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蛇足編
復活の魔王
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『魔王といっても正確に言えば人造兵器です。人の手によって作り出された魔王なんですよ』
『人造兵器!?』
『詳しい話をするとなると長くなるのですが、完結にまとめるとレナさんの前にいるのは魔王の人格を埋め込まれた金属生命体です。能力は吸収、触れた相手の能力を奪うだけではなく、あらゆる魔法の力を吸収して内部で増幅させて撃ち返す事ができます。仮に最上級魔法を撃ちこもうと倒す事はできません、逆に魔法を吸収されて取り返しのつかない事態に陥りますからね』
『つまり……叔母様の天敵みたいな存在か』
魔法使いにとっては魔王は最悪の相性の敵であり、仮にこの場にマリアが居たとしても彼女では能力的には魔王には勝てないかもしれない。敵の正体がまさかの魔王だと知ってレナは困惑するが、先ほどの隕石の事を思い出す。
『もしかして隕石の近くで魔法の力を使えなかったのもこいつのせいか?』
『そういう事です。隕石に閉じ込められている間に周囲の魔力を吸収し続けたんです。長い時を費やして活動できるだけの魔力を集めたんですよ』
『活動できるだけの魔力?』
『金属生命体は魔力がなければ活動できません。隕石が地球に墜落した直後は魔力が殆ど残っていなかったので長い時間をかけて周囲の魔力を吸収していたんです。ですが、ここが砂漠なので魔力を奪おうにも簡単にはいきません。活動に必要な魔力は聖属性の魔力なのですが、砂漠という環境下では簡単に生身の生物とは接触できません』
『なるほど……だから今まで動けなかったのか』
金属生命体の魔王が動くためには聖属性の魔力を必要とするが、アチチ砂漠では生身の生物は殆ど存在しない。だが、偶然にも現れたサンドワームが隕石を喰らい、その内部で眠っていた魔王を復活した。サンドワームの生命力を奪って魔王は活動可能な魔力を補充し、遂に復活を果たした。
『レナさん、魔王は本当に危険な存在なんです。油断すれば一瞬でやられると考えてください』
『分かってる。でも、戦おうにも武器が鏡刀だけしか……』
『一か八かの賭けになりますが、岩山に残した黒渦を消してください。身体に負担になりますし、全力で戦えないでしょう』
『それをしたら俺は戻れないけど……』
『ここで撤退すれば魔王がどんな行動を取るか分かりません。始末するならここしかないんです』
『……しょうがない、やるか』
アイリスの説得にレナは普段の彼女らしからぬ気迫を感じ、魔王の存在はアイリスとしても見過ごせないらしい。まさかこのような形で世界を破滅に追い込んだ相手と戦う日が来るとは夢にも思わなかったが、レナは岩山に残した黒渦を消失させて万全の準備を整える。
『ようやく理解したぞ……貴様、あの男の子孫だな!!だから気配が似ているんだ!!』
「何の話をしているか分からないけど……とりあえず、まずは足場をどうにかするか」
砂海ではレナは全力で戦う事はできず、まずは足場を用意する必要があった。飛翔術で浮かんだ状態でレナは戦いやすそうな場所を探し、大きな岩山を発見して移動を行う。
「鬼さんこちら!!手の鳴る方へ!!」
『誰が鬼だ!!我は魔王だ!!』
飛翔術でレナは岩山がある方向へ向かうと、魔王は身体を弾ませて後を追う。一定の距離を保ちながらレナは魔王を誘導すると、岩山の上に降り立って異空間から退魔刀を抜く。それを見た魔王はレナが魔術師だと見抜く。
『収納魔法だと!?という事は貴様、支援魔術師か!!』
「そうだと言ったら?」
『ちっ……これだけの魔力を持ちながらただの支援魔術師とは運がない。まあいい、貴様の魔力を根こそぎ奪って殺してや……ぐおっ!?』
会話の際中にレナは容赦せずに退魔刀を魔王に叩き付け、あまりの威力に魔王は岩にめり込む。一撃で葬るつもりでレナは攻撃を仕掛けたが、流石に金属生命体と称するだけあって身体の硬さは異常だった。外見はオリハルコンのように見えるが、実際の所はオリハルコンよりも硬い。
この世界で最も硬い魔法金属のアダマンタイトで造り出された退魔刀でさえも魔王の身体を破壊する事はできず、生半可な攻撃は通じないと判断したレナは戦技を発動させた。
「兜砕き!!」
『ぬおおっ!?』
同じ箇所に今度は戦技を発動させて叩きつけるが、今度は魔王も危機を察したのかめり込んだ身体をどうにか抜け出して身体を転ばせながら回避した。支援魔術師でありながら本職の剣士よりも強烈な斬撃を繰り出すレナに魔王は焦りの声を出す。
『き、貴様!?何が支援魔術師だ!!剣士だったのか!?』
「正真正銘、支援魔術師だよ!!」
『ぬあっ!?』
レナが退魔刀を横薙ぎすると魔王は身体を弾ませて上空に逃れ、本物のスライムのように俊敏な動作で攻撃を躱す。それを見ていてレナは本物のスライムをいじめているようで気分は良くないが、手加減するつもりはない。
『人造兵器!?』
『詳しい話をするとなると長くなるのですが、完結にまとめるとレナさんの前にいるのは魔王の人格を埋め込まれた金属生命体です。能力は吸収、触れた相手の能力を奪うだけではなく、あらゆる魔法の力を吸収して内部で増幅させて撃ち返す事ができます。仮に最上級魔法を撃ちこもうと倒す事はできません、逆に魔法を吸収されて取り返しのつかない事態に陥りますからね』
『つまり……叔母様の天敵みたいな存在か』
魔法使いにとっては魔王は最悪の相性の敵であり、仮にこの場にマリアが居たとしても彼女では能力的には魔王には勝てないかもしれない。敵の正体がまさかの魔王だと知ってレナは困惑するが、先ほどの隕石の事を思い出す。
『もしかして隕石の近くで魔法の力を使えなかったのもこいつのせいか?』
『そういう事です。隕石に閉じ込められている間に周囲の魔力を吸収し続けたんです。長い時を費やして活動できるだけの魔力を集めたんですよ』
『活動できるだけの魔力?』
『金属生命体は魔力がなければ活動できません。隕石が地球に墜落した直後は魔力が殆ど残っていなかったので長い時間をかけて周囲の魔力を吸収していたんです。ですが、ここが砂漠なので魔力を奪おうにも簡単にはいきません。活動に必要な魔力は聖属性の魔力なのですが、砂漠という環境下では簡単に生身の生物とは接触できません』
『なるほど……だから今まで動けなかったのか』
金属生命体の魔王が動くためには聖属性の魔力を必要とするが、アチチ砂漠では生身の生物は殆ど存在しない。だが、偶然にも現れたサンドワームが隕石を喰らい、その内部で眠っていた魔王を復活した。サンドワームの生命力を奪って魔王は活動可能な魔力を補充し、遂に復活を果たした。
『レナさん、魔王は本当に危険な存在なんです。油断すれば一瞬でやられると考えてください』
『分かってる。でも、戦おうにも武器が鏡刀だけしか……』
『一か八かの賭けになりますが、岩山に残した黒渦を消してください。身体に負担になりますし、全力で戦えないでしょう』
『それをしたら俺は戻れないけど……』
『ここで撤退すれば魔王がどんな行動を取るか分かりません。始末するならここしかないんです』
『……しょうがない、やるか』
アイリスの説得にレナは普段の彼女らしからぬ気迫を感じ、魔王の存在はアイリスとしても見過ごせないらしい。まさかこのような形で世界を破滅に追い込んだ相手と戦う日が来るとは夢にも思わなかったが、レナは岩山に残した黒渦を消失させて万全の準備を整える。
『ようやく理解したぞ……貴様、あの男の子孫だな!!だから気配が似ているんだ!!』
「何の話をしているか分からないけど……とりあえず、まずは足場をどうにかするか」
砂海ではレナは全力で戦う事はできず、まずは足場を用意する必要があった。飛翔術で浮かんだ状態でレナは戦いやすそうな場所を探し、大きな岩山を発見して移動を行う。
「鬼さんこちら!!手の鳴る方へ!!」
『誰が鬼だ!!我は魔王だ!!』
飛翔術でレナは岩山がある方向へ向かうと、魔王は身体を弾ませて後を追う。一定の距離を保ちながらレナは魔王を誘導すると、岩山の上に降り立って異空間から退魔刀を抜く。それを見た魔王はレナが魔術師だと見抜く。
『収納魔法だと!?という事は貴様、支援魔術師か!!』
「そうだと言ったら?」
『ちっ……これだけの魔力を持ちながらただの支援魔術師とは運がない。まあいい、貴様の魔力を根こそぎ奪って殺してや……ぐおっ!?』
会話の際中にレナは容赦せずに退魔刀を魔王に叩き付け、あまりの威力に魔王は岩にめり込む。一撃で葬るつもりでレナは攻撃を仕掛けたが、流石に金属生命体と称するだけあって身体の硬さは異常だった。外見はオリハルコンのように見えるが、実際の所はオリハルコンよりも硬い。
この世界で最も硬い魔法金属のアダマンタイトで造り出された退魔刀でさえも魔王の身体を破壊する事はできず、生半可な攻撃は通じないと判断したレナは戦技を発動させた。
「兜砕き!!」
『ぬおおっ!?』
同じ箇所に今度は戦技を発動させて叩きつけるが、今度は魔王も危機を察したのかめり込んだ身体をどうにか抜け出して身体を転ばせながら回避した。支援魔術師でありながら本職の剣士よりも強烈な斬撃を繰り出すレナに魔王は焦りの声を出す。
『き、貴様!?何が支援魔術師だ!!剣士だったのか!?』
「正真正銘、支援魔術師だよ!!」
『ぬあっ!?』
レナが退魔刀を横薙ぎすると魔王は身体を弾ませて上空に逃れ、本物のスライムのように俊敏な動作で攻撃を躱す。それを見ていてレナは本物のスライムをいじめているようで気分は良くないが、手加減するつもりはない。
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