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「踏み出せないのはお前のせい」
2話「きっかけ」
しおりを挟む俺と郁人は同じ人が好きだ。
その子の名前は澪、女子みたいな可愛い名前をしているけれど男。まぁ小さくて柔らかくて、子供みたいで本当に可愛いんだけど。
けど普段は3人とも普通の友達みたいな感じで、特に恋愛感情が爆発するとか、嫉妬でドロドロになるとか昼ドラみたいな事は起こらなかった。
………でも、そんなある日。
夢を見た。
「あ"……っ、待って、お願い、叩かないで」
「たすけて、みお、ゆうま、…たすけて………」
「痛い、痛いいたいごめんなさい!!入らないです、お願い、離して」
その内容は、郁人が散々に知らない男達に暴行されている夢。
暴力、強姦、痣だらけになって郁人は俺達に助けを求めていた。
その夢は何度も見るようになって、それからはこの人への見方も段々変わっていってしまった。
(俺が犯したら、どんな声で泣くんだろう)
その好奇心はおさまることを知らずに、実行へ移した。
「ゆ………優馬………?」
2人しかいない部屋で郁人を押し倒したら、思っていたよりも素直に応じてくれて、
「あは…っ、可愛い、可愛いよ、郁人」
少し涙ぐんでいたのが可愛くて、つい言ってしまった。
「………最低」
ーーー
「…優馬って、こういう趣味あったんだ」
それが終わったあとのこと。
「無いと言ったら嘘になるけど、最近出来ていないと言ったら嘘になる」
「なるほどね。…また、こういう事したいって思う?」
………その質問は、
「……うん」
「そっか。」
そういう意味だと理解した。
「別にいいよ。優馬がしたいなら」
「…あ、あのなぁ、襲っておいてあれだけど、自分の体を大事にしろよ」
「そんなのいい。どうせ30歳までは生きられないし」
「……!」
少し寂しそうな目をする郁人を、隣でただ見ている事しか出来なかった。
ーーー
(郁人side)
ある日、嫌な夢を見るようになった。
夢なのに感覚はあって、気持ち悪くて吐きそうになって、
夢の中には知らない男達がいた。それに、友人の澪と優馬も。
あの2人は僕を見ず2人だけで幸せそうに話していて、
それが寂しくて悔しくて、割り込んでやろうとした途端、
知らない男達にそれを止められて、いきなり押し倒された。
「ぇ……あ、なに、」
怖くて、必死に抵抗しても全く叶わなくて、
惨めで仕方なくて、好き勝手にされる自分の体が気持ち悪くて、
いくら「たすけて」と2人に向かって叫んでも、澪も優馬も全くこっちを見てくれなくて、
強姦されて、抵抗すれば容赦なく頬や腹を殴られて、
そんな悪夢を何日も見ていたら、疲れてしまった。
疲れている所に夢の中のような出来事が実際に起きて、でもそれは相手が優馬だし、それに自分の体もどうでもいいかと思ってしまって、
受け入れてしまった挙句に次の約束まで決めてしまった。
(…別にどうなったっていい、だからせめて、繋がりだけでも持たせて欲しい)
僕に勝ち目が無いのなら、近くで見ているだけでもいいから、
お願いだから、1人にしないで欲しい。
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