不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

白竜とアンドロイド

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塔の大迷宮の最上階では多数の魔物が巣食うが、その中でも頂点に立つのが「白竜」である。竜種の中でも最強と恐れられ、その戦闘力は古代龍をも上回ると言われている。そんな白竜の子供を飼育しているのは塔の大迷宮の管理者であるアンドロイドのリーリスであった。


「ほ~ら、付いてきなさい」
「ガウッ♪」


リーリスは飛行ユニットを展開して空を飛ぶと、その後を追いかけるようにハクが後に続く。かつてレナ達に敗れたハクは現在は治療を受け、リーリスの元で世話になっていた。リーリスの後を追いかけながらもハクは地上の様子を伺い、湖を発見すると嬉しそうに突っ込む。


「ガアアッ!!」
「ジュラァッ!?」
「おっと、お腹が空きましたか?」


湖の中に潜むクラーケンにハクは嚙り付き、それを見たリーリスは地上へ降りて様子を伺う。白竜はクラーケンに噛みつくと無理やりに地上に引きずり出し、触手を喰らいつく。塔の大迷宮では外の世界では危険度が高い魔物が巣食うが、その中でも最強の白竜にとっては他の魔物など餌でしかない。

クラーケンを喰らうのに夢中なハクを見てリーリスは彼が満足するまで待つ事にすると、不意に彼女は奇妙なエネルギーを感知した。しかも感知した場所は塔の大迷宮内ではなく、外の世界である事を知る。


「この反応は……」
「ガアッ!?」


ハクも何かに気付いたのか驚いた様子で振り返り、食事を中断して唸り声を上げた。食事の際は食欲のままに餌を貪るハクだったが、まるで警戒するように牙を剥きだしにしてある方向を睨み続けた。その様子に気付いたリーリスは彼も自分が感じたエネルギーに気付いた事に勘付いた。


「貴方も感じるんですね?あっちのほうに何かがいますね……」
「ガウッ!!」
「……これは少し調べる必要がありますね」


本来であればリーリスは塔の大迷宮の管理が役割なので外の世界には基本的に干渉しない。しかし、これまでにない未知のエネルギーを感じ取ったリーリスは見過ごしと不味い事になりそうだと判断して調査をする事にした。


「ホネミンさんに連絡を取りましょう。アンテナ解放!!」
「ガウッ!?」


リーリスは耳元の機械の部分からアンテナを出現させると、それを見たハクは驚愕した。隔離された塔の大迷宮では本来であれば外の世界へ連絡手段はないのだが、彼女はホネミンの身体を作り出す際にある改造を行い、実はホネミンの体内にはナノマシンを投与している。

ナノマシンを通じてリーリスはホネミンの動向を掴み、彼女が何処にいて何をしているのかが分かる。ホネミンには改造の際に外の世界の情報を伝える事を条件に肉体の生成を行い、定期的に連絡を取り合っていた。


『ホネミンさん、聞こえますか?』
『はっ!?誰かが私の脳内に……まさかアイリスさん!?』
『いいえ、それよりも高尚な存在です』
『中々に私の恩人に失礼な事を言いますね!!』


ホネミンとの連絡は成功したリーリスは軽い冗談を交えながらも外の様子を伺う。ホネミンは現在自分が知っている限りの情報を共有すると、リーリスは炎龍なる存在が復活しそうな事を知って納得した。


『なるほど……炎龍ですか。私も記録だけは知っていますよ。かつて白銀龍(白竜)と炎龍が争い合い、一つの島が消し飛んだという記録が残っています』
『それは大げさじゃないですか?』
『いいえ、決して大げさではありません。炎龍の強さは成体の白銀龍にも匹敵します。下手をしたら古代龍を殺せるだけの力を持ちます。レナさん達だけだと戦うのは厳しいですね』
『マジですか』


リーリスの外の世界から収集した記録では炎龍は凄まじい力を持ち合わせ、恐らくではあるがレナ達が遭遇したどんな魔物よりも力を持つと思われた。このまま炎龍と戦う事になればレナ達と言えども勝ち目は薄く、状況を把握したリーリスはハクに視線を向けた。


「そろそろ私も外へ出向く時が来たかもしれませんね。貴方も覚悟しておいてください」
「ガウッ?」


ハクはリーリスの言葉に不思議そうに首を傾げるが、もう間もなく最強の竜種と勇者が生み出した最高傑作のアンドロイドが動き出す――





――同時刻、ホムラに逃げられた事で炎龍へ魔力を送り込む方法はなくなったラストだったが、彼は両腕を広げて火山内の火の精霊を取り込む。ラストの能力は相手から魔力を奪うだけではなく、精霊すらも吸収して自分の魔力へと変換できる。

精霊魔法と違う点は精霊の意思に関係なく、強制的に精霊を吸い込んで魔力を取り込む。この方法を利用すればラストは無尽蔵に精霊を取り込み、炎龍に力を送り込めた。


「目覚めは近い、か……」


炎龍に魔力を送り込む際にラストは炎龍の肉体に触れる事になるが、前と比べて炎龍の鼓動が強まっていた。完全復活まで間もなくであり、もう少しでラストの願いは叶えられる。しかし、その割には彼の顔は優れなかった。
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