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弱肉強食の島編
白牛将との戦闘
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「分かった……スカーが敗れた以上は儂等に勝ち目はない。だが、儂等と組んだ所で白牛将に勝てる保証などないぞ」
「その通りだ!!お前等が兄貴に勝てるかよ!!」
「負け牛は黙ってろ!!」
「はぐっ!?」
黒牛将が馬鹿にするように告げるとアンジュが頭を小突き、他の者達は不安そうな表情を浮かべる。だが、レナとしても負けるつもりもなく、これで勝利の条件は整った。
「白牛将を倒す策はあります」
「策、か……それはどんな策だ?」
「でも、その前にここで保管されている魔封じの腕輪を渡して欲しいんです。」
「腕輪?ああ、拷問用のあの腕輪の事か……そう言えばそんな物があったな」
長はレナの言葉を聞いて思い出したような声を上げ、どうやら彼等は魔封じの腕輪は知っているようだが、ダークエルフと違ってあまり使用する機会がないのか忘れていたらしい。この反応は当然といえば当然であり、魔封じの腕輪は人間の腕の大きさを設計して作られているので普通のミノタウロスには使用できない。
仮にミノタウロスに使用しても魔封じの腕輪はあくまでも魔法を使おうとした際に魔力を吸収する機能しかなく、そもそも普通のミノタウロスは魔法の類は扱えない。だが、人間にそっくりの容姿のハルナは魔封じの腕輪によって現在は聖痕の力が封じられている。
「ハルナ、ここにお前のその腕輪を解除する腕輪があるはずだからそれを探して来い」
「お?本当か?あれ、でもこの腕輪は族長が外してくれるんじゃないのか?」
「すまぬ、あの時はお主等を信用できなかったので言い出す事が出来なかったが……その腕輪の外し方は儂等も知らんのだ」
「その腕輪を付けると魔法が使えない事しか知らない」
「まあ、私達は魔法なんて滅多に使わないからな。疲れるし……」
前に族長が言っていた話は嘘だと判明し、その情報はレナはアイリスから事前に聞いていた。ここへ来た目的の半分はハルナの能力を解除するためであり、彼女は腕輪を外すために長に頼む。
「というわけであたしの腕輪を外すのに協力してくれよ。えっと、どうやって外すんだ?」
「その腕輪は確か同じ柄の腕輪を合わせると自動的に外れるはずだが……誰か、倉庫まで案内してやれ」
「えっ!?人間を我々の島に!?」
「いや……この子なら構わん。だが、悪いが他の者は入れられぬぞ」
「それはいいよ。でも、その代わりに俺達に協力してもらうぞ」
「うむ、それは約束しよう」
長はハルナだけは島の中に案内する事は認めたが、他の者達は断固として島の中には入れられない事を告げる。島には非戦闘員の女子供も存在し、彼等を危険な目に遭わせるわけにはいかない。このような展開になる事はレナも予測済みだった。
筏船でハルナが島まで送り込まれた後、彼女が魔封じの腕輪を解除すれば状況は一変する。どんな敵だろうと雷の聖痕を持つハルナの敵ではなく、白牛将と配下達であろうと脅威にはなりえない。レナの目的はハルナが腕輪を解除して戻ってくるまで時間稼ぎを行い、白牛将を足止めするのが目的である。
「ハルナが腕輪を解除するまでは俺達で力を合わせて戦いましょう。無理に勝つ必要はない、ハルナが腕輪を解除すれば白牛将も敵じゃない」
「あの娘、そこまでの力を持っているのか?」
「確かに素手でスカーを倒したのは認めるが……しかし、白牛将には及ばぬぞ」
「それはハルナの本当の力を知らないから言えるんです。あいつの力はこんなもんじゃない、本気を出せればどんな奴も敵じゃないんです」
「どんな奴も……か、その言葉を信じるしかあるまい」
「ハルナが居なくてもこれだけの人数なら戦える!!私たちだけで奴等を倒す気概で戦うぞ!!」
レナはハルナが戻ってくるまで時間稼ぎに徹しようとしたが、他の者達は自分達だけで戦う事を決め、その様子を見ていた黒牛将は鼻を鳴らす。
「おい、お前等……俺が力を貸してやっても良いぞ。縄を解け、俺が仲間に加われば白牛将にも勝てるぞ」
「ふざけるな、この馬鹿!!どうせ裏切るつもりだろう!!」
「ならお前等だけで勝てる相手だと思ってるのか?俺も白牛将は気に入らなかったんだ……この際にあいつをぶっ倒すのも悪くない」
「…………」
黒牛将の言葉を聞いてレナは彼が嘘を吐いているだけにも思えず、この時にアイリスと交信を行って黒牛将の本心を聞き出す。
『アイリス、こいつ何を考えている?』
『ZZZ……ふぁっ!?な、何ですか!?もう朝ですか!!』
『寝てんじゃねえよ!!』
天使の癖に眠っていたのかアイリスは慌てた声を上げ、そんな彼女に呆れながらもレナは黒牛将の考えを尋ねると、アイリスは欠伸しながらも答えた。
『ふぁあっ……黒牛将の言葉は半分は嘘で半分は本気ですね。表向きは白牛将に寝返り、レナさん達を倒した後は白牛将を闇討ちして自分が長の座になるつもりです』
『くそ野郎だな……』
『ですが、白牛将に対抗心を抱いているのは本当ですよ。それをうまい具合に利用しましょう』
レナはアイリスから助言を授かり、彼女の言う通りに行動する。まずは黒牛将の前に立ち、見下ろしながら彼に告げた。
「その通りだ!!お前等が兄貴に勝てるかよ!!」
「負け牛は黙ってろ!!」
「はぐっ!?」
黒牛将が馬鹿にするように告げるとアンジュが頭を小突き、他の者達は不安そうな表情を浮かべる。だが、レナとしても負けるつもりもなく、これで勝利の条件は整った。
「白牛将を倒す策はあります」
「策、か……それはどんな策だ?」
「でも、その前にここで保管されている魔封じの腕輪を渡して欲しいんです。」
「腕輪?ああ、拷問用のあの腕輪の事か……そう言えばそんな物があったな」
長はレナの言葉を聞いて思い出したような声を上げ、どうやら彼等は魔封じの腕輪は知っているようだが、ダークエルフと違ってあまり使用する機会がないのか忘れていたらしい。この反応は当然といえば当然であり、魔封じの腕輪は人間の腕の大きさを設計して作られているので普通のミノタウロスには使用できない。
仮にミノタウロスに使用しても魔封じの腕輪はあくまでも魔法を使おうとした際に魔力を吸収する機能しかなく、そもそも普通のミノタウロスは魔法の類は扱えない。だが、人間にそっくりの容姿のハルナは魔封じの腕輪によって現在は聖痕の力が封じられている。
「ハルナ、ここにお前のその腕輪を解除する腕輪があるはずだからそれを探して来い」
「お?本当か?あれ、でもこの腕輪は族長が外してくれるんじゃないのか?」
「すまぬ、あの時はお主等を信用できなかったので言い出す事が出来なかったが……その腕輪の外し方は儂等も知らんのだ」
「その腕輪を付けると魔法が使えない事しか知らない」
「まあ、私達は魔法なんて滅多に使わないからな。疲れるし……」
前に族長が言っていた話は嘘だと判明し、その情報はレナはアイリスから事前に聞いていた。ここへ来た目的の半分はハルナの能力を解除するためであり、彼女は腕輪を外すために長に頼む。
「というわけであたしの腕輪を外すのに協力してくれよ。えっと、どうやって外すんだ?」
「その腕輪は確か同じ柄の腕輪を合わせると自動的に外れるはずだが……誰か、倉庫まで案内してやれ」
「えっ!?人間を我々の島に!?」
「いや……この子なら構わん。だが、悪いが他の者は入れられぬぞ」
「それはいいよ。でも、その代わりに俺達に協力してもらうぞ」
「うむ、それは約束しよう」
長はハルナだけは島の中に案内する事は認めたが、他の者達は断固として島の中には入れられない事を告げる。島には非戦闘員の女子供も存在し、彼等を危険な目に遭わせるわけにはいかない。このような展開になる事はレナも予測済みだった。
筏船でハルナが島まで送り込まれた後、彼女が魔封じの腕輪を解除すれば状況は一変する。どんな敵だろうと雷の聖痕を持つハルナの敵ではなく、白牛将と配下達であろうと脅威にはなりえない。レナの目的はハルナが腕輪を解除して戻ってくるまで時間稼ぎを行い、白牛将を足止めするのが目的である。
「ハルナが腕輪を解除するまでは俺達で力を合わせて戦いましょう。無理に勝つ必要はない、ハルナが腕輪を解除すれば白牛将も敵じゃない」
「あの娘、そこまでの力を持っているのか?」
「確かに素手でスカーを倒したのは認めるが……しかし、白牛将には及ばぬぞ」
「それはハルナの本当の力を知らないから言えるんです。あいつの力はこんなもんじゃない、本気を出せればどんな奴も敵じゃないんです」
「どんな奴も……か、その言葉を信じるしかあるまい」
「ハルナが居なくてもこれだけの人数なら戦える!!私たちだけで奴等を倒す気概で戦うぞ!!」
レナはハルナが戻ってくるまで時間稼ぎに徹しようとしたが、他の者達は自分達だけで戦う事を決め、その様子を見ていた黒牛将は鼻を鳴らす。
「おい、お前等……俺が力を貸してやっても良いぞ。縄を解け、俺が仲間に加われば白牛将にも勝てるぞ」
「ふざけるな、この馬鹿!!どうせ裏切るつもりだろう!!」
「ならお前等だけで勝てる相手だと思ってるのか?俺も白牛将は気に入らなかったんだ……この際にあいつをぶっ倒すのも悪くない」
「…………」
黒牛将の言葉を聞いてレナは彼が嘘を吐いているだけにも思えず、この時にアイリスと交信を行って黒牛将の本心を聞き出す。
『アイリス、こいつ何を考えている?』
『ZZZ……ふぁっ!?な、何ですか!?もう朝ですか!!』
『寝てんじゃねえよ!!』
天使の癖に眠っていたのかアイリスは慌てた声を上げ、そんな彼女に呆れながらもレナは黒牛将の考えを尋ねると、アイリスは欠伸しながらも答えた。
『ふぁあっ……黒牛将の言葉は半分は嘘で半分は本気ですね。表向きは白牛将に寝返り、レナさん達を倒した後は白牛将を闇討ちして自分が長の座になるつもりです』
『くそ野郎だな……』
『ですが、白牛将に対抗心を抱いているのは本当ですよ。それをうまい具合に利用しましょう』
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