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第一章:アルテイルの扉
【14】悪魔の所業
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デビルデーモンを狩った直後に起こった予想外。
俺は二つの意味で驚いていた。
一つはもちろんミレイユが他のデビルデーモン達に囲まれてしまったこと。
そしてもう二つ目は、デビルデーモンが複数で現れたことだ。
極めて自己中心的な性格のデビルデーモンは、仲間と強調して行動するなんてことはない。
(どうなってるんだ?)
それは俺に疑問を抱かせるに十分だった。
だがとにかく今はミレイユだ。
「このっ!」
剣を抜いて応戦するミレイユ。
三方向から囲んでいるデビルデーモンはどれも並の大きさだが、それでも今の彼女の実力でどうにかなるような相手じゃない。
たとえ一匹だけでも無理だろう。
「待ってろミレイユ! 今助ける!」
そうは言ったものの、俺は内心で少し焦っていた。
被害を最小限に抑えて戦うというのは、古代魔法が一番不得意とする状況だからだ。
さっき殺したデビルデーモンだってそうだ。
素材を剥ぎ取るという制約さえなければ、背後から奇襲なんてする必要はどこにもなかった。
敵はミレイユを中心に、均等に三方向に分かれている。
真ん中にミレイユがいるということは纏めて薙ぎ払うわけにはいかないし、かといって直線的な攻撃では一度に二体までしか仕留めることができない。
デビルデーモン達がさっき嗤ったのはこのことを理解したからだろうか?
「きゃっ!」
一匹がミレイユの剣を叩き落とし、別の一匹が彼女を抱き寄せるように距離を詰めた。
間違いない。
ミレイユを人間の盾に使う気だ。
さっきの俺の戦いを見た上で、敵と味方の距離が近い状態では俺が全力を出せないことを見抜いたんだ。
「いやっ! 離してっ! ジェイド!」
俺の推測通り、デビルデーモンはミレイユを俺の方向に向けた。
「野郎……!」
前世の俺もデビルデーモンとは何度も戦った。
だから奴らの性根の腐り具合はよくわかっている。
奴らがミレイユをこのまま『生きた状態で』盾に使い続ける保証はどこにもない。
むしろ俺がミレイユの体を傷つけるのに躊躇っていると気がつけば、奴らはきっと喜んで彼女を殺すだろう。
(すぐに助けないと!)
俺は怒りを感じながら『移動』の【フラッシュ】を再び発動しようとした。
こうなったら、移動の衝撃波でミレイユが怪我を負うこともやむを得ない。
後で治癒の『リザレクション』で治して謝ろう。
だがその瞬間、ミレイユが身につけたペンダントが視界の中心に入った。
(……なんだ?)
違和感。
何かがおかしい。
俺が使おうとしたのは『移動』の【フラッシュ】。
それは俺が前世でも使っていた古代魔法……のはずだ。
だがまるでミレイユのペンダントがそれを否定しているような気がした。
そうではない、と。
そしてまるで何かが掘り起こされるかのように、俺の中に声が響いた。
『悲しいなジェイド……。誰もが全てを知ったつもりになって、それ以上を知ろうとはしないんだ』
全身の毛穴が開き、鳥肌が立つ感覚。
俺は言葉ではなく魂で理解した。
古代魔法である『移動』の【フラッシュ】。
だがそれは決して最終形じゃない。
そうだ。
俺が使うべきは『移動』の【フラッシュ】じゃないんだ。
ミレイユを助けるために、俺が本当に使うべきなのは――。
「『閃光』の【フラッシュ】だ!」
シュンッ! シュシュシュシュシュンッ!
俺は全身に光を纏い、衝撃波を発生させることなく加速した。
今までよりも速く。
今までよりも精密に。
今までよりも複雑に。
俺は『移動』の【フラッシュ】では実現不可能な動きで、ミレイユを囲む敵へと迫った。
「ジェイド!」
一気に距離を詰め、ミレイユを捕まえているデビルデーモンの正面に立つ。
「フィアフル!」
そして敵とミレイユの間に差し込むように手を入れ、至近距離から風の【フィアフル】を打ち込んだ。
ズザァァァァァァァァァァァァァァッ!
「きゃああああ!」
吹き荒れる暴風。
ミレイユの背中付近で発生した風は、後ろにいた敵だけを一瞬で微塵切りにした。
俺の仲間に手を出したんだ……。
素材なんかのために手加減してやる気はない!
「ミレイユ! 俺から離れるな!」
「うん!」
俺はミレイユを抱きしめるようにして腕を交差させると、手の平をそれぞれの敵に向けた。
「インブレ――」
二体のデビルデーモンを水圧で叩き潰そうとした、その時だ。
俺は見た。
デビルデーモンが、まるで獲物が罠に掛かったのを喜んでいるような表情になっているのを。
「グェッ!」
デビルデーモン達の胴体が歪み、急激に膨らんだ。
亀裂からは閃光が漏れる。
「これは、まさか――!」
自爆!?
ドォォォォォォォンッ!!!!!
俺達がこの階層に来て最初に聞いた謎の爆発音。
それと同じ音が至近距離で同時に二つ響き、そして爆炎と爆風が俺とミレイユを一瞬で呑み込んだ。
俺は二つの意味で驚いていた。
一つはもちろんミレイユが他のデビルデーモン達に囲まれてしまったこと。
そしてもう二つ目は、デビルデーモンが複数で現れたことだ。
極めて自己中心的な性格のデビルデーモンは、仲間と強調して行動するなんてことはない。
(どうなってるんだ?)
それは俺に疑問を抱かせるに十分だった。
だがとにかく今はミレイユだ。
「このっ!」
剣を抜いて応戦するミレイユ。
三方向から囲んでいるデビルデーモンはどれも並の大きさだが、それでも今の彼女の実力でどうにかなるような相手じゃない。
たとえ一匹だけでも無理だろう。
「待ってろミレイユ! 今助ける!」
そうは言ったものの、俺は内心で少し焦っていた。
被害を最小限に抑えて戦うというのは、古代魔法が一番不得意とする状況だからだ。
さっき殺したデビルデーモンだってそうだ。
素材を剥ぎ取るという制約さえなければ、背後から奇襲なんてする必要はどこにもなかった。
敵はミレイユを中心に、均等に三方向に分かれている。
真ん中にミレイユがいるということは纏めて薙ぎ払うわけにはいかないし、かといって直線的な攻撃では一度に二体までしか仕留めることができない。
デビルデーモン達がさっき嗤ったのはこのことを理解したからだろうか?
「きゃっ!」
一匹がミレイユの剣を叩き落とし、別の一匹が彼女を抱き寄せるように距離を詰めた。
間違いない。
ミレイユを人間の盾に使う気だ。
さっきの俺の戦いを見た上で、敵と味方の距離が近い状態では俺が全力を出せないことを見抜いたんだ。
「いやっ! 離してっ! ジェイド!」
俺の推測通り、デビルデーモンはミレイユを俺の方向に向けた。
「野郎……!」
前世の俺もデビルデーモンとは何度も戦った。
だから奴らの性根の腐り具合はよくわかっている。
奴らがミレイユをこのまま『生きた状態で』盾に使い続ける保証はどこにもない。
むしろ俺がミレイユの体を傷つけるのに躊躇っていると気がつけば、奴らはきっと喜んで彼女を殺すだろう。
(すぐに助けないと!)
俺は怒りを感じながら『移動』の【フラッシュ】を再び発動しようとした。
こうなったら、移動の衝撃波でミレイユが怪我を負うこともやむを得ない。
後で治癒の『リザレクション』で治して謝ろう。
だがその瞬間、ミレイユが身につけたペンダントが視界の中心に入った。
(……なんだ?)
違和感。
何かがおかしい。
俺が使おうとしたのは『移動』の【フラッシュ】。
それは俺が前世でも使っていた古代魔法……のはずだ。
だがまるでミレイユのペンダントがそれを否定しているような気がした。
そうではない、と。
そしてまるで何かが掘り起こされるかのように、俺の中に声が響いた。
『悲しいなジェイド……。誰もが全てを知ったつもりになって、それ以上を知ろうとはしないんだ』
全身の毛穴が開き、鳥肌が立つ感覚。
俺は言葉ではなく魂で理解した。
古代魔法である『移動』の【フラッシュ】。
だがそれは決して最終形じゃない。
そうだ。
俺が使うべきは『移動』の【フラッシュ】じゃないんだ。
ミレイユを助けるために、俺が本当に使うべきなのは――。
「『閃光』の【フラッシュ】だ!」
シュンッ! シュシュシュシュシュンッ!
俺は全身に光を纏い、衝撃波を発生させることなく加速した。
今までよりも速く。
今までよりも精密に。
今までよりも複雑に。
俺は『移動』の【フラッシュ】では実現不可能な動きで、ミレイユを囲む敵へと迫った。
「ジェイド!」
一気に距離を詰め、ミレイユを捕まえているデビルデーモンの正面に立つ。
「フィアフル!」
そして敵とミレイユの間に差し込むように手を入れ、至近距離から風の【フィアフル】を打ち込んだ。
ズザァァァァァァァァァァァァァァッ!
「きゃああああ!」
吹き荒れる暴風。
ミレイユの背中付近で発生した風は、後ろにいた敵だけを一瞬で微塵切りにした。
俺の仲間に手を出したんだ……。
素材なんかのために手加減してやる気はない!
「ミレイユ! 俺から離れるな!」
「うん!」
俺はミレイユを抱きしめるようにして腕を交差させると、手の平をそれぞれの敵に向けた。
「インブレ――」
二体のデビルデーモンを水圧で叩き潰そうとした、その時だ。
俺は見た。
デビルデーモンが、まるで獲物が罠に掛かったのを喜んでいるような表情になっているのを。
「グェッ!」
デビルデーモン達の胴体が歪み、急激に膨らんだ。
亀裂からは閃光が漏れる。
「これは、まさか――!」
自爆!?
ドォォォォォォォンッ!!!!!
俺達がこの階層に来て最初に聞いた謎の爆発音。
それと同じ音が至近距離で同時に二つ響き、そして爆炎と爆風が俺とミレイユを一瞬で呑み込んだ。
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