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魔法学園編
第190話 盗賊の襲撃
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――白狼山を離れてマオ達は王都へ向かう途中、馬車は川を通る事が何度かあった。川を通る際は橋を利用するのだが、王都へ到着間近という時に川の上の橋に一台の大きな馬車が停まっていた。
「何だい、ありゃ?邪魔くさいね……」
「商人の馬車か?」
「でも、様子がおかしい」
「何があったんだろう?」
橋を渡る途中でマオ達は大きな馬車が停まっている事に気付き、これでは橋を渡る事はできなかった。バルルは面倒くさそうに前に停止する馬車に声をかけた。
「ちょっと!!こんな橋ど真ん中で停まってるんじゃないよ!!さっさと進みな!!」
「……へへっ、すいませんね。ちょいと車輪の部分が壊れまして」
馬車の御者と思われる男性が停止した馬車の車輪の前で膝を突き、バルルが声をかけると頭を下げてきた。その様子を見て馬車が不具合を引き起こして止まっているのかとマオは思ったが、この時にミイナは鼻を鳴らして目を鋭くさせる。
「何だい、馬車の修理ならこんな場所でなくてもいいだろ」
「いや、橋を渡る途中で急に車輪がいかれて……運び出そうとにも乗っているのは私だけなんでここで修理するしかないんですよ」
「ちっ、面倒な事になったね……」
御者の言葉にバルルはため息を吐き出し、彼女は馬車を降りて近付こうとした。しかし、ミイナは御者を睨んでマオとバルトに耳打ちする。
「あの男、嘘をついている。馬車の中に他の人間の臭いがする」
「何だと?」
「それ、本当なの?」
「私の鼻は誤魔化せない」
バルトとマオはミイナの言葉に驚いたが、彼女の嗅覚の鋭さは良く知っているので疑う余地はない。そもそも大きな馬車に御者が一人だけ乗っている事が怪しく、都合よく橋の途中で馬車が壊れたとは考えにくい。
御者が嘘をついている事、そして橋の真ん中で馬車が停まっている事自体が怪しく、マオ達は何時でも戦えるように杖と魔法腕輪を装着した。そしてバルルが馬車に近付くと、彼女は車輪の様子を伺う。
「何だい、別にどこも壊れていないじゃないかい?」
「へへっ、そう見えますか?でも本当に動かないんですよ」
「たく、どきな……あたしに見せてみな」
車輪を確かめるためにバルルは身体を掻かめると、その隙に御者は彼女の背後に回る。この時に御者は懐に手を伸ばし、隠し持っていた短剣を取り出す。それを見たマオは咄嗟に三又の杖ではなく、小杖を取り出して御者に構えた。
「師匠!!危ない!!」
「うおっ!?」
「あん?」
咄嗟にマオはバルルを庇うために小杖から氷塊を発射させ、御者がバルルの背中を突き刺そうとした瞬間に円盤状に変化した氷塊が短剣を防ぐ。自分の短剣が防がれた御者は焦った表情を浮かべ、一方でバルルの方は自分を狙った男に振り返って蹴りを放つ。
「ちっ、やっぱり盗賊かい!!」
「ぐへぇっ!?」
バルルに蹴り飛ばされた男は橋から叩き落され、川の中に沈んでしまう。幸い橋といってもそれほど高くはないので落とされても死ぬ事はないが、御者が川に落ちた事で馬車の中に隠れていた他の盗賊が姿を現わす。
「ちっ、しくじりやがったか!!」
「気をつけろ、どうやら魔術師がいるぞ!!」
「捕まえたら高く売れるぜ!!」
「うわっ……どんだけ隠れてたんだよ!?」
馬車の中には10人近くの盗賊が隠れていたらしく、その中には人間だけではなくて獣人族の姿もちらほらと見えた。盗賊が現れるとマオ達も馬車を降りて武器を構え、バルルは指の骨を鳴らす。
「はんっ、あたし達を狙うなんて良い度胸だね。全員とっ捕まえて警備兵に突き出してやるよ」
「舐めるなよ婆が!!ぶっ殺して……」
「誰が婆だ!!」
「ぐはぁっ!?」
盗賊の一人がバルルの逆鱗に触れてしまい、彼女は容赦なく股間に蹴りを叩き込む。それによって盗賊の一人が股間を抑えて橋の上にへたり込み、泡を吹いて気絶した。
容赦なく男の急所を蹴りつけたバルルに味方であるはずのマオとバルトも表情を引きつらせ、一方でミイナの方は新しく手に入れた鉤爪を装着する。こちらの鉤爪は赤毛熊の素材が使われており、炎に対する耐性があるので遠慮せずに彼女は炎爪を発動させた。
「炎爪」
「うおっ!?こ、こいつら……ただのガキじゃねえ!!きっと魔法学園の生徒だ!!」
「マジかよ!?くそっ、油断するなよ!!」
「へっ、関係ねえよ!!魔術師だろうがなんだろうがこいつで一発だ!!」
先ほどのマオの魔法とミイナが武器に炎を纏った事で正体が知られてしまうが、相手が魔術師だと知っても盗賊は逃げる様子はない。むしろ盗賊の一人はボーガンを持ち出し、狙いを定めた。
「特製の痺れ薬を塗ったボーガンだ!!喰らいやがれ!!」
「こいつら……馬鹿だろ、いちいち説明するんじゃねえよ!!」
「えっ……ぐはぁっ!?」
ボーガンを構えた盗賊に向けてバルトは杖を振り下ろすと、彼は風属性の中級魔法「スラッシュ」無詠唱でを放つ。この数か月の間に成長したのはマオ達だけではなく、彼も成長してボーガンを構えていた男を吹き飛ばす。
「何だい、ありゃ?邪魔くさいね……」
「商人の馬車か?」
「でも、様子がおかしい」
「何があったんだろう?」
橋を渡る途中でマオ達は大きな馬車が停まっている事に気付き、これでは橋を渡る事はできなかった。バルルは面倒くさそうに前に停止する馬車に声をかけた。
「ちょっと!!こんな橋ど真ん中で停まってるんじゃないよ!!さっさと進みな!!」
「……へへっ、すいませんね。ちょいと車輪の部分が壊れまして」
馬車の御者と思われる男性が停止した馬車の車輪の前で膝を突き、バルルが声をかけると頭を下げてきた。その様子を見て馬車が不具合を引き起こして止まっているのかとマオは思ったが、この時にミイナは鼻を鳴らして目を鋭くさせる。
「何だい、馬車の修理ならこんな場所でなくてもいいだろ」
「いや、橋を渡る途中で急に車輪がいかれて……運び出そうとにも乗っているのは私だけなんでここで修理するしかないんですよ」
「ちっ、面倒な事になったね……」
御者の言葉にバルルはため息を吐き出し、彼女は馬車を降りて近付こうとした。しかし、ミイナは御者を睨んでマオとバルトに耳打ちする。
「あの男、嘘をついている。馬車の中に他の人間の臭いがする」
「何だと?」
「それ、本当なの?」
「私の鼻は誤魔化せない」
バルトとマオはミイナの言葉に驚いたが、彼女の嗅覚の鋭さは良く知っているので疑う余地はない。そもそも大きな馬車に御者が一人だけ乗っている事が怪しく、都合よく橋の途中で馬車が壊れたとは考えにくい。
御者が嘘をついている事、そして橋の真ん中で馬車が停まっている事自体が怪しく、マオ達は何時でも戦えるように杖と魔法腕輪を装着した。そしてバルルが馬車に近付くと、彼女は車輪の様子を伺う。
「何だい、別にどこも壊れていないじゃないかい?」
「へへっ、そう見えますか?でも本当に動かないんですよ」
「たく、どきな……あたしに見せてみな」
車輪を確かめるためにバルルは身体を掻かめると、その隙に御者は彼女の背後に回る。この時に御者は懐に手を伸ばし、隠し持っていた短剣を取り出す。それを見たマオは咄嗟に三又の杖ではなく、小杖を取り出して御者に構えた。
「師匠!!危ない!!」
「うおっ!?」
「あん?」
咄嗟にマオはバルルを庇うために小杖から氷塊を発射させ、御者がバルルの背中を突き刺そうとした瞬間に円盤状に変化した氷塊が短剣を防ぐ。自分の短剣が防がれた御者は焦った表情を浮かべ、一方でバルルの方は自分を狙った男に振り返って蹴りを放つ。
「ちっ、やっぱり盗賊かい!!」
「ぐへぇっ!?」
バルルに蹴り飛ばされた男は橋から叩き落され、川の中に沈んでしまう。幸い橋といってもそれほど高くはないので落とされても死ぬ事はないが、御者が川に落ちた事で馬車の中に隠れていた他の盗賊が姿を現わす。
「ちっ、しくじりやがったか!!」
「気をつけろ、どうやら魔術師がいるぞ!!」
「捕まえたら高く売れるぜ!!」
「うわっ……どんだけ隠れてたんだよ!?」
馬車の中には10人近くの盗賊が隠れていたらしく、その中には人間だけではなくて獣人族の姿もちらほらと見えた。盗賊が現れるとマオ達も馬車を降りて武器を構え、バルルは指の骨を鳴らす。
「はんっ、あたし達を狙うなんて良い度胸だね。全員とっ捕まえて警備兵に突き出してやるよ」
「舐めるなよ婆が!!ぶっ殺して……」
「誰が婆だ!!」
「ぐはぁっ!?」
盗賊の一人がバルルの逆鱗に触れてしまい、彼女は容赦なく股間に蹴りを叩き込む。それによって盗賊の一人が股間を抑えて橋の上にへたり込み、泡を吹いて気絶した。
容赦なく男の急所を蹴りつけたバルルに味方であるはずのマオとバルトも表情を引きつらせ、一方でミイナの方は新しく手に入れた鉤爪を装着する。こちらの鉤爪は赤毛熊の素材が使われており、炎に対する耐性があるので遠慮せずに彼女は炎爪を発動させた。
「炎爪」
「うおっ!?こ、こいつら……ただのガキじゃねえ!!きっと魔法学園の生徒だ!!」
「マジかよ!?くそっ、油断するなよ!!」
「へっ、関係ねえよ!!魔術師だろうがなんだろうがこいつで一発だ!!」
先ほどのマオの魔法とミイナが武器に炎を纏った事で正体が知られてしまうが、相手が魔術師だと知っても盗賊は逃げる様子はない。むしろ盗賊の一人はボーガンを持ち出し、狙いを定めた。
「特製の痺れ薬を塗ったボーガンだ!!喰らいやがれ!!」
「こいつら……馬鹿だろ、いちいち説明するんじゃねえよ!!」
「えっ……ぐはぁっ!?」
ボーガンを構えた盗賊に向けてバルトは杖を振り下ろすと、彼は風属性の中級魔法「スラッシュ」無詠唱でを放つ。この数か月の間に成長したのはマオ達だけではなく、彼も成長してボーガンを構えていた男を吹き飛ばす。
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