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家を飛び出したあの日。
私はロストに全てを打ち明け、彼から告白された。
私は彼の妻となる覚悟を決め、今日の結婚式に来た。
「なんですって!!!」
ロストが私と婚約すると言うと、一番に反応を示したのはエルダだった。
彼女は私たちに近寄ってくると、怒りを顔いっぱいに広げながら叫ぶ。
「そんな醜い子と婚約するなんて認めないわ! あなたはエマと結婚するの! そう決まっていたじゃない!」
怒りで我を失ったのか、私を醜い子呼ばわりしたエルダ。
参列者の方々も、その言動から私たちの言葉に確信を持ったようで、冷たい視線をエルダとエマに送る。
「お母様、お気を静めてください。しかし悪いのはどう考えても、あなたたちの方です。自分が蒔いた種で婚約破棄になるのですから仕方ありません。過去は変えられないのですから」
「ふざけたこと言わないで頂戴! 第一証拠がどこにあるというの! 私たちがあなたを罵った証拠なんてどこにもないわ!」
エルダに同調するようにエマも叫ぶ。
「そうよ! 証拠もないのに私たちを悪者扱いしてただじゃおかないわよ!」
「証拠ならあるよ」
と発言したのは、今まで黙っていた私の父だった。
父は私たちの方へ歩いてくると、後妻とその連れ子を睨みつける。
「僕が全部証言する……この二人がリオンにしてきたことを……!」
父の裏切りにエルダとエマの顔がさっと青ざめる。
「あなた……何を言っているの? そ、そんなことをすればあなただって……」
「ああ、ただじゃ済まないだろう。でも、もう決心したんだ。僕は実の娘であるリオンを守る」
実は私が家を出た少し後、父が秘かに私を探しているとの噂が耳に入った。
その時、私はロストの家に住まわせてもらっていたのだが、その噂を聞いて、すぐに父と接触をした。
父は泣きながら今までのことを謝ってくれて、私に協力してくれると誓ってくれた。
「エルダ! 僕は君を失うことに怯えていた! 君に反論したらまた妻がいなくなるのではないかと恐れていた! でも、こんなことは間違っている……もう終わりにしたいんだ。だから……」
「うるさい! うるさい! うるさい!」
エルダは癇癪を起した子供のように、床を足で思いっきり蹴りつけた。
あまりの乱暴さに、エマは完全に引いてしまっているようで、数歩後ずさった。
エルダはそのままおもむろに腰に手を当てると、そこから隠しナイフを取り出した。
「リオン……お前のせいだ……お前がいなくなれば……全部、全部……私の思い通りになるんだ!!!」
エルダは叫ぶと、私に向かってそれを突き出した。
時が止まったかのような感覚に陥った。
周囲から様々な叫ぶ声が聞こえていたが、私は一歩も動けずにいた。
その間にもナイフは刻一刻と私の腹目がけて近づいてくる。
あ、死ぬ。
そう思った瞬間だった。
突然ナイフの先に光が現れ、会場の全ての人の目を眩ませた。
エルダも悲痛な叫びを上げると、その場にナイフを落とし、数歩後ずさった。
辺りが光に包まれ、何が起きているのか分からなかった。
しかし、声だけが私に聞こえてきた。
「リオン……」
それはあの天使の声だった。
私を地獄の底から救いだしてくれたあの声だ。
「あなたをいつまでも見守っているわ」
「誰……あなたは誰なの!?」
必死に叫んだ。
不思議と涙が溢れてきた。
私は心の奥底で思っていた、秘かに。
本当は天使なんかじゃないのではないかと。
光が弱まり、私は瞼を開けた。
そこには床にうずくまり、苦しそうに目を抑えるエルダの姿があった。
彼女を見下ろし、私は呟く。
「本当に醜いのはあなたの方だったみたいね」
私はロストに全てを打ち明け、彼から告白された。
私は彼の妻となる覚悟を決め、今日の結婚式に来た。
「なんですって!!!」
ロストが私と婚約すると言うと、一番に反応を示したのはエルダだった。
彼女は私たちに近寄ってくると、怒りを顔いっぱいに広げながら叫ぶ。
「そんな醜い子と婚約するなんて認めないわ! あなたはエマと結婚するの! そう決まっていたじゃない!」
怒りで我を失ったのか、私を醜い子呼ばわりしたエルダ。
参列者の方々も、その言動から私たちの言葉に確信を持ったようで、冷たい視線をエルダとエマに送る。
「お母様、お気を静めてください。しかし悪いのはどう考えても、あなたたちの方です。自分が蒔いた種で婚約破棄になるのですから仕方ありません。過去は変えられないのですから」
「ふざけたこと言わないで頂戴! 第一証拠がどこにあるというの! 私たちがあなたを罵った証拠なんてどこにもないわ!」
エルダに同調するようにエマも叫ぶ。
「そうよ! 証拠もないのに私たちを悪者扱いしてただじゃおかないわよ!」
「証拠ならあるよ」
と発言したのは、今まで黙っていた私の父だった。
父は私たちの方へ歩いてくると、後妻とその連れ子を睨みつける。
「僕が全部証言する……この二人がリオンにしてきたことを……!」
父の裏切りにエルダとエマの顔がさっと青ざめる。
「あなた……何を言っているの? そ、そんなことをすればあなただって……」
「ああ、ただじゃ済まないだろう。でも、もう決心したんだ。僕は実の娘であるリオンを守る」
実は私が家を出た少し後、父が秘かに私を探しているとの噂が耳に入った。
その時、私はロストの家に住まわせてもらっていたのだが、その噂を聞いて、すぐに父と接触をした。
父は泣きながら今までのことを謝ってくれて、私に協力してくれると誓ってくれた。
「エルダ! 僕は君を失うことに怯えていた! 君に反論したらまた妻がいなくなるのではないかと恐れていた! でも、こんなことは間違っている……もう終わりにしたいんだ。だから……」
「うるさい! うるさい! うるさい!」
エルダは癇癪を起した子供のように、床を足で思いっきり蹴りつけた。
あまりの乱暴さに、エマは完全に引いてしまっているようで、数歩後ずさった。
エルダはそのままおもむろに腰に手を当てると、そこから隠しナイフを取り出した。
「リオン……お前のせいだ……お前がいなくなれば……全部、全部……私の思い通りになるんだ!!!」
エルダは叫ぶと、私に向かってそれを突き出した。
時が止まったかのような感覚に陥った。
周囲から様々な叫ぶ声が聞こえていたが、私は一歩も動けずにいた。
その間にもナイフは刻一刻と私の腹目がけて近づいてくる。
あ、死ぬ。
そう思った瞬間だった。
突然ナイフの先に光が現れ、会場の全ての人の目を眩ませた。
エルダも悲痛な叫びを上げると、その場にナイフを落とし、数歩後ずさった。
辺りが光に包まれ、何が起きているのか分からなかった。
しかし、声だけが私に聞こえてきた。
「リオン……」
それはあの天使の声だった。
私を地獄の底から救いだしてくれたあの声だ。
「あなたをいつまでも見守っているわ」
「誰……あなたは誰なの!?」
必死に叫んだ。
不思議と涙が溢れてきた。
私は心の奥底で思っていた、秘かに。
本当は天使なんかじゃないのではないかと。
光が弱まり、私は瞼を開けた。
そこには床にうずくまり、苦しそうに目を抑えるエルダの姿があった。
彼女を見下ろし、私は呟く。
「本当に醜いのはあなたの方だったみたいね」
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