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蛇足編
水晶の生命体
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「何なんだこれ……オリハルコンと似てるけど、ちょっと色合いが違う」
サンドワームが吐き出した水晶の塊を見てレナは恐る恐る近付こうとした瞬間、水晶の塊が光り輝く。そして徐々に形を変えていき、スライムのように変形した。しかも変形と同時に全体が漆黒と化し、それを見たレナは反射的に距離を置く。
『見つけたぞぉっ!!』
「うわっ!?」
漆黒のスライムはレナに目掛けて飛び込むが、事前に嫌な予感を抱いていたレナは飛翔術で空に非難を行う。漆黒のスライムはそれを見て憎々し気な声を上げる。
『貴様だけは絶対に許さん!!必ず殺してや……誰だ、お前?』
「しゃ、喋った!?スライムなのか!?」
いきなり襲い掛かってきた漆黒のスライムは完璧な人語を話し、ここまで流暢に人語を話せるスライムなどレナは見た事も聞いた事もない。魔人族の中でも人間に近い存在は人語を話す事はできてもおかしくはないが、スライムで人語を完璧に扱える存在は巡り合った事がない。
外見はどう見てもスライムにしか見えないが、先ほどまではオリハルコンと酷似した水晶の塊だった。だが、レナが近付いた途端に変色してスライムへと変身した。得体のしれない謎の生物にレナは危険を感じ取り、即座にアイリスと交信を行おうとする。しかし、その前にスライムはレナに言い放つ。
『貴様……女神の祝福を受けた人間だな!!』
「えっ!?」
『感じる……あの男と似たような気配を感じるぞ!!そうか、貴様が今代の勇者か!!』
「勇者?」
女神と聞いてレナは漆黒のスライムがアイリスの事を言っているのかと驚き、何故かレナの事を勇者とも勘違いしていた。いったいどういう事なのかとレナは疑問を抱くが、スライムは砂漠の上で飛び跳ねる。
『下りて来い勇者!!潔く勝負しろ!!この魔王が怖いか!?』
「魔王!?」
魔王を自称する漆黒のスライムにレナは唖然とするが、確かに見た目はともかく普通のスライムとは思えない。レナは正体を把握するため、アイリスと交信を行う。
『アイリス!!こいつの正体は!?』
『まさか隕石をサンドワームが喰らうとは思いませんでしたね。しかもこのタイミングだなんて……レナさん、本当に厄介事に巻き込まれやす過ぎですよ』
『いいから正体を教えろよ!!』
『分かりました、そいつの正体は魔王です。かつて世界を支配を企み、勇者に敗れて宇宙の遥か彼方まで吹き飛ばされたんですが、偶然にも地球に接近する隕石に付着して戻ってきたんです』
『こいつが魔王!?』
まさか本当に漆黒のスライムの正体が魔王だと知ってレナは驚き、少し前に戦った七魔将を封印した存在かと思ったが、アイリスによれば七魔将を封じた魔王とは別の時代に存在した魔王らしい。
『その魔王は七魔将とは何の関係もありません。この世界では何百年かの単位で魔王と呼ばれる存在が現れます。そこにいる魔王は七魔将を服従させていた魔王の一世代前の魔王です』
『え、そうなの?』
『その魔王は勇者に倒された後、密かに隠れて生き延びていたんです。そして勇者が死んだ後、次の勇者が召喚される際に出現して勇者の一人から能力を奪ったんです』
『能力を奪う?』
『その魔王が持つ能力は「吸収」です。人間の身体に触れればその人間が持つ力を吸い取り、魔法の力や身体能力、技能までも完璧に身に付けます。勇者はこの世界においては最高の肉体を持っていますからね、つまり勇者と同等の力を所有しています』
『……つまり、あいつは勇者と同等の力を持っているわけか』
漆黒のスライムは触れた生物の能力を吸収する力を持ち、この能力のお陰で勇者と同等の力を手に入れる事ができる。しかし、アイリスによれば無限に吸収した能力を奪えるわけではないらしく、奪える能力は一人限定だと判明した。
『この魔王は数百年前、ハルナという名前の女勇者から能力を奪っています』
『ハルナ!?』
『あ、レナさんが知っているハルナとは別人ですよ。性格も能力も正反対です』
ハルナと聞いてレナは驚いたが、彼が知っているハルナとは別人である。数百年前に召喚された勇者のハルナは女性で魔術師だったらしく、その能力は世界最高峰だと言われていた。そんな勇者と同等の力を持つ魔王の出現にレナは困り果てる。
『どっちにしろ勇者並の力を持つのか……それにしてもあいつ、何で急に襲い掛かって来たんだ』
『レナさんがきっと魔王を宇宙まで飛ばした人と似ているからでしょうね』
『宇宙に飛ばすって……どんな目に遭ってるんだあいつ』
『究極生命体の末路ですよ。倒しきれないのなら宇宙にポイ捨てするのが一番です』
『ゴミ箱じゃないんだからさ……それに結局戻ってきてるし』
かつて魔王は勇者の能力を奪った後、とある魔術師と交戦した。激闘の末に魔王は宇宙に吹き飛ばされ、もう二度と戻ってこれる事はないと思われた。だが、奇跡的に地球に向かう隕石に付着して数百年後に帰還を果たした。
※まさかこの魔王の正体は……!?
サンドワームが吐き出した水晶の塊を見てレナは恐る恐る近付こうとした瞬間、水晶の塊が光り輝く。そして徐々に形を変えていき、スライムのように変形した。しかも変形と同時に全体が漆黒と化し、それを見たレナは反射的に距離を置く。
『見つけたぞぉっ!!』
「うわっ!?」
漆黒のスライムはレナに目掛けて飛び込むが、事前に嫌な予感を抱いていたレナは飛翔術で空に非難を行う。漆黒のスライムはそれを見て憎々し気な声を上げる。
『貴様だけは絶対に許さん!!必ず殺してや……誰だ、お前?』
「しゃ、喋った!?スライムなのか!?」
いきなり襲い掛かってきた漆黒のスライムは完璧な人語を話し、ここまで流暢に人語を話せるスライムなどレナは見た事も聞いた事もない。魔人族の中でも人間に近い存在は人語を話す事はできてもおかしくはないが、スライムで人語を完璧に扱える存在は巡り合った事がない。
外見はどう見てもスライムにしか見えないが、先ほどまではオリハルコンと酷似した水晶の塊だった。だが、レナが近付いた途端に変色してスライムへと変身した。得体のしれない謎の生物にレナは危険を感じ取り、即座にアイリスと交信を行おうとする。しかし、その前にスライムはレナに言い放つ。
『貴様……女神の祝福を受けた人間だな!!』
「えっ!?」
『感じる……あの男と似たような気配を感じるぞ!!そうか、貴様が今代の勇者か!!』
「勇者?」
女神と聞いてレナは漆黒のスライムがアイリスの事を言っているのかと驚き、何故かレナの事を勇者とも勘違いしていた。いったいどういう事なのかとレナは疑問を抱くが、スライムは砂漠の上で飛び跳ねる。
『下りて来い勇者!!潔く勝負しろ!!この魔王が怖いか!?』
「魔王!?」
魔王を自称する漆黒のスライムにレナは唖然とするが、確かに見た目はともかく普通のスライムとは思えない。レナは正体を把握するため、アイリスと交信を行う。
『アイリス!!こいつの正体は!?』
『まさか隕石をサンドワームが喰らうとは思いませんでしたね。しかもこのタイミングだなんて……レナさん、本当に厄介事に巻き込まれやす過ぎですよ』
『いいから正体を教えろよ!!』
『分かりました、そいつの正体は魔王です。かつて世界を支配を企み、勇者に敗れて宇宙の遥か彼方まで吹き飛ばされたんですが、偶然にも地球に接近する隕石に付着して戻ってきたんです』
『こいつが魔王!?』
まさか本当に漆黒のスライムの正体が魔王だと知ってレナは驚き、少し前に戦った七魔将を封印した存在かと思ったが、アイリスによれば七魔将を封じた魔王とは別の時代に存在した魔王らしい。
『その魔王は七魔将とは何の関係もありません。この世界では何百年かの単位で魔王と呼ばれる存在が現れます。そこにいる魔王は七魔将を服従させていた魔王の一世代前の魔王です』
『え、そうなの?』
『その魔王は勇者に倒された後、密かに隠れて生き延びていたんです。そして勇者が死んだ後、次の勇者が召喚される際に出現して勇者の一人から能力を奪ったんです』
『能力を奪う?』
『その魔王が持つ能力は「吸収」です。人間の身体に触れればその人間が持つ力を吸い取り、魔法の力や身体能力、技能までも完璧に身に付けます。勇者はこの世界においては最高の肉体を持っていますからね、つまり勇者と同等の力を所有しています』
『……つまり、あいつは勇者と同等の力を持っているわけか』
漆黒のスライムは触れた生物の能力を吸収する力を持ち、この能力のお陰で勇者と同等の力を手に入れる事ができる。しかし、アイリスによれば無限に吸収した能力を奪えるわけではないらしく、奪える能力は一人限定だと判明した。
『この魔王は数百年前、ハルナという名前の女勇者から能力を奪っています』
『ハルナ!?』
『あ、レナさんが知っているハルナとは別人ですよ。性格も能力も正反対です』
ハルナと聞いてレナは驚いたが、彼が知っているハルナとは別人である。数百年前に召喚された勇者のハルナは女性で魔術師だったらしく、その能力は世界最高峰だと言われていた。そんな勇者と同等の力を持つ魔王の出現にレナは困り果てる。
『どっちにしろ勇者並の力を持つのか……それにしてもあいつ、何で急に襲い掛かって来たんだ』
『レナさんがきっと魔王を宇宙まで飛ばした人と似ているからでしょうね』
『宇宙に飛ばすって……どんな目に遭ってるんだあいつ』
『究極生命体の末路ですよ。倒しきれないのなら宇宙にポイ捨てするのが一番です』
『ゴミ箱じゃないんだからさ……それに結局戻ってきてるし』
かつて魔王は勇者の能力を奪った後、とある魔術師と交戦した。激闘の末に魔王は宇宙に吹き飛ばされ、もう二度と戻ってこれる事はないと思われた。だが、奇跡的に地球に向かう隕石に付着して数百年後に帰還を果たした。
※まさかこの魔王の正体は……!?
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