虎被りをやめたら文句ばかりだった婚約者がぞっこんになった

34※

「ん……」


　引き寄せられるみたいに重なる唇が、熱い。
　さらりと髪を撫でられて、キスされる。


「この髪も、瞳も、すげぇ好き。全部俺の」
「ふふ…欲張り」
「ヴィーに関しては譲らない」
「嬉しい…」


　ちゅ、とキスが降ってくる。
　額、頬に続いて、唇に。
　ペロリと舌で閉じた口をなぞられて、思わずうっすらと開くと熱い舌が割り込んでくる。
　くちゅりと絡ませられたら、もう何も考えられなくなった。


「は…ぁ…ハルト…ん…」
「ヴィー…好き…」


　くちくちと水音が聞こえてくる頃、ハルトがそっと胸に触れた。形をなぞるように外側からやわやわと触っている。


「あっ…あんっ…！」


　びくりと身体が跳ねた。
　ハルトの長い指が、胸の頂をくりくりと捏ねて、時折爪でかりかりと引っ掻く。

「あっ…あっ…んんっ…！」


　ビリビリと伝わる感覚に、うっすらと涙が浮かぶ。


「ヴィー、声可愛い…」
「んっ…恥ずかし…」


　私は必死にハルトの耳を両手で塞いだ。
　ハルトは私の手にキスを落とすと「声が聞きたい」と耳から手を外す。そのままぷくりと立ち上がってきた胸の飾りに唇と舌で更なる刺激を与えてくる。


「あぁっ！ん！ハルト…ダメぇ…」
「ダメ？本当に？やめる？」
「んっ！んっ！あぁっ…」
「気持ちいい？」


　ハルトの唇が胸の飾りをちゅうっと吸っている。私はびくっと身体を震わせた。


「ね、ヴィー？気持ちいい？」


　ちゅ、ちゅう、と連続で吸われ、もう片方はすりすりと指で擦られる。


「あ…気持ち…い…あん…」
「やらしい顔…」


　耳元で囁く声に混じる色気でどうにかなりそうだった。
　ふるりと腰が揺れて、ハルトがお尻を撫でる。


「ひゃ…」
「ちっさい尻。揉み心地は最高」


　むにむにと揉みながら、唇では私の胸元にじゅっと跡を付けていく。もう何個も付けられているけど、ハルトは止まらない。


　お尻を撫でていた手はするりと太ももに移動して、するりと薄手のドレスの裾をたくし上げていった。


「ハルトッ…あんまり…見ないで…」
「ダメ。ヴィーの何もかも見逃さない」
「恥ずかしい…から…」
「その顔も可愛い…」


　するするとドレスは脱がされて、私は下着をハルトに晒した格好になっていた。
　私は両手でそっと胸を隠した。


「隠さないで、ヴィー」
「ん…ハルトも！私だけは…」
「じゃあ俺もね」


　ばさりとシャツを脱いだハルトの身体が逞しくて見惚れる。


「惚れた？」
「うん、筋肉凄い…」


　さわっと腹筋を撫でると、ハルトがぴくりと反応する。
　そのままつぅっと指を上に動かした。


「くっ…ヴィー、あんまり触ったら…」
「うん？ダメ？」
「ダメじゃないけど…っ！」
「かちかち」


　胸筋をつんつんしてしまう。
　ハルトは必死に何かに耐えているように歯を食いしばっている。
　ふと目に入ったハルトの下半身が…。


「あっ…」


　ぼん！と全身真っ赤になった私にハルトも気付いて2人で赤くなる。


「…ねぇ、ハルト」
「何だ？」
「ぎゅってして？」
「ん、おいで」


　腕を広げてハルトが笑うから、その胸に飛び込んだ。
　ハルトの香りが緊張していた私を解してくれている。
　やっぱり落ち着く。
　この腕がいい。


「ヴィー？どうした？眠い？」
「ううん、眠くない。この腕の中は居心地がいいなって思ってるとこ」
「そうか、良かった」


　ぎゅ、と抱き締められる。
　私もハルトの背中に腕を回して胸板に頬擦りした。


「甘えてくるヴィーも可愛いな」
「ふふ…たまにはね」
「いつでも甘えろよ」
「ん、じゃあ…」


　するりとハルトの首に腕を回して耳に唇を寄せる。