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山が動く
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110: 俊也:16/12/04(日)00:17:30 ID:iL1主 ×
そして・・・・・・・正午にならんとするとき・・・・・
南宮山
「我らだけで動くぞ!者ども下山の準備を致せ!」
毛利秀元が、ついに決断したのである。
「広家伯父の腹案は分からぬが、豊家そしてわが毛利安泰のためには我らが動かねばなるまい!
広家隊を迂回し、内府本陣の後方を衝く!」
111: 名無し:16/12/04(日)00:27:45 ID:52h ×
ついに毛利が動いたか!
112: 俊也:16/12/04(日)00:28:27 ID:iL1主 ×
桃配山
「南宮山に動きが・・・・・毛利が動き始めておりまする!」
「吉川隊を迂回し麓に下りつつあり!!」
「安国寺、長曾我部勢も追従の模様!」
家康はがばっと後方を振り返る。
ここにきて・・・・・・・恐れていたことが・・・・・・。
家康周囲の馬廻達もざわめく。
「上様・・・・・!」
正純の声も震えていた。
113: 俊也:16/12/04(日)00:36:31 ID:iL1主 ×
「うろたえるでない!!」
家康が一喝した。
「池田、浅野らが後背の抑えとしておる!すぐさま我ら本陣が危ううなるわけではない!
こちらはこちらで、わが陣を前に押し出して治部の本陣を崩していけばよいだけのことじゃ!!」
114: 俊也:16/12/04(日)00:37:44 ID:iL1主 ×
とは言ったものの・・・・・・・
「後方を顧みるな!前のみを見て突き進むのじゃ!」
黒田長政が、福島正則がそう叱咤するが、
「南宮山の毛利が動き後背を突いてくる」
この凶報はたちまち東軍戦線に広まり兵士たちを狼狽させた。
露骨に隊列が乱れる
115: 俊也:16/12/04(日)00:39:19 ID:iL1主 ×
むろん島左近も、島津も、大谷吉継も宇喜多も、この機を逃すはずがない。
「総寄せじゃ!!この勢いで内府の本陣までをも突き崩すぞ!!」
彡(゚)(゚)(よっしゃ!歴史の一角をついに動かしたで!勝てる!!)
島津勢がもっとも突出する形で、西軍は全戦線において再び東軍を圧し始めた。
今度は無理押しではなく、明らかな優勢であった。
116: 名無し:16/12/04(日)00:44:55 ID:52h ×
さあ歴史は変わるか!?
117: 俊也:16/12/04(日)00:45:42 ID:iL1主 ×
桃配山の家康は、もはや苛立ちを隠そうともしない。
床几から立ち上がり、地べたを蹴りつける
「金吾じゃ!あの小せがれめ・・・・・・・・・・」
松尾山のほうへ、怒りの眼光を向ける。
「儂と治部を天秤にかけておるのだ・・・・・・小童が!!」
おそらく意外なまでの西軍の善戦に、惑い始めているのであろう。
あるいは智慧者ぶって、自分がこの大戦の賽の目を振るような気分になっているのやもしれぬ。
小せがれが・・・・・賢しらに・・・・・・・
118: 俊也:16/12/04(日)00:47:07 ID:iL1主 ×
怒りと苛立ちの中、家康は使番を呼びつけた。
「甲州(黒田長政)に申し伝えい!そちが調略した筈の金吾がまだ動かぬとはどういう訳か!とな!」
「かしこまって候!」
使番は馬の腹を蹴り駆けだした。
119: 俊也:16/12/04(日)00:48:38 ID:iL1主 ×
黒田長政陣中に馬を乗りいれた使番は、開口一番
「甲州殿!金吾中納言の内応の件、手抜かりはなかりしか!?」
馬から降りようともせず、家康の苛立ちがそのまま乗移った態でわめいた。
ただでさえ目の前の劣勢に苛立っていた長政は、この無礼極まる口上に逆上した。
「知るかたわけ!わが調略はあくまで戦の前の話!この期に及んでは我の分別は槍働きのみにあり!
いまさら我に金吾の動向について難詰されてもどうにもならぬわ!!」
121: 俊也:16/12/04(日)00:51:35 ID:iL1主 ×
使番は憤激しながらも踵を返し、本陣に戻ると長政の口上をそのまま家康に伝えた。
「ふ・・・・甲州の申す通りだ。」
・・・・・家康は冷静さを取り戻していたようである。そして命令を下す。
「源兵衛をよべい!」
鉄砲頭 布施源兵衛を呼んで何を?
正純ら側近たちが訝しむ。
122: 俊也:16/12/04(日)00:53:24 ID:iL1主 ×
「源兵衛、参上仕りました!」
百戦錬磨の古強者に、家康は驚くべき指令を下した。
「松尾山・・・・・・金吾の、小早川の陣に鉄砲を撃ちかけよ!」
源兵衛は一瞬目をむいた、が、すぐに平伏して承知仕りました、と返し、踵を返して馬に飛び乗った。
124: 俊也:16/12/04(日)00:54:35 ID:iL1主 ×
賭けだな・・・・・これは・・・・・・
正純は内心でひとりごちた。
金吾が家康の強い意向をこれで汲み、裏切り出動してくれればよいが、逆上してわが徳川本陣に吶喊してくる可能性とてあるのだ。
現在の西軍優勢の現状を見れば、十分可能性のあることである。
125: 俊也:16/12/04(日)00:55:14 ID:iL1主 ×
吉と出るか、凶とでるか・・・・・・
「山頂の小早川陣の旗指物が見えよう、あれをめがけ撃ちかけい!」
源兵衛の号令一下、数十丁の火縄銃が一斉に放たれた。
126: 俊也:16/12/04(日)00:56:21 ID:iL1主 ×
松尾山。
「火縄が・・・・・・あれは内府家康公の陣からのものと思われまする!」
「う・・・・ああ・・・・・」
小早川秀秋は瞼をしぱしぱさせた。
「ごらんなされ金吾殿、内府はお怒りでござる!ご決断なされい!」
奥平の、もはや恫喝にも近い督促。
秀秋は震えながら立ち上がり、前へ・・・・・・ではなく後方にしつらえた小屋に逃げ込むように足早へ入っていった。
中で酒でもあおっているのだろうか。明らかな現実逃避であった。
うつけが!と奥平は内心で毒づいた。
毛利隊の先鋒が、浅野隊と交戦を始めたとの報せが入ったのは30分程経ってからである。
だが・・・・・それでも、金吾中納言秀秋は動かなかった。
そして・・・・・・・正午にならんとするとき・・・・・
南宮山
「我らだけで動くぞ!者ども下山の準備を致せ!」
毛利秀元が、ついに決断したのである。
「広家伯父の腹案は分からぬが、豊家そしてわが毛利安泰のためには我らが動かねばなるまい!
広家隊を迂回し、内府本陣の後方を衝く!」
111: 名無し:16/12/04(日)00:27:45 ID:52h ×
ついに毛利が動いたか!
112: 俊也:16/12/04(日)00:28:27 ID:iL1主 ×
桃配山
「南宮山に動きが・・・・・毛利が動き始めておりまする!」
「吉川隊を迂回し麓に下りつつあり!!」
「安国寺、長曾我部勢も追従の模様!」
家康はがばっと後方を振り返る。
ここにきて・・・・・・・恐れていたことが・・・・・・。
家康周囲の馬廻達もざわめく。
「上様・・・・・!」
正純の声も震えていた。
113: 俊也:16/12/04(日)00:36:31 ID:iL1主 ×
「うろたえるでない!!」
家康が一喝した。
「池田、浅野らが後背の抑えとしておる!すぐさま我ら本陣が危ううなるわけではない!
こちらはこちらで、わが陣を前に押し出して治部の本陣を崩していけばよいだけのことじゃ!!」
114: 俊也:16/12/04(日)00:37:44 ID:iL1主 ×
とは言ったものの・・・・・・・
「後方を顧みるな!前のみを見て突き進むのじゃ!」
黒田長政が、福島正則がそう叱咤するが、
「南宮山の毛利が動き後背を突いてくる」
この凶報はたちまち東軍戦線に広まり兵士たちを狼狽させた。
露骨に隊列が乱れる
115: 俊也:16/12/04(日)00:39:19 ID:iL1主 ×
むろん島左近も、島津も、大谷吉継も宇喜多も、この機を逃すはずがない。
「総寄せじゃ!!この勢いで内府の本陣までをも突き崩すぞ!!」
彡(゚)(゚)(よっしゃ!歴史の一角をついに動かしたで!勝てる!!)
島津勢がもっとも突出する形で、西軍は全戦線において再び東軍を圧し始めた。
今度は無理押しではなく、明らかな優勢であった。
116: 名無し:16/12/04(日)00:44:55 ID:52h ×
さあ歴史は変わるか!?
117: 俊也:16/12/04(日)00:45:42 ID:iL1主 ×
桃配山の家康は、もはや苛立ちを隠そうともしない。
床几から立ち上がり、地べたを蹴りつける
「金吾じゃ!あの小せがれめ・・・・・・・・・・」
松尾山のほうへ、怒りの眼光を向ける。
「儂と治部を天秤にかけておるのだ・・・・・・小童が!!」
おそらく意外なまでの西軍の善戦に、惑い始めているのであろう。
あるいは智慧者ぶって、自分がこの大戦の賽の目を振るような気分になっているのやもしれぬ。
小せがれが・・・・・賢しらに・・・・・・・
118: 俊也:16/12/04(日)00:47:07 ID:iL1主 ×
怒りと苛立ちの中、家康は使番を呼びつけた。
「甲州(黒田長政)に申し伝えい!そちが調略した筈の金吾がまだ動かぬとはどういう訳か!とな!」
「かしこまって候!」
使番は馬の腹を蹴り駆けだした。
119: 俊也:16/12/04(日)00:48:38 ID:iL1主 ×
黒田長政陣中に馬を乗りいれた使番は、開口一番
「甲州殿!金吾中納言の内応の件、手抜かりはなかりしか!?」
馬から降りようともせず、家康の苛立ちがそのまま乗移った態でわめいた。
ただでさえ目の前の劣勢に苛立っていた長政は、この無礼極まる口上に逆上した。
「知るかたわけ!わが調略はあくまで戦の前の話!この期に及んでは我の分別は槍働きのみにあり!
いまさら我に金吾の動向について難詰されてもどうにもならぬわ!!」
121: 俊也:16/12/04(日)00:51:35 ID:iL1主 ×
使番は憤激しながらも踵を返し、本陣に戻ると長政の口上をそのまま家康に伝えた。
「ふ・・・・甲州の申す通りだ。」
・・・・・家康は冷静さを取り戻していたようである。そして命令を下す。
「源兵衛をよべい!」
鉄砲頭 布施源兵衛を呼んで何を?
正純ら側近たちが訝しむ。
122: 俊也:16/12/04(日)00:53:24 ID:iL1主 ×
「源兵衛、参上仕りました!」
百戦錬磨の古強者に、家康は驚くべき指令を下した。
「松尾山・・・・・・金吾の、小早川の陣に鉄砲を撃ちかけよ!」
源兵衛は一瞬目をむいた、が、すぐに平伏して承知仕りました、と返し、踵を返して馬に飛び乗った。
124: 俊也:16/12/04(日)00:54:35 ID:iL1主 ×
賭けだな・・・・・これは・・・・・・
正純は内心でひとりごちた。
金吾が家康の強い意向をこれで汲み、裏切り出動してくれればよいが、逆上してわが徳川本陣に吶喊してくる可能性とてあるのだ。
現在の西軍優勢の現状を見れば、十分可能性のあることである。
125: 俊也:16/12/04(日)00:55:14 ID:iL1主 ×
吉と出るか、凶とでるか・・・・・・
「山頂の小早川陣の旗指物が見えよう、あれをめがけ撃ちかけい!」
源兵衛の号令一下、数十丁の火縄銃が一斉に放たれた。
126: 俊也:16/12/04(日)00:56:21 ID:iL1主 ×
松尾山。
「火縄が・・・・・・あれは内府家康公の陣からのものと思われまする!」
「う・・・・ああ・・・・・」
小早川秀秋は瞼をしぱしぱさせた。
「ごらんなされ金吾殿、内府はお怒りでござる!ご決断なされい!」
奥平の、もはや恫喝にも近い督促。
秀秋は震えながら立ち上がり、前へ・・・・・・ではなく後方にしつらえた小屋に逃げ込むように足早へ入っていった。
中で酒でもあおっているのだろうか。明らかな現実逃避であった。
うつけが!と奥平は内心で毒づいた。
毛利隊の先鋒が、浅野隊と交戦を始めたとの報せが入ったのは30分程経ってからである。
だが・・・・・それでも、金吾中納言秀秋は動かなかった。
応援ありがとうございます!
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