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魔法学園編
第78話 バルルの試練
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――森の中で2頭のオークの討伐に成功すると、倒したオークの死骸から素材の回収を行う。解体を行うのは今回はマオではなく、普段から倒した魔物の解体作業に慣れている冒険者のトムとヤンに任せた。
護衛役として雇われながらトムとヤンは自分達が役に立たなかった事に負い目を感じ、せめて魔物の解体だけでも行ってマオ達の役に立とうとした。彼等の気持ちを汲んでバルルも彼等に解体を任せている間、マオが編み出した新しい魔法の練習を指導する。
「とりあえず、あんたの新しい魔法を名付けた方がいいね」
「名前を付けるんですか?」
「いちいち説明する時に「新しい魔法」とか「あの技」とか呼ぶのは面倒だろう?」
「私もそう思う」
「な、なるほど……」
練習を行う前にマオはバルルとミイナから新しく編み出した魔法の名前を付けるように言われ、不意に彼は頭に思い浮かんだ言葉を告げた。
「氷弾《バレット》……というのはどうですか?」
「氷弾か……確かにしっくりくるね」
「格好良くていいと思う」
何となく思いついた名前をマオは口にすると、バルルとミイナは賛成した。改めてマオは氷弾と名付けた魔法の練習を行う。
「あんたがさっき王都に戻ろうとしたのは新しい魔法……いや、氷弾を練習するためだね?」
「はい、感覚を忘れない内に練習しておきたくて……」
「そういう事なら別に王都に戻る必要はないよ。ここでも十分に練習できるからね」
「え、でも……」
バルルの言葉にマオは不安を抱き、いつ魔物が襲われるか分からない場所で魔法の練習するのは危険過ぎるのではないかと思ったが、そんな彼にバルルは注意する。
「あんたをここへ連れてきたのは魔物との戦闘経験を積ませるためだよ。だから今回は実戦で魔法を使いこなせるようにしな」
「で、でも……」
「何をそんなに怖がってるんだい?あんたはもう既にオークを2体も覚えたての魔法で倒しているじゃないかい」
マオはバルルに言われて自分が改めてオークを2体も倒した事を思い出し、既に彼の新しく編み出した「氷弾」は魔物に通じる事は証明されていた。
魔法の練習を行うのと同時に魔物との戦闘にも慣れるようにバルルはマオに指示し、王都に戻らずにこのまま森の中で訓練を行う事を告げる。
「マオ、ここから先はあんた一人で行動しな。あんたはここに残るんだ」
「えっ!?」
「待って、それはいくらなんでも……」
バルルの唐突な発言にマオは驚き、流石のミイナも黙っていられずに口を挟もうとしたが、彼女を制してバルルはマオに告げた。
「あたし達は一足先に外に待機させた馬車に帰る。道標は残しておくから、それを頼りに戻ってきな」
「お、おいバルル!!何を言ってるんだ!?」
「それだと俺達は何のために護衛を……」
「依頼人はあたしだ!!ここから先のあんた等の護衛対象はこいつじゃない、あたしだ!!だから口を挟むんじゃないよ!!」
護衛として雇われたトムとヤンはバルルの発言に慌てふためくが、そんな彼等をバルルは一喝し、改めてマオに振り返って彼の両肩を掴む。
「あんたはもうここにいる魔物を倒せるだけの力は身に着けている。だから何も恐れる必要はない、他の人間の力を借りなくてもあんたは大丈夫さ」
「大丈夫って……」
「いいかい、魔術師にとって大事な事はどんな状況でも取り乱さない冷静さ、精神力、そして……最後まで諦めない根性だよ」
「こ、根性?」
急に精神論を話し始めたバルルにマオは戸惑い、今までの彼女らしからぬ発言にマオは混乱するが、バルルの意志は固く本当にマオをこの場において自分達は戻ろうとした。
「あんたはしばらくの間、ここに立っていな。そうだね……こいつが消えるまでの間はここで待ってるんだ」
「こいつって……うわっ!?」
バルルは人差し指を伸ばすと、彼女は無詠唱で指先に火球を作り出す。この魔法はマオも前に見た事があり、下級魔法の「ファイア」である。
杖の類を持っていないのにバルルが魔法を発動できたのは彼女が魔法腕輪を装着しているからであり、魔法腕輪を身に着けていれば杖の類がなくとも魔法を発現する事ができる。そしてバルルは作り出した火球をマオの前に浮かばせると、彼女は他の者を連れてその場を立ち去ろうとした。
「その炎が消えるまであんたはここに残るんだよ。道標として森に生えている樹に矢印を書き込んでおくから、それを頼りに戻ってきな」
「矢印って……ちょ、ちょっと!?」
「男ならいい加減に覚悟を決めな!!それともあんたは一人では何も出来ないのかい!?」
「うっ……!?」
引き留めようとしてきたマオに対してバルルは怒鳴りつけると、彼女の気迫に気圧されてマオは何も言い返せず、他の者たちも心配した表情を浮かべるがバルルはあくまでもマオ一人の力で深淵の森を抜け出す様に告げる。
護衛役として雇われながらトムとヤンは自分達が役に立たなかった事に負い目を感じ、せめて魔物の解体だけでも行ってマオ達の役に立とうとした。彼等の気持ちを汲んでバルルも彼等に解体を任せている間、マオが編み出した新しい魔法の練習を指導する。
「とりあえず、あんたの新しい魔法を名付けた方がいいね」
「名前を付けるんですか?」
「いちいち説明する時に「新しい魔法」とか「あの技」とか呼ぶのは面倒だろう?」
「私もそう思う」
「な、なるほど……」
練習を行う前にマオはバルルとミイナから新しく編み出した魔法の名前を付けるように言われ、不意に彼は頭に思い浮かんだ言葉を告げた。
「氷弾《バレット》……というのはどうですか?」
「氷弾か……確かにしっくりくるね」
「格好良くていいと思う」
何となく思いついた名前をマオは口にすると、バルルとミイナは賛成した。改めてマオは氷弾と名付けた魔法の練習を行う。
「あんたがさっき王都に戻ろうとしたのは新しい魔法……いや、氷弾を練習するためだね?」
「はい、感覚を忘れない内に練習しておきたくて……」
「そういう事なら別に王都に戻る必要はないよ。ここでも十分に練習できるからね」
「え、でも……」
バルルの言葉にマオは不安を抱き、いつ魔物が襲われるか分からない場所で魔法の練習するのは危険過ぎるのではないかと思ったが、そんな彼にバルルは注意する。
「あんたをここへ連れてきたのは魔物との戦闘経験を積ませるためだよ。だから今回は実戦で魔法を使いこなせるようにしな」
「で、でも……」
「何をそんなに怖がってるんだい?あんたはもう既にオークを2体も覚えたての魔法で倒しているじゃないかい」
マオはバルルに言われて自分が改めてオークを2体も倒した事を思い出し、既に彼の新しく編み出した「氷弾」は魔物に通じる事は証明されていた。
魔法の練習を行うのと同時に魔物との戦闘にも慣れるようにバルルはマオに指示し、王都に戻らずにこのまま森の中で訓練を行う事を告げる。
「マオ、ここから先はあんた一人で行動しな。あんたはここに残るんだ」
「えっ!?」
「待って、それはいくらなんでも……」
バルルの唐突な発言にマオは驚き、流石のミイナも黙っていられずに口を挟もうとしたが、彼女を制してバルルはマオに告げた。
「あたし達は一足先に外に待機させた馬車に帰る。道標は残しておくから、それを頼りに戻ってきな」
「お、おいバルル!!何を言ってるんだ!?」
「それだと俺達は何のために護衛を……」
「依頼人はあたしだ!!ここから先のあんた等の護衛対象はこいつじゃない、あたしだ!!だから口を挟むんじゃないよ!!」
護衛として雇われたトムとヤンはバルルの発言に慌てふためくが、そんな彼等をバルルは一喝し、改めてマオに振り返って彼の両肩を掴む。
「あんたはもうここにいる魔物を倒せるだけの力は身に着けている。だから何も恐れる必要はない、他の人間の力を借りなくてもあんたは大丈夫さ」
「大丈夫って……」
「いいかい、魔術師にとって大事な事はどんな状況でも取り乱さない冷静さ、精神力、そして……最後まで諦めない根性だよ」
「こ、根性?」
急に精神論を話し始めたバルルにマオは戸惑い、今までの彼女らしからぬ発言にマオは混乱するが、バルルの意志は固く本当にマオをこの場において自分達は戻ろうとした。
「あんたはしばらくの間、ここに立っていな。そうだね……こいつが消えるまでの間はここで待ってるんだ」
「こいつって……うわっ!?」
バルルは人差し指を伸ばすと、彼女は無詠唱で指先に火球を作り出す。この魔法はマオも前に見た事があり、下級魔法の「ファイア」である。
杖の類を持っていないのにバルルが魔法を発動できたのは彼女が魔法腕輪を装着しているからであり、魔法腕輪を身に着けていれば杖の類がなくとも魔法を発現する事ができる。そしてバルルは作り出した火球をマオの前に浮かばせると、彼女は他の者を連れてその場を立ち去ろうとした。
「その炎が消えるまであんたはここに残るんだよ。道標として森に生えている樹に矢印を書き込んでおくから、それを頼りに戻ってきな」
「矢印って……ちょ、ちょっと!?」
「男ならいい加減に覚悟を決めな!!それともあんたは一人では何も出来ないのかい!?」
「うっ……!?」
引き留めようとしてきたマオに対してバルルは怒鳴りつけると、彼女の気迫に気圧されてマオは何も言い返せず、他の者たちも心配した表情を浮かべるがバルルはあくまでもマオ一人の力で深淵の森を抜け出す様に告げる。
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