171 / 174
XX.愛が分からなくなる【行方不明、二転三転】
Qui paie ses dettes s'enrichit.
しおりを挟む「最近、レオとはどう?」
「あぁ、最近はよく話すぞ」
「そうなの? なんて?」
私だけの情報で納得させられないのであれば、第三者だ。
有言実行とばかりに来たのは、
最早書庫が住処と思えるカインの元。
少し世間話をしたところで、
本題を差し入れると彼はきらきらとした笑顔を見せてくれた。
「先週の外交の後、ずっと読みたかった
隣国の伝記を持って帰ってきてくれたんだ」
「……そう」
それを聞いて、少し嬉しくなる。
公務だけでなく、
しっかり兄をも務めているようね。
無邪気にレオの話をし始めるカインを微笑ましく見つめた。
これはもう、私に良く思われたいだけの話じゃ
なくなってくるわよ、シャル。
もう一歩確実に詰めるために、
カインへひとつ問いかけをしてやる。
「彼が、キースじゃないことは、分かってる?」
「……やっぱり知ってたのか、貴様」
「私もつい最近よ、知ったのは」
ナイショ、と人差し指を口の前に立てると
カインの表情が少し曇りを見せ始める。
一回視線を逸らして、もう一度私を見たカインは
気まずそうにも静かに口を開いた。
「……あれは、キースじゃないのか?」
「えぇ。正真正銘のレオよ」
微笑んだ私に、カインは、目を丸くした。
【借金を返すものは金持ちになる】
Qui paie ses dettes s'enrichit.
(やっぱり人は、変われる)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる