役に立たないと冒険者クランをクビになった俺は、実は転生した最強の古代魔法使いだった

ゆゆぽりずむ

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第一章:アルテイルの扉

【5】準備

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ガイルとの勝負を制した俺は自信を深めていた。
古代魔法は操作が感覚的で難しい代わりに、効果は強力だ。

種類も色々とあるし、天上の塔で想定される様々な局面に対応が可能だろう。
だがもちろん懸念材料がないわけではない。

古代魔法を使いこなしていた前世の俺に比べて、今の俺は魔力の面で大きく劣っている。
これでは高い魔力を要求する古代魔法はまだ使えないだろう。

魔力は筋力と同じで大きな負荷を掛けるほど強くなるから、古代魔法を使っているうちに強くなると思うが、それまでは少し心配だ。
他の懸念はと言えば、パーティを組むミレイユの実力だろうか。

というわけで俺達は今、酒場でこれからの方針について話し合っている。

「ミレイユ。連携の確認も兼ねて、天上の塔は一階層から攻略しようと思うんだが、それでいいな?」

「それが良いかもね。攻略されたのは50階ぐらいまでなんだっけ?」

「ああ、確か先週の時点で52階だったはずだ」

攻略したのはもちろん『ソウルフレイム』だ。
もしかすると、俺が抜けたこの一週間でもっと先に進んだかもしれない。

「『ソウルフレイム』ってどんな風に攻略してたの?」

「そうだな……。まず、構成は割と堅実だった。六人のパーティを二つか三つ揃えて進んでいく感じ。前衛と後衛を二人ずつに、中衛も二人が多かった」

前衛は敵を食い止める戦士や騎士、後衛は火力や支援に特化した魔法使いや僧侶、中衛は対応できる距離が広いシーフやアーチャーが該当する。

『ソウルフレイム』にはどの職業も強力なメンバーが揃っていたが、それでも50階ぐらいまでが精一杯ということだ。
天上の塔は一千階以上あるダンジョンだから、まだまだ序盤ということになる。

転生前の俺の知識が正しければ、800階ぐらいまでは問題なく進めそうな気もするが……。
あれから一万年も経っているとなると、上の方は状況が変わっているかもしれない。

とにかくまずは一階からだ。
急がば回れ、確実に前進していくに限る。

「それでね……、じぇぇぇぇいどしゃぁぁん」

ミレイユが急に猫を重ねて被ったような声を上げた。

「なんだよいきなり……。気持ち悪い」

「ひどーい! それでね、私たちの報酬の分配の話なんだけど」

案外、真面目な話だった。
確かに冒険者である以上、そこは事前に調整しておかないとならない部分だ。

「イコールルールでどうだ? 冒険で使った消耗品の類は全部経費にして、最後に残った利益を均等に分ける」

つまり役に立った奴も立たなかった奴も、消耗が激しかった奴も激しくなかった奴も、パーティ参加者は均等に利益を得るルールだ。

均等だからイコールルールなんて名前なんだと思うが、その名称になった詳しい経緯ははっきりしない。
冒険者の間では昔から存在する、定番の配分方法の一つだ。

「私は嬉しいけど、いいの? ジェイドの手柄を取っちゃうよ?」

「いいさ。金は大事だが、今回はそれが最優先ってわけでもないしな。配分するのが簡単だから無駄な時間がかからなくていい」

「ふーん。まあジェイドがそういうなら」

「……なあ、もしかしてお前、金に困ってたりするのか?」

「まあ少しね。よし、配分のやり方も決まったし、さっそく準備して行こうよ」

「ああ、そうするか。それと、一階の地図も買っていこう」

天上の塔の地図は重要な攻略情報として売られている。
上階になるほど金額が上がるが、一階ならばそんなに高くなかったはずだ。

『ソウルフレイム』にいた頃はシーフにその辺を任せていたから、俺は自分の地図を持っていなかった。

「一階なら別に地図無しでも余裕じゃないかな……」

「一階だけならな」

「え?」

前世の記憶が確かなら、現代ではまだ発見されていないルートが一階に残っているはずだ。
確か上の階層へのショートカットに使えるルートが。

それを確かめておく必要がある。

俺達は酒場を出ると、物資を集めるために店の並んでいる通りへと向かった。
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