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第一章:アルテイルの扉
【6】初戦
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この冒険者の都市ツヴァイは、天上の塔の攻略と共に発展してきた街だ。
各種のポーションや薬を始め、ダンジョンの攻略に役立つアイテムが多く出回っている。
「転移水晶が高いんだよね」
「非常時には必須のアイテムだからな。自分の命と金なら、流石に命を取るさ」
転移水晶は人工的に作成されたマジックアイテムだ。
これを使うと、特定の場所までワープすることができる。
この街で冒険者用に販売されているのは、もちろんこの街に戻れる転移水晶が大半だ。
たまに他の街まで行ってしまう水晶も売っていたりするが。
「一人二万ゴールドかぁ……。高い」
天上の塔の40階に飛べる転移水晶も売っていたが、最低でも二十万ゴールドだった。
今の俺達には買えないことはないが現実的ではない。
必要な消耗品を買い揃えたら7万ゴールド近く掛かってしまった。
「よし、行こう」
俺達は街の外にある天上の塔へと向けて出発した。
◇ ◆
天上の塔へと足を踏み入れた俺とミレイユは、眼前に広がるダンジョンの一階の光景を眺めた。
到る所に土がむき出しになっている、天然の迷宮だ。
塔の外観に比べて内部が広く感じるのは錯覚じゃない。
実際に空間を拡張する魔法効果が掛かっているからだ。
「よーし、早速狩るぞー!」
ミレイユは意気揚々と剣を抜いた。
「ちょっと待て。別にここに留まって狩りをするわけじゃないぞ? それに地図を確認するのが先だ」
「はぁい……」
出鼻をくじかれたミレイユが少し落ち込んだ様子で俺の手元を覗き込んできた。
周囲にはまだモンスターの姿はない。
俺はミレイユが見やすいようにと、地面にこの階の地図を広げた。
地図を作る業者同士の競争が起こった結果か、地図には生息しているモンスターの情報まで丁寧に書き込んである。
「出てくるモンスターはゴブリンにオークにスライムか。問題はなさそうだね」
地図には適正ランクB程度と書いてある。
まだGランクのミレイユが安心していいわけがないと思うのだが。
「いや、大問題だ。こいつらは弱いが繁殖力が高い。数が集まると消耗させられる。俺達はもっと上に行く予定なんだ、ここで物資を減らすわけにはいかない」
「ふーん?」
俺は隠し通路のことは言わなかった。
記憶が確かなら、100階に直接飛べる魔法陣もあったはずだが、今も使えるかどうかはわからない。
「よし、このルートを進もう。まずはミレイユが先行してくれるか? 俺が少し後ろに続く」
「うん、後方の警戒はお願いね」
ミレイユは剣を持って、俺に指示されたルートを進み始めた。
この階の敵はとにかく数が多く、無警戒に襲ってくるから、いつでも戦えるようにしておくのは正解だ。
パーティが二人しかいない以上、奇襲が一番恐い。
発光樹のおかげで明るいダンジョンを、俺達は進んでいく。
少し進むと、分岐路に出た。
「ジェイド、どっちに進めばいい?」
「左だ」
俺は躊躇うことなく答えた。
現代の冒険者達の間では右に進むのが定石だが、左に進んだ先にある隠し通路が使えるのかどうかを確かめておきたかったからだ。
あそこが通れるなら、延々と続く坂道と引き換えに70階ぐらいまで一気に進むことができる。
ミレイユは俺の指示に疑問を持つこともなく左に進んだ。
「ふんふんふーん」
警戒が薄れてきたのか、鼻歌を歌い始めたミレイユ。
こういう時が一番危ない。
俺が注意しようとすると、それよりも先に魔物が現れた。
「わっ!」
「ちっ!」
ゴブリンだ。
俺は小さく舌打ちをすると、即座に現代魔法を放った。
仲間を呼ばれると厄介なので、炎でまずは喉を焼く。
魔物は痛みで動きを止めた。
だが俺の懸念は悪い意味で辺り、周囲からは次々とゴブリンが姿を現した。
どうやら群れで行動していたらしい。
「おっと!」
襲いかかってきたゴブリンの攻撃をかわすミレイユ。
まだ余裕がありそうだ。
「下がっていろミレイユ!」
俺は古代魔法を使うことにした。
血の匂いでさらに敵が集まってくると困るので、やはり炎で焼き尽くすのが好ましい。
俺は【フレアサークル】を使うことにした。
着弾した範囲を中心に周囲を燃やし尽くす魔法だ。
「喰らえ!」
古代魔法に詠唱はいらない。
俺はミレイユが後退したのを確認してから、灼熱弾を放った。
ドォン! ドドドドドドッ!
「ギャァァァァァ」
その熱量は並の魔物が耐えられるような水準ではない。
ゴブリン達は断末魔の叫びを最後に灰となった。
残ったのは熱せられて赤くなった地面だけだ。
「す、すごーい……」
ミレイユはよほど驚いたらしく、周囲を警戒することも忘れて立ち尽くした。
「少しやり過ぎたかもな……」
威力が高すぎて素材になりそうなものまで全部燃やし尽くしてしまった。
これが【フレアサークル】の欠点だ。
ゴブリンぐらいならいいが、もっと高価な素材になるモンスターを狩るときには使えないだろう。
「すごいよジェイド! こんなすごい魔法が使えるなんて! こんなの初めて見た!」
ミレイユがピョンピョンと跳ね回った。
「この調子なら、やっぱり一階は楽勝だね!」
「まあな」
だが一階から攻略を開始したのは、隠し通路の確認の他に、ミレイユの実力を確認するためでもある。
「次はお前がメインで戦ってみよう。大丈夫、危なかったら今みたいに助けに入るから」
「う、うん。でもジェイドみたいには戦えないよぉ……」
さすがに少しハードルを上げすぎたかもしれない。
俺はそんなことを考えながら、手頃な敵を探し始めた。
各種のポーションや薬を始め、ダンジョンの攻略に役立つアイテムが多く出回っている。
「転移水晶が高いんだよね」
「非常時には必須のアイテムだからな。自分の命と金なら、流石に命を取るさ」
転移水晶は人工的に作成されたマジックアイテムだ。
これを使うと、特定の場所までワープすることができる。
この街で冒険者用に販売されているのは、もちろんこの街に戻れる転移水晶が大半だ。
たまに他の街まで行ってしまう水晶も売っていたりするが。
「一人二万ゴールドかぁ……。高い」
天上の塔の40階に飛べる転移水晶も売っていたが、最低でも二十万ゴールドだった。
今の俺達には買えないことはないが現実的ではない。
必要な消耗品を買い揃えたら7万ゴールド近く掛かってしまった。
「よし、行こう」
俺達は街の外にある天上の塔へと向けて出発した。
◇ ◆
天上の塔へと足を踏み入れた俺とミレイユは、眼前に広がるダンジョンの一階の光景を眺めた。
到る所に土がむき出しになっている、天然の迷宮だ。
塔の外観に比べて内部が広く感じるのは錯覚じゃない。
実際に空間を拡張する魔法効果が掛かっているからだ。
「よーし、早速狩るぞー!」
ミレイユは意気揚々と剣を抜いた。
「ちょっと待て。別にここに留まって狩りをするわけじゃないぞ? それに地図を確認するのが先だ」
「はぁい……」
出鼻をくじかれたミレイユが少し落ち込んだ様子で俺の手元を覗き込んできた。
周囲にはまだモンスターの姿はない。
俺はミレイユが見やすいようにと、地面にこの階の地図を広げた。
地図を作る業者同士の競争が起こった結果か、地図には生息しているモンスターの情報まで丁寧に書き込んである。
「出てくるモンスターはゴブリンにオークにスライムか。問題はなさそうだね」
地図には適正ランクB程度と書いてある。
まだGランクのミレイユが安心していいわけがないと思うのだが。
「いや、大問題だ。こいつらは弱いが繁殖力が高い。数が集まると消耗させられる。俺達はもっと上に行く予定なんだ、ここで物資を減らすわけにはいかない」
「ふーん?」
俺は隠し通路のことは言わなかった。
記憶が確かなら、100階に直接飛べる魔法陣もあったはずだが、今も使えるかどうかはわからない。
「よし、このルートを進もう。まずはミレイユが先行してくれるか? 俺が少し後ろに続く」
「うん、後方の警戒はお願いね」
ミレイユは剣を持って、俺に指示されたルートを進み始めた。
この階の敵はとにかく数が多く、無警戒に襲ってくるから、いつでも戦えるようにしておくのは正解だ。
パーティが二人しかいない以上、奇襲が一番恐い。
発光樹のおかげで明るいダンジョンを、俺達は進んでいく。
少し進むと、分岐路に出た。
「ジェイド、どっちに進めばいい?」
「左だ」
俺は躊躇うことなく答えた。
現代の冒険者達の間では右に進むのが定石だが、左に進んだ先にある隠し通路が使えるのかどうかを確かめておきたかったからだ。
あそこが通れるなら、延々と続く坂道と引き換えに70階ぐらいまで一気に進むことができる。
ミレイユは俺の指示に疑問を持つこともなく左に進んだ。
「ふんふんふーん」
警戒が薄れてきたのか、鼻歌を歌い始めたミレイユ。
こういう時が一番危ない。
俺が注意しようとすると、それよりも先に魔物が現れた。
「わっ!」
「ちっ!」
ゴブリンだ。
俺は小さく舌打ちをすると、即座に現代魔法を放った。
仲間を呼ばれると厄介なので、炎でまずは喉を焼く。
魔物は痛みで動きを止めた。
だが俺の懸念は悪い意味で辺り、周囲からは次々とゴブリンが姿を現した。
どうやら群れで行動していたらしい。
「おっと!」
襲いかかってきたゴブリンの攻撃をかわすミレイユ。
まだ余裕がありそうだ。
「下がっていろミレイユ!」
俺は古代魔法を使うことにした。
血の匂いでさらに敵が集まってくると困るので、やはり炎で焼き尽くすのが好ましい。
俺は【フレアサークル】を使うことにした。
着弾した範囲を中心に周囲を燃やし尽くす魔法だ。
「喰らえ!」
古代魔法に詠唱はいらない。
俺はミレイユが後退したのを確認してから、灼熱弾を放った。
ドォン! ドドドドドドッ!
「ギャァァァァァ」
その熱量は並の魔物が耐えられるような水準ではない。
ゴブリン達は断末魔の叫びを最後に灰となった。
残ったのは熱せられて赤くなった地面だけだ。
「す、すごーい……」
ミレイユはよほど驚いたらしく、周囲を警戒することも忘れて立ち尽くした。
「少しやり過ぎたかもな……」
威力が高すぎて素材になりそうなものまで全部燃やし尽くしてしまった。
これが【フレアサークル】の欠点だ。
ゴブリンぐらいならいいが、もっと高価な素材になるモンスターを狩るときには使えないだろう。
「すごいよジェイド! こんなすごい魔法が使えるなんて! こんなの初めて見た!」
ミレイユがピョンピョンと跳ね回った。
「この調子なら、やっぱり一階は楽勝だね!」
「まあな」
だが一階から攻略を開始したのは、隠し通路の確認の他に、ミレイユの実力を確認するためでもある。
「次はお前がメインで戦ってみよう。大丈夫、危なかったら今みたいに助けに入るから」
「う、うん。でもジェイドみたいには戦えないよぉ……」
さすがに少しハードルを上げすぎたかもしれない。
俺はそんなことを考えながら、手頃な敵を探し始めた。
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