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ゴブリンキング編
炭鉱の宿舎
――ミラの案内の元、レナ達は食堂から移動を行う。炭鉱に潜り込んでからそれなりに時間が経過しているが、宴会中のゴブリン達が炭鉱に戻る様子はない。レナ達は発掘員であるミラの後に続き、彼女は炭鉱の通路を全て把握しており、迷うことなく移動を行う。
「最初の方は一本道でしたけど、段々と通路が入り組んできましたね」
「あんた達も地上の5つの出入口を見たんだろう?偶然とはいえ、一番食堂に近い入口を選んだね」
「そうなんですか?」
「運が良かったですね……」
ミラの話によるとレナ達が選んだ出入口が炭鉱員や護衛の冒険者が捕まっていた食堂に一番近い通路であり、もしも彼等が他の出入口を選んでいた場合は迷路のように複雑な通路で彷徨っていた可能性が高い。レナは気付いていないがこれも彼の「幸運」のスキルが関係している。
食堂を移動してからは光石のランタンが通路に一定の間隔で設置されており、ミラによるとこの炭鉱の奥には光石も発掘できるらしく、灯りになるような道具を持ち込まずとも通路内の奥部は移動できる。それと魔物は光石から放たれる光を何故か苦手としており、炭鉱に現れたゴブリン達も天井のランタンには手を出さない。
「ミラさんはずっとこの炭鉱で働いているんですか?」
「いや、この炭鉱には最近務めたばかりさ。まあ、半年ぐらいかね?」
「この鉱山のゴブリンはあんなに獰猛だったんですか?」
「馬鹿言うんじゃないよ。そもそもゴブリンなんて私がここに勤めてから今日初めて見たよ。一体何処から現れたのか……おっと、静かにしな」
先頭を移動していたミラが壁に寄り添い、レナ達も彼女を見習って壁際に移動すると前方の通路の曲がり角の前で立ち止まり、彼女は口元に人差し指を向ける。曲がり角の向こう側に敵が存在する事を伝え、ミラは身長に曲がり角の通路を覗き込む。
「…………」
観察を終えるとミラはその場を離れ、レナ達にも自分と同じように覗き込むように指で指示を行う。最初にレナが曲がり角に移動を行い、慎重に音を立てずに曲がり角を覗き込むと、そこには予想外の光景が広がっていた。
「グゴォオオオオッ……!!」
食堂の様に鋼鉄製の扉の前に先ほどよりも太ったゴブリンナイトが寝息を立てており、その光景に唖然とする。他の2人も曲がり角から顔を覗き込ませ、呑気に眠っているゴブリンナイトを見て呆れた表情を浮かべる。
「……どうやら小声なら話しても問題なさそうだね。どう思う?」
「どう思うって……気持ちよさそうに眠っていますね」
「そうだね。だけど迂闊には近付けないよ。もしも物音を立てて起きちまったら私達の手に負える相手じゃないよ」
「だけど攻撃を仕掛ける好機じゃ……」
「あんたに一撃であの化物を倒せる手段があるのかい?」
攻撃を仕掛けるとしたら絶好の好機ではあるが、ミラの言葉通りにゴブリンナイトに攻撃を仕掛けた場合は初撃が重要であり、眠っている状態でもゴブリンナイトは冒険者から奪ったと思われる鎧を身に着けて胴体を守っており、確実に一撃で仕留められそうな攻撃箇所は兜から露出している顔面だけでだが、ゴブリンの顔面は人間よりも非常に頑丈であり、迂闊に攻撃を仕掛けるのは危険である。
「どうします?扉の前で眠っていますから乗り越える事も出来ませんし……」
「そうだ。コトミンの水圧砲で……」
「無理……さっきの人達を治療する時も回復液を与えていたから、もう身体の中の水分が殆ど残っていない。これ以上やると、干物になる」
「困りましたね……さっきの治療で私も回復薬も全部渡してしまったし、水分になるような物なんて……あっ、この蘇生薬と腐敗薬なら残って……いたたたたっ!?」
無言でアイリィの腕にコトミンが噛みつき、レナは眠っているゴブリンナイトに視線を向け、現在の彼の付与魔法や戦技では確実に一撃で仕留める方法はない。
「……いや、待てよ?もしかしたら……」
「どうかしました?」
「付与魔法……か」
レナの脳裏に黒猫亭で魔石の実験を行った時の事を思い出し、付与魔法は物体に魔法の力を封じ込める魔法であり、魔法耐性が存在しない物体に魔法を施す事も出来る。もしも付与魔法を「生物」に使用した場合、どんな結果を生み出すのかは簡単に予測出来た。
「……俺がやる」
「正気かい?まさか本当に一撃であのデカいのを殺せる自信があるのかい?」
「あります」
「レナ……」
「本当に大丈夫なんですか?」
不安気な表情を浮かべる三人にレナは頷き、彼は暗殺者のスキルの「無音歩行」を駆使して足音を立てずにゴブリンナイトに接近し、掌を相手の顔面に向ける。睡眠中でも流石に顔面を掴まれたらゴブリンナイトが起きてしまう可能性が高く、勝負を仕掛けるのは相手が起きた瞬間であり、レナは呼吸を整え、覚悟を決めてゴブリンナイトの顔面に手を伸ばす。
「グギィッ……!?」
「――水属性!!」
レナの指がゴブリンナイトの顔面に食い込み、相手は瞼を開いた瞬間、指先から水属性の魔力を送り込む。彼の魔法の中でも聖属性の次に熟練度が高い付与魔法であり、掌を通して放たれた冷気がゴブリンナイトの全身に広がり、内側から「氷結」させた。
「最初の方は一本道でしたけど、段々と通路が入り組んできましたね」
「あんた達も地上の5つの出入口を見たんだろう?偶然とはいえ、一番食堂に近い入口を選んだね」
「そうなんですか?」
「運が良かったですね……」
ミラの話によるとレナ達が選んだ出入口が炭鉱員や護衛の冒険者が捕まっていた食堂に一番近い通路であり、もしも彼等が他の出入口を選んでいた場合は迷路のように複雑な通路で彷徨っていた可能性が高い。レナは気付いていないがこれも彼の「幸運」のスキルが関係している。
食堂を移動してからは光石のランタンが通路に一定の間隔で設置されており、ミラによるとこの炭鉱の奥には光石も発掘できるらしく、灯りになるような道具を持ち込まずとも通路内の奥部は移動できる。それと魔物は光石から放たれる光を何故か苦手としており、炭鉱に現れたゴブリン達も天井のランタンには手を出さない。
「ミラさんはずっとこの炭鉱で働いているんですか?」
「いや、この炭鉱には最近務めたばかりさ。まあ、半年ぐらいかね?」
「この鉱山のゴブリンはあんなに獰猛だったんですか?」
「馬鹿言うんじゃないよ。そもそもゴブリンなんて私がここに勤めてから今日初めて見たよ。一体何処から現れたのか……おっと、静かにしな」
先頭を移動していたミラが壁に寄り添い、レナ達も彼女を見習って壁際に移動すると前方の通路の曲がり角の前で立ち止まり、彼女は口元に人差し指を向ける。曲がり角の向こう側に敵が存在する事を伝え、ミラは身長に曲がり角の通路を覗き込む。
「…………」
観察を終えるとミラはその場を離れ、レナ達にも自分と同じように覗き込むように指で指示を行う。最初にレナが曲がり角に移動を行い、慎重に音を立てずに曲がり角を覗き込むと、そこには予想外の光景が広がっていた。
「グゴォオオオオッ……!!」
食堂の様に鋼鉄製の扉の前に先ほどよりも太ったゴブリンナイトが寝息を立てており、その光景に唖然とする。他の2人も曲がり角から顔を覗き込ませ、呑気に眠っているゴブリンナイトを見て呆れた表情を浮かべる。
「……どうやら小声なら話しても問題なさそうだね。どう思う?」
「どう思うって……気持ちよさそうに眠っていますね」
「そうだね。だけど迂闊には近付けないよ。もしも物音を立てて起きちまったら私達の手に負える相手じゃないよ」
「だけど攻撃を仕掛ける好機じゃ……」
「あんたに一撃であの化物を倒せる手段があるのかい?」
攻撃を仕掛けるとしたら絶好の好機ではあるが、ミラの言葉通りにゴブリンナイトに攻撃を仕掛けた場合は初撃が重要であり、眠っている状態でもゴブリンナイトは冒険者から奪ったと思われる鎧を身に着けて胴体を守っており、確実に一撃で仕留められそうな攻撃箇所は兜から露出している顔面だけでだが、ゴブリンの顔面は人間よりも非常に頑丈であり、迂闊に攻撃を仕掛けるのは危険である。
「どうします?扉の前で眠っていますから乗り越える事も出来ませんし……」
「そうだ。コトミンの水圧砲で……」
「無理……さっきの人達を治療する時も回復液を与えていたから、もう身体の中の水分が殆ど残っていない。これ以上やると、干物になる」
「困りましたね……さっきの治療で私も回復薬も全部渡してしまったし、水分になるような物なんて……あっ、この蘇生薬と腐敗薬なら残って……いたたたたっ!?」
無言でアイリィの腕にコトミンが噛みつき、レナは眠っているゴブリンナイトに視線を向け、現在の彼の付与魔法や戦技では確実に一撃で仕留める方法はない。
「……いや、待てよ?もしかしたら……」
「どうかしました?」
「付与魔法……か」
レナの脳裏に黒猫亭で魔石の実験を行った時の事を思い出し、付与魔法は物体に魔法の力を封じ込める魔法であり、魔法耐性が存在しない物体に魔法を施す事も出来る。もしも付与魔法を「生物」に使用した場合、どんな結果を生み出すのかは簡単に予測出来た。
「……俺がやる」
「正気かい?まさか本当に一撃であのデカいのを殺せる自信があるのかい?」
「あります」
「レナ……」
「本当に大丈夫なんですか?」
不安気な表情を浮かべる三人にレナは頷き、彼は暗殺者のスキルの「無音歩行」を駆使して足音を立てずにゴブリンナイトに接近し、掌を相手の顔面に向ける。睡眠中でも流石に顔面を掴まれたらゴブリンナイトが起きてしまう可能性が高く、勝負を仕掛けるのは相手が起きた瞬間であり、レナは呼吸を整え、覚悟を決めてゴブリンナイトの顔面に手を伸ばす。
「グギィッ……!?」
「――水属性!!」
レナの指がゴブリンナイトの顔面に食い込み、相手は瞼を開いた瞬間、指先から水属性の魔力を送り込む。彼の魔法の中でも聖属性の次に熟練度が高い付与魔法であり、掌を通して放たれた冷気がゴブリンナイトの全身に広がり、内側から「氷結」させた。
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