悪役令嬢の兄に転生した俺、なぜか現実世界の義弟にプロポーズされてます。

ちんすこう

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33-2※

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「ぁ、あっ」

 ぐちぐちと隆起を弄られ続けて、次第に腰が揺れ始めた。

「気持ちいい?」
「や、それっ、ふぁ……っ」

 耳元に低く艶めいた言葉が響く。砂糖の声を吹き込まれてぞくぞくと血が沸き立つ。
 触り方も俺を見る目も、俺の知っている弟とは違い、男の顔をしていた。奏に全部包み込まれている気分になりながら、奏の手の中でピークに達した。

「ひぁ……っ!」

 とぷ、と肌の上に吐き出される白い海。奏はそれを俺の後ろの穴に当てて、つぷりと塗り込めた。

「ん、や……」

 ぬぬぬと肉壁の中に滑りこんでいく指。

 前は魔法を使って遠隔で弄られたから、そこを直接触られるのは初めてだ。くちくち蠢く指は優しく、揉みほぐすように中を捏ねる。

「奏……」

 か細い声が漏れ、きゅうっと胸が締め付けられる。

 気持ち良い、かどうかはよく分からない。

 だけど、奏に触れられて、奏に体の内側を暴かれていくことが、嬉しい。

「ぁ……っ」

 指が徐々に増やされていき、ぬぢゅぬぢゅ湿った音が零れ出したころ、あのしこりを押されて腰がのけぞった。

「ひぅっ、ん」

 甲高い声が出てしまう。体温が一気に上がって、呼吸が荒くなっていく。

 奏は俺の反応を見ながら指を動かして、もう片方の手で俺のものをゆるく扱く。そして宥めるように頬や目尻にキスを落とされれば、体の外側も中身も奏に陥落していった。

「イ、く……っまた、あ……っ!」

 悲鳴まじりの嬌声を上げて、ぴゅるぴゅるとさっきより透明度が増した精液を吐きながら中でも達した。
 髪にキスされながら、乱れた呼吸を整える。
 砂糖を煮詰めていくみたいにじわじわと快楽を与えてくる奏に、少し苛立つ。

「いたっ」

 どす、と肩を殴りつけると、『なんで?』という顔をされた。

「……慣れてる」
「え?」

 奏は段取りに迷いがなく、こういった事が初めてだとは到底思えなかった。そういえばキスもめちゃくちゃ上手い。

「お前、童貞じゃなかったのかよ。全然気付かなかった」
「は」

 ぽかんとする奏に、なんでそんな顔してるんだよと訊こうとしたら、思いがけない言葉が返ってきた。

「俺、ゆうが初めてだよ」
「嘘つくな」

 今度はこっちが『はあ?』となる番だ。

 別に、この見た目だし経験があってもおかしくはない。ちょっと意外だっただけで怒ってるわけでもないのに、どうして嘘をつくのか――と思ったが、奏は本当に意表を突かれた顔をしている。

 俺は眉を上げて確認する。

「え……まじで?」
「うん。ゆうが好きなのに、他の人とするわけないじゃん」

 そうとも限らないと思うけど……やばい、物凄くほっとしている自分がいる。
 奏は言葉を失っている俺を見て、おどけた笑みを浮かべる。

「慣れてるように見えるのは光栄なことだけど。それは、こういう日にそなえてしたお勉強の成果ってことですね」
「イメトレでもしたんか……?」
「ご想像にお任せするよ」

 なんだよ器用な奴め、紛らわしい。はは、なんだ俺の勘違いか。

「笑ってるけど、ゆうはどうなの? 慣れてるとか分かるくらい経験あるの」

 緊張気味に訊ねてくる奏に笑い、俺は奏の手をとった。

「ないよ。お前が初めて」

 もうすぐ高校を卒業しようかって年なのに彼女一人できないのが密かにコンプレックスだった。
 けれど、俺の手を握り返してあからさまに安堵した表情を見せる弟を見たら、今日まで誰のものにもならなくてよかった、と思う。

「俺たち、お互いが初めてなんだ」

 奏が瞳を輝かせる。
 握っていた手を解くと俺の胸に触れて、平たい肉を覆う。そこだけ湿った熱を感じた。
 その手の温もりを記憶に刻みつけながら答える。

「そうだよ。俺は、奏の体しか知らない」

 他人と肌を重ねる感触も。奏だけ。
 奏はわれものに触るように胸を撫でさすりながら、噛み締めるように言う。

「すごい、どきどきしてるね」
「……るさい。初めてなんだって」

 笑う弟が腹立たしく、俺も奏が着ていたシャツのボタンを外していく。
 はらりと肌蹴た隙間から手を押し当てると、掌に奏の鼓動が伝わった。

「お前だってうるせえくらいじゃん」
「そりゃね。初めてだから」

 胸を覆っていた手がするりと肋骨を撫でて、下腹に降りていく。もう片方の手も反対側の体に触れ、ゆるゆると上下する。何をするでもなく、体の存在を確かめるみたいに、ただ穏やかに撫でられた。

 それだけでぞくりと背筋がわななき、頭の後ろの方がじんと熱を帯びていく。

「……っあ」
「ゆう」

 囁くように呼ばれるとたまらなくなって、俺を見下ろす顔を両手で包み込む。
 つるりとした頬の感触を確かめながら、親指で長いまつげに触れた。


 ――俺たちはここにいる。

 疲れて、消えてしまいたいと願ったあの夜を越えて。ここに。


 視線を交わすと自然と顔の距離が縮まって、つつましい口付けをした。
 瞼を下ろし、唇に伝わる奏の温度にだけ集中する。
 リップ音をたてて唇が離れていくと、ほぐされた秘部に熱源が当てられた。閉じていた目を開ける。

「……いい?」

 燃えさかる火を灯した瞳が窺い見る。
 俺はこくりと首を縦に振り、自ら脚を割り開いた。


「しよ、奏」

「……っ危ね、いきそうだった」

「お前なあ」


 潜めた声で笑うと、むっとした奏が腰を前方に動かす。ぬぷぬぷ、と当てられた灼熱がめり込んできて、笑う余裕はなくなっていった。

「あ、ぁん……っ」
「破壊力高すぎ。ずるい」
「何がずるいんだよ、んん……っ」

 軽口をかわしたことで緊張は解れていたが、中を暴かれる衝撃は大きい。

「狭……っ」

 入れる奏も少し苦しそうで、目をすっと細めながら息を詰める。

「ゆう」
「っはぁ、奏、ん」

 唇を深く合わせて、舌で口の中の性感帯を刺激されると、全身のこわばりが弛緩していく。
 じゅ、じゅぷ、と唾液を絡めて唇を重ねながら、奏のものを呑み込んでいった。

「んうぅ……っ!」

 ぎゅっと瞑った目から、悲しくもないのに涙が零れる。
 中にずんと重い圧迫感があって、内臓がはちきれそうだ。
 その苦しさを紛らわせるために必死で奏の舌を貪って、自分より一回り大きい身体にしがみつく。

 ずぷぷぷ、とまだ先があった塊が中を進み、内臓を押し上げていく。肉楔は尻たぶに相手の肌がぶつかったところで止まった。
 そこで奏がキスをといて、汗ばむ額を撫でてくる。

「大丈夫……? 痛くない?」
「平気。苦しいけど、痛くは……全部入った?」

 訊ねると、奏は熱い息をついて答えた。

「うん、入ったよ。
 ……すごい。俺、ゆうと一緒になれてる。すげえ、きもちいー……」
「そっか」

 受け入れる側は正直快感を味わうどころではないけれど。
 硬く目を閉じて噛み締めるように言う奏を見ると、こんな苦しみなんて忘れられる気がする。心が満たされるから。

 俺の中で感じている姿を見れただけで、じゅうぶん。

 そう思っていたが、ゆるりと瞼を上げた奏に乳首を吸われて、ぴりっと痺れを感じる。

「ぅあっ」
「急に動いたりしないから。
 ゆっくりするから、一緒に気持ち良くなろ?」

 ぢゅるぢゅる、口でたっぷり濡らされて甘く吸い上げられると、感じていた苦しさが快感に上塗りされる。

「ぁ、あ、あっ」

 ぴんと立った反対側の尖りを摘まれて、こりこりと捻られる。桜色に染まった小さな円を指先で擽られながら、中心の突起を爪で柔らかく引っ掻かれた。
 奏は手と舌で両胸を責めながら、言った通り緩やかに腰を揺らし始めた。

 ぱちゅっ、ぬちゅっ、と摩擦音をあげ、肉襞をまったり往復する。

「ふぅっ、う、んっ」

 そんな愛撫を受け、時間が経つにつれて、異物が身体に馴染んできた。
 そうして抵抗が少なくなってくると律動が徐々に速まっていき、固まった筋肉を解すための穏やかな動きが中を深く抉るものに変わる。

「はっ、あ、ぁあっ」

 その頃には俺もだいぶ挿入の衝撃に慣れてきて、時々甘さが混じった吐息を零しながら奏に揺さぶられた。

「ゆう、好きだよ」
「俺も、好き、奏、すきっ」

 慣れてきたと思ったけど、奏の欲望が中でまたぶわりと膨らむのを感じると、期待と同時に恐怖を覚えた。

「や、お前、またでかく――んあっ!?」

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