだろう」
聞き覚えのある声を耳にしたレナは振り返ると、そこには額に二つの小さな角を生やした黒色の毛皮の兎が存在した。子供の頃はよく狩っていた一角兎と瓜二つだが、額に生えている角の数と毛皮の色合いが違った。
ダークエルフから二角兎と呼ばれた生き物はレナ達を見ると慌てて駆け出し、その様子を見送ったレナは初めて見た魔物に最初は一角兎の亜種か進化種かと思ったが、恐らくはこの島では普通の一角兎はいないのだろう。
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