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弱肉強食の島編
飛竜の亜種
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――黒龍を討伐に成功し、遂にこの島の最大の脅威を取り除く事が出来た。しかし、黒龍を倒してもまだ問題は残っており、竜人族は住処にしていた砦は壊され、彼等が新しい住居を探す必要があった。
「この砦はもう駄目だ……我々は住処を移さねばならんな」
「だが、竜騎将!!今度は何処に住めばいいんだ?」
「こいつのせいで荒野の魔物も大分数を減らした。もうそろそろここでの生活も厳しいぞ……」
「うむ、こうなったら……ここを離れる時が来たのかもしれないな」
竜騎将は覚悟を決め、竜人族を引き連れて荒野を離れて別の場所に移り住む事を決めた。そもそも竜人族が環境が厳しい荒野に住み続けたのは他の部族との抗争を避けるためだが、もう黒龍という脅威が取り除かれた以上は島に暮らす者同士で争う理由はない。
竜騎将は砦を放棄し、荒野を離れて新しい住処を探す事を決めた。他の者達は異論はなく、彼等も荒野で生活する事に限界を感じていた。牛人族からの食料の補給があるとはいえ、やはり彼等も荒野での生活は苦を感じていたらしい。
「レナ殿、それにレミア……いや、レミア殿。此度の件、誠に感謝いたす」
「いや、気にしないでください」
「私の命があるのも貴方達が救ってくれたお陰です。これで少しでも恩返しが出来たのなら良かったです」
「何だよ、あたし達には礼を言わないのか?」
「そうだそうだ!!」
「私達も頑張ったのに……」
「も、勿論……お主等にも感謝しておる」
竜騎将は黒龍の討伐のために協力してくれたレナ達に感謝の言葉を継げると、改めて彼は牛人族とダークエルフが待つ島へ戻るように提案する。
「では我々は報告も兼ねて他の部族の所に戻るとするか。飛竜は無事か?」
「竜騎将、一応は1匹だけ元気な奴がいますが、こいつ黒龍に怯えてずっと隠れていたんですよ」
「シャアアッ……」
竜人族が飼育していた飛竜は黒龍との戦闘に巻き込まれて大半が怪我を負っていたが、1匹だけ難を逃れた飛竜が存在した。基本的に飛竜は勇猛果敢な性格をしているのだが、こちらの飛竜だけは臆病でずっと砦の中に隠れていた所を発見された。
飛竜は竜人族達に無理やりに引っ張られて姿を現し、この飛竜だけは他の個体と違って鱗が煌めいており、恐らくは只の飛竜ではなく、亜種だと思われる。
「この子、亜種ですか?」
「うむ、生まれた時から綺麗な鱗に覆われていてな。だが、そのせいで他の飛竜とは上手く馴染めず、虐められるようになってこんな臆病な性格になったのだ」
「でも、こいつは一番早いぞ。こいつなら二人乗せたとしてもすぐに島の何処にでも移動する事が出来るんだ」
「へえっ……」
「シャウッ……」
レナが試しに飛竜に触れても特に怒った様子はなく、不思議そうに顔を近づけてくる。他の飛竜は知らない人間が近づこうとしただけでも警戒するのだが、こちらの飛竜は初めて見る人間のレナを見て興味深そうに覗き込む。臆病な癖の癖には好奇心は旺盛らしく、レナが頭をなでてやるとあっさりと懐いてしまう。
「よしよし」
「シャアアッ♪」
「人懐っこい飛竜ですね……」
「だが、怖がりだからな。もしも魔物が近くに居たらすぐに逃げ出してしまうんだ」
「なんだ、臆病者か」
「別にいいんじゃないの?こいつが飛べるならすぐに戻れるんだろ?」
ハルナの言葉にナイは頷き、飛竜さえ飛べるのであればレナとしても文句はない。まずは牛人族とダークエルフが待っている島に戻る必要があり、竜騎将に頼み込む。
「この子を飛ばしてください。すぐに戻らないと……」
「ああ、だが行けるのは2人だけだぞ?」
「大丈夫です、その辺も考えてありますから」
「ん?どういう意味だ?」
飛竜で一度に移動できる人数は限られており、全員が島に戻る事は出来ないと竜騎将は告げるが、レナには秘策があった――
――竜騎将と共にレナは飛竜の亜種に乗り込み、牛人族が住処にしている湖の島へと辿り着く。事前に言っていた通りに他の飛竜よりも移動速度が速く、ほんの1時間程度で到着する。
「シャアアッ!!」
「おっとと……大丈夫か?」
「うぷっ……ちょっと酔いそう」
島に降り立つとレナはあまりの速度にちょっと吐きそうになったが、どうにか堪える。すぐに島の者が駆けつけ、ダークエルフの族長を肩に抱えた牛人族の長が駆けつけてきた。
「おおっ、無事に戻って来たか!!」
「心配しておったぞ。ん?アンジュ達はどうした?」
「大丈夫、すぐに呼び出すから……」
「呼び出す?」
レナは族長の言葉を聞いて右手で口元を抑えながらも反対の腕を伸ばし、意識を集中させる。次の瞬間、空間に黒色の渦が誕生すると全員が驚愕の表情を浮かべた。
「こ、これはいったい!?」
「ちょっと下がってて……皆を呼び出してくるから」
「お、おい!?大丈夫なのか!?」
黒渦を作り出したレナはその中に入り込むと、その様子を見ていた他の者達が慌てふためくが、しばらくするとレナは黒渦を抜け出してくる。その後、レナの後には聖剣を大きな葉で包んだレミア、アンジュ、サーシャ、ハルナ、他にも多数の竜人族が続いて出てきた。
「この砦はもう駄目だ……我々は住処を移さねばならんな」
「だが、竜騎将!!今度は何処に住めばいいんだ?」
「こいつのせいで荒野の魔物も大分数を減らした。もうそろそろここでの生活も厳しいぞ……」
「うむ、こうなったら……ここを離れる時が来たのかもしれないな」
竜騎将は覚悟を決め、竜人族を引き連れて荒野を離れて別の場所に移り住む事を決めた。そもそも竜人族が環境が厳しい荒野に住み続けたのは他の部族との抗争を避けるためだが、もう黒龍という脅威が取り除かれた以上は島に暮らす者同士で争う理由はない。
竜騎将は砦を放棄し、荒野を離れて新しい住処を探す事を決めた。他の者達は異論はなく、彼等も荒野で生活する事に限界を感じていた。牛人族からの食料の補給があるとはいえ、やはり彼等も荒野での生活は苦を感じていたらしい。
「レナ殿、それにレミア……いや、レミア殿。此度の件、誠に感謝いたす」
「いや、気にしないでください」
「私の命があるのも貴方達が救ってくれたお陰です。これで少しでも恩返しが出来たのなら良かったです」
「何だよ、あたし達には礼を言わないのか?」
「そうだそうだ!!」
「私達も頑張ったのに……」
「も、勿論……お主等にも感謝しておる」
竜騎将は黒龍の討伐のために協力してくれたレナ達に感謝の言葉を継げると、改めて彼は牛人族とダークエルフが待つ島へ戻るように提案する。
「では我々は報告も兼ねて他の部族の所に戻るとするか。飛竜は無事か?」
「竜騎将、一応は1匹だけ元気な奴がいますが、こいつ黒龍に怯えてずっと隠れていたんですよ」
「シャアアッ……」
竜人族が飼育していた飛竜は黒龍との戦闘に巻き込まれて大半が怪我を負っていたが、1匹だけ難を逃れた飛竜が存在した。基本的に飛竜は勇猛果敢な性格をしているのだが、こちらの飛竜だけは臆病でずっと砦の中に隠れていた所を発見された。
飛竜は竜人族達に無理やりに引っ張られて姿を現し、この飛竜だけは他の個体と違って鱗が煌めいており、恐らくは只の飛竜ではなく、亜種だと思われる。
「この子、亜種ですか?」
「うむ、生まれた時から綺麗な鱗に覆われていてな。だが、そのせいで他の飛竜とは上手く馴染めず、虐められるようになってこんな臆病な性格になったのだ」
「でも、こいつは一番早いぞ。こいつなら二人乗せたとしてもすぐに島の何処にでも移動する事が出来るんだ」
「へえっ……」
「シャウッ……」
レナが試しに飛竜に触れても特に怒った様子はなく、不思議そうに顔を近づけてくる。他の飛竜は知らない人間が近づこうとしただけでも警戒するのだが、こちらの飛竜は初めて見る人間のレナを見て興味深そうに覗き込む。臆病な癖の癖には好奇心は旺盛らしく、レナが頭をなでてやるとあっさりと懐いてしまう。
「よしよし」
「シャアアッ♪」
「人懐っこい飛竜ですね……」
「だが、怖がりだからな。もしも魔物が近くに居たらすぐに逃げ出してしまうんだ」
「なんだ、臆病者か」
「別にいいんじゃないの?こいつが飛べるならすぐに戻れるんだろ?」
ハルナの言葉にナイは頷き、飛竜さえ飛べるのであればレナとしても文句はない。まずは牛人族とダークエルフが待っている島に戻る必要があり、竜騎将に頼み込む。
「この子を飛ばしてください。すぐに戻らないと……」
「ああ、だが行けるのは2人だけだぞ?」
「大丈夫です、その辺も考えてありますから」
「ん?どういう意味だ?」
飛竜で一度に移動できる人数は限られており、全員が島に戻る事は出来ないと竜騎将は告げるが、レナには秘策があった――
――竜騎将と共にレナは飛竜の亜種に乗り込み、牛人族が住処にしている湖の島へと辿り着く。事前に言っていた通りに他の飛竜よりも移動速度が速く、ほんの1時間程度で到着する。
「シャアアッ!!」
「おっとと……大丈夫か?」
「うぷっ……ちょっと酔いそう」
島に降り立つとレナはあまりの速度にちょっと吐きそうになったが、どうにか堪える。すぐに島の者が駆けつけ、ダークエルフの族長を肩に抱えた牛人族の長が駆けつけてきた。
「おおっ、無事に戻って来たか!!」
「心配しておったぞ。ん?アンジュ達はどうした?」
「大丈夫、すぐに呼び出すから……」
「呼び出す?」
レナは族長の言葉を聞いて右手で口元を抑えながらも反対の腕を伸ばし、意識を集中させる。次の瞬間、空間に黒色の渦が誕生すると全員が驚愕の表情を浮かべた。
「こ、これはいったい!?」
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「お、おい!?大丈夫なのか!?」
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