不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,903 / 2,091
蛇足編

妥協案

しおりを挟む
「あ、そうだ。そんなに危険なら俺一人だけで行きますよ」
「えっ!?」
「操縦の仕方を教えてくれたら砂漠都市に俺だけで向かいます。もしもの時は空間魔法で帰ってこれるようにすれば安全だと思うし……」


レナの空間魔法は異空間に物体を収納するだけではなく、二つの黒渦を作り出す事で転移魔法のように移動を行う事ができる。砂船の小型船が魔物に襲われた際、レナだけならば空間魔法で脱する事ができた。


「そ、操縦を覚えるのは難しいかと……砂船は普通の船とは扱い方が異なりますので」
「大丈夫です。頑張って覚えますから」
「……わ、分かりました」


船員は仕方なくレナに砂船の操縦方法を教え、砂漠を渡るため際の船の操作のコツを教える。普通の海と違って砂海の場合は船で渡る際に気を付けるのは砂丘であり、あまりに速度を上げて砂丘を上がると勢いあまって転覆してしまう恐れがある。

操縦方法を習った後、レナは岩山を旋回して操縦に慣れていく。砂船を動かす方法は二つの魔石を利用し、まずは船底には船のバランスを保つために土属性の魔石が設置され、この魔石を利用して船が転覆しそうな時は土属性の魔石を発動させて重力を増減して体勢を保つ。そして船の後部には風属性の魔石を搭載しており、船に取り付けてあるスクリューと酷似した魔道具を発動させる。スクリューを風の魔力で高速回転させる事で移動を行える仕組みだった。


「よっと……意外と操縦は簡単なんですね」
「か、簡単ですか?普通なら素人が覚えるには一か月はかかるのですが……」
「レナ様の感覚センスは普通の方とは違うようですね」
「流石はレナたん!!」


これまでに様々な技能を覚えていった結果、レナは新しい技術を身に着ける事を得意としていた。元々覚えている技能の中には操縦の際に役立つ能力も会ったのかもしれず、レナは簡単に砂船を操作して移動できるようになる。


「砂漠都市の場所と方向を教えてください。一人で行ってきますので」
「ほ、本当に行かれるのですか?地図があったっとしても居場所が分からなければ大変な事になりますよ?」
「大丈夫ですよ。いざという時は空間魔法で船ごと戻りますから」


仮に迷った場合でもレナの場合は空間魔法で黒渦を通過すれば岩山に戻る事ができる。船員からレナは地図を受け取り、砂船の小型船を借りた。万が一に壊した場合に備えてレナはお金を支払い、ようやく砂漠都市に向けて出発できた。


「それじゃあ、行ってきます」
「レナ様、お気を付けください!!空間魔法を発動している間は他の魔法の使用は控えてください!!」
「疲れたらすぐに戻ってきてね~!!」
「お、お気を付けて……」


レナは小型船に乗り込むと砂漠都市がある方向に向けて移動を開始し、ここから先は地図だけを頼りに向かわなければならない。砂船の船員は熟練した技術と船乗りの勘で砂海の移動を行うが、レナの場合はもっと頼りになる存在が居た。


『案内役は任せるよアイリス』
『はいはい、お任せください。あ、ちょっと右に逸れてください。そうそう、そんな感じで……』


地図などなくてもレナにはアイリスという頼りになる羅針盤が存在し、砂漠都市の位置を完璧に把握している彼女が一緒ならば簡単に進める。序盤は特に苦労する事もなく、砂漠を進む事ができた。

だが、不穏な気配を漂い始めたのは移動を開始してから一時間後の出来事だった。移動の際中にレナは大きな砂丘の上に移動し、一旦船を止めて周囲の様子を伺う。


「風が騒がしいな。……今のは中二病発言じゃないからね」


誰もいないのにレナは一人で突っ込み、先ほどから風の精霊が忙しなく漂っている気がした。レナは掌を伸ばして風の精霊を感じ取り、まるで嵐でも迫っているように風の精霊が大量に湧き出していた。


「まさか……砂嵐が近付いている?」


視認はできないが砂嵐が迫っている危険性があり、もしも砂嵐が押し寄せれば小型船など簡単に吹き飛んでしまう。何処か身を隠す場所はないかレナは探し、都合のいい事に大きな岩を発見した。


「よし、あそこに移動して一旦ここを離れよう。もしもの時は皆の所に避難しないと……」


岩山の上に移動し、そこに黒渦を設置すればレナはティナ達が待つ岩山に一時避難できる。砂嵐が迫る前にレナは移動を開始すると、砂漠にある岩へと移動を行う。だが、ここでレナは疑問を抱く。


(あの岩……何か様子が変だな)


岩の周囲は不自然な程に凹みが存在し、まるで隕石のように岩が落ちてきてクレーターが出来上がっているようにも見えた。もしかしたらレナが見つけたのは本物の隕石かもしれず、仮にそうだとしたら疑問が残る。

砂海は見た目はただの砂漠だが、実際は砂粒が細かすぎて水の様に身体が沈んでしまう。もしも隕石が落ちてきたとしても砂海の中に取り込まれてしまうはずだが、岩は何故か全く沈む様子がない。不審に思ったレナだったが、考えている間にも砂嵐が迫ってきていた。
しおりを挟む
感想 5,095

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。