15 / 18
第一章:アルテイルの扉
【15】謎の少女
しおりを挟む
「ふう、危なかったな」
周囲一体を覆っていた爆煙が風で飛ばされた後、俺は防御の【テラー】で出現させた壁を解除した。
デビルデーモン達の自爆の威力があまりにも強力すぎて、俺達の周囲は完全な更地になってしまった。
ミレイユが落としたサーベルも姿が見当たらない。
もしかすると爆発で跡形もなく消滅した可能性すら考えられる。
「大丈夫か? ミレイユ」
俺は抱きしめていたミレイユの様子を確認した。
爆発で怪我をしてはいないと思うが、その前のデビルデーモンとの戦いで傷を負っている可能性は十分にある。
「う、うん……。大丈夫」
俺の胸から顔を離したミレイユだったが、顔が真っ赤だ。
自分の実力で手に負えない敵にいきなり取り囲まれたのだから無理もないか。
よほど怖かったに違いない。
「怪我はないか?」
「うん……。今度は本当に大丈夫だよ」
俺と目が合うと、ミレイユは視線を左右に泳がせた。
案外恥ずかしがり屋なのかもしれない。
「よし。目的は達したし、素材を回収してさっさと帰ろう」
俺はミレイユから体を離そうとした。
だがまだ恐いのか、彼女は俺の服を掴んでいる。
「仕方ないな……。ほら、手つないでやるから」
「え……。ええぇっ! 手?! ここで?! 二人っきりで?!」
ミレイユは慌てだした。
まあそうだろう、俺だって子供扱いされるのは嫌だ。
でもこの状況じゃ仕方がない。
俺はミレイユと強引に手をつなぐと、さっき殺したデビルデーモンの死体に向けて歩き出した。
ミレイユは最初こそ俺に引っ張られていたが、すぐに俺の隣を歩くようになった。
「だ、誰かに見られちゃったら大変だね、手つないでるとこ……」
「確かに。隙になるからな」
「す、好きになる?! ホントに?!」
「ああ」
やっぱりミレイユの様子がおかしい。
きっとこの危険地帯に身を置いているのが不安でならないんだろう。
(仕方ない。骨は諦めるか)
俺はデビルデーモンの角だけを回収すると、街へ帰還することにした。
「よし、このまま街に帰るぞ」
「こ、このまま帰るの?! 手つないだまま?! どどどど、どうしよう! ジェイドと手ついでるの、みんなに見られちゃう!」
「心配するな。塔を出たらすぐに離すから」
「え……」
この後、俺達は街に戻ったわけだが……。
ミレイユは塔を出た辺りから妙に機嫌が悪くなった。
◇ ◆
時間は、ジェイドが自爆攻撃を受けた直後に遡る。
大型のデビルデーモンを一方的に殺し、さらに二匹の自爆攻撃まで防いでみせたジェイド。
彼がミレイユと一緒に爆煙から姿を現した時、遠くから二人に熱い視線を注ぐ影があった。
「へえ、あれを生き残るんだ」
そこには驚きと喜びが込められている。
いかにも魔法使いですと言わんばかりの格好をした少女は、オレンジ色の髪を機嫌よく揺らした。
「下層はザコしかいないと思ってたけど、私のペットに勝てる奴もいるんだね。ちょっと気になるかも」
彼女の背後には、ジェイド達を襲ったのと同じデビルデーモンが、何匹も跪いていた。
唯我独尊の気性を持つ彼らが他者に跪くなど、自然界ではありえない光景だ。
そう、自然界では。
「至近距離で自爆攻撃を受けても無傷……。少し良い報告ができそうだね」
少女は意地の悪そうな笑みを浮かべると、デビルデーモン達を従えて森の奥へと消えていった。
周囲一体を覆っていた爆煙が風で飛ばされた後、俺は防御の【テラー】で出現させた壁を解除した。
デビルデーモン達の自爆の威力があまりにも強力すぎて、俺達の周囲は完全な更地になってしまった。
ミレイユが落としたサーベルも姿が見当たらない。
もしかすると爆発で跡形もなく消滅した可能性すら考えられる。
「大丈夫か? ミレイユ」
俺は抱きしめていたミレイユの様子を確認した。
爆発で怪我をしてはいないと思うが、その前のデビルデーモンとの戦いで傷を負っている可能性は十分にある。
「う、うん……。大丈夫」
俺の胸から顔を離したミレイユだったが、顔が真っ赤だ。
自分の実力で手に負えない敵にいきなり取り囲まれたのだから無理もないか。
よほど怖かったに違いない。
「怪我はないか?」
「うん……。今度は本当に大丈夫だよ」
俺と目が合うと、ミレイユは視線を左右に泳がせた。
案外恥ずかしがり屋なのかもしれない。
「よし。目的は達したし、素材を回収してさっさと帰ろう」
俺はミレイユから体を離そうとした。
だがまだ恐いのか、彼女は俺の服を掴んでいる。
「仕方ないな……。ほら、手つないでやるから」
「え……。ええぇっ! 手?! ここで?! 二人っきりで?!」
ミレイユは慌てだした。
まあそうだろう、俺だって子供扱いされるのは嫌だ。
でもこの状況じゃ仕方がない。
俺はミレイユと強引に手をつなぐと、さっき殺したデビルデーモンの死体に向けて歩き出した。
ミレイユは最初こそ俺に引っ張られていたが、すぐに俺の隣を歩くようになった。
「だ、誰かに見られちゃったら大変だね、手つないでるとこ……」
「確かに。隙になるからな」
「す、好きになる?! ホントに?!」
「ああ」
やっぱりミレイユの様子がおかしい。
きっとこの危険地帯に身を置いているのが不安でならないんだろう。
(仕方ない。骨は諦めるか)
俺はデビルデーモンの角だけを回収すると、街へ帰還することにした。
「よし、このまま街に帰るぞ」
「こ、このまま帰るの?! 手つないだまま?! どどどど、どうしよう! ジェイドと手ついでるの、みんなに見られちゃう!」
「心配するな。塔を出たらすぐに離すから」
「え……」
この後、俺達は街に戻ったわけだが……。
ミレイユは塔を出た辺りから妙に機嫌が悪くなった。
◇ ◆
時間は、ジェイドが自爆攻撃を受けた直後に遡る。
大型のデビルデーモンを一方的に殺し、さらに二匹の自爆攻撃まで防いでみせたジェイド。
彼がミレイユと一緒に爆煙から姿を現した時、遠くから二人に熱い視線を注ぐ影があった。
「へえ、あれを生き残るんだ」
そこには驚きと喜びが込められている。
いかにも魔法使いですと言わんばかりの格好をした少女は、オレンジ色の髪を機嫌よく揺らした。
「下層はザコしかいないと思ってたけど、私のペットに勝てる奴もいるんだね。ちょっと気になるかも」
彼女の背後には、ジェイド達を襲ったのと同じデビルデーモンが、何匹も跪いていた。
唯我独尊の気性を持つ彼らが他者に跪くなど、自然界ではありえない光景だ。
そう、自然界では。
「至近距離で自爆攻撃を受けても無傷……。少し良い報告ができそうだね」
少女は意地の悪そうな笑みを浮かべると、デビルデーモン達を従えて森の奥へと消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる