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真田幸村
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231: 俊也:16/12/09(金)01:34:30 ID:zKH主 ×
数日のうちに、西軍諸将の処断が決定されていった。
石田三成、安国寺恵瓊、小西行長は斬首。
宇喜多秀家は、縁戚の前田利長らの嘆願等もあり助命はされ、八丈島に配流となった。
恩慈英は「先の世を見通す」という噂に関し一時取り調べられたが、
当人が「三成の気を引くためにでっち上げた嘘」と言い放ったためそれ以上は追及されず、宇喜多の配下という扱いを受け、
これまた八丈島に原住ともども配流となった。
232: 俊也:16/12/09(金)01:42:32 ID:zKH主 ×
そして10月1日
京 六条河原
石田三成は斬首されようとしていた。
「あの世で太閤殿下にお褒め頂く、それのみが楽しみじゃ!はははははははははは!!!」
刀が振り下ろされる。
(頼むぞ、豊臣家を・・・・・・恩慈英殿!!!)
その思念を最後に、ばさりと、彼の命は断たれた
享年41
辞世は「筑摩江や 芦間に灯す かがり火と ともに消えゆく 我が身なりけり」。首は三条河原に晒された後、
生前親交のあった春屋宗園・沢庵宗彭に引き取られ、京都大徳寺の三玄院に葬られた。
233: 俊也:16/12/09(金)01:43:29 ID:zKH主 ×
すみません、書き溜めてなくて、スローペースで・・・・今夜はここまでです。
234: 名無し:16/12/09(金)01:45:45 ID:QVd ×
遅くまで乙!
235: ↓名無し:16/12/09(金)07:19:48 ID:Rk5 ×
いつも楽しく読ませて貰ってるで今夜も頼むやで
237: 俊也:16/12/10(土)00:16:07 ID:Svx主 ×
西暦1614年 (慶長19年)
紀州九度山
「やはり、東西は手切れと相成りましたか・・・・・・」
40代後半・・・・という実年齢にしては若々しいこの家のあるじは、大坂からの使者にそう言った。
238: 俊也:16/12/10(土)00:17:07 ID:Svx主 ×
「左様、駿府の老人はあれこれと難癖をつけ、わが豊家を脅かす大軍を年内にも起こさんとしておる。
ゆえに智勇に名高き貴殿に是非合力いただきたくお願いに参上した次第・・・・・」
使者・・・・・米村権右衛門は、豊臣家重臣大野治長(修理)の家老である。
239: 俊也:16/12/10(土)00:24:31 ID:Svx主 ×
「若年のころ故太閤殿下に近侍し奉って以来、豊家には多大なる恩顧がありまする。
全力を賭して右大臣秀頼公に馳走仕らん。そうお伝えくだされ。」
「おおっ!!かたじけない!!右府様もお悦びになりましょう!!」
米村は平伏した。
「・・・・・ただし、条件、と申すとおこがましゅうなりますが、あらかじめ念を押したき事がございまする」
240: 俊也:16/12/10(土)00:27:45 ID:Svx主 ×
「は、念をとは・・・・・?」
「実際に戦となりし時、わたしに采配を一任してくれるかということであります」
「采配を・・・・でござるか・・・・・・」
「いや、わたしでなくともよいのです。たれか戦になれた、
ふさわしき将器をもった御仁がおられれば・・・・・その将に一括して戦の差配を預けて頂きたい。
いろいろな方々があれやこれやと口を出され、
たれがそもそも大将かわからぬような混乱を招いては話になりませぬ。
おそらく・・・・いや確実に寄せ集めの牢人中心で天下の大軍を相手にすることになりましょうから、
これは勝つための第一要件となります。
よくよくこのことを大野様、いや右大臣様にもお判り頂きますよう。」
241: 俊也:16/12/10(土)00:33:02 ID:Svx主 ×
「う、うむ・・・・・たしかに・・・・・なるほど」
米村もこの男の懸念する本質的問題に気付いたようである。
しかし・・・・・・難しい。
あの方がおわすかぎりは・・・・・・・・・
そのことは、この真田左衛門佐信繁(本稿では以降あえて、幸村と呼称することにする)
も十分すぎるほど承知しているだろうが・・・・・・
242: 名無し:16/12/10(土)00:35:19 ID:zee ×
信繁来たか・・・
243: 名無し:16/12/10(土)00:40:51 ID:x64 ×
話飛びスギィ!!
244: 俊也:16/12/10(土)00:41:32 ID:Svx主 ×
大坂城 本丸
「なぜ逢えぬのです・・・・・・?」
青年はそう母親に問いかけた。
「なぜ、と申すか!あの女は江戸の回し者であるぞ!」
「おせんはわたくしの妻であります。妻に逢うのに母上の許しがいるのでありますか?」
「ならぬならぬ!あの女は人質じゃ!豊臣家、天下のあるじたるそなたが気安う逢うてよい相手ではない!」
245: 俊也:16/12/10(土)00:44:53 ID:Svx主 ×
きょうは、日が悪い・・・・・・
かるく唇を噛みつつ、豊臣秀頼は内心でひとりごちた。
母、淀殿のいわばヒステリー。 それがきょうは悪い方向に針が振れてしまっている。
母にとっての現世は、亡き父太閤秀吉の黄金時代の残照と、自らがかつての覇王信長の姪であるという矜持。
そしてその血を引く自分への盲愛。
それのみで構成されているのだ。
現実のこの日ノ本は、江戸と駿府を中心に廻り、
ここ大坂は忘れ去られるだけならまだしも、排除の対象にすらなりつつある。
狭い世界に引き篭もっている自分にも其の位は判る・・
・・・母はそれから目と耳をふさぎ続けているのであろうか。
そういう思いと同時に、母親を一喝して自我を通すだけの胆力すらない自身の繊弱さを呪う秀頼であった。
246: 名無し:16/12/10(土)00:49:13 ID:x64 ×
うーん、これは毒親!w
数日のうちに、西軍諸将の処断が決定されていった。
石田三成、安国寺恵瓊、小西行長は斬首。
宇喜多秀家は、縁戚の前田利長らの嘆願等もあり助命はされ、八丈島に配流となった。
恩慈英は「先の世を見通す」という噂に関し一時取り調べられたが、
当人が「三成の気を引くためにでっち上げた嘘」と言い放ったためそれ以上は追及されず、宇喜多の配下という扱いを受け、
これまた八丈島に原住ともども配流となった。
232: 俊也:16/12/09(金)01:42:32 ID:zKH主 ×
そして10月1日
京 六条河原
石田三成は斬首されようとしていた。
「あの世で太閤殿下にお褒め頂く、それのみが楽しみじゃ!はははははははははは!!!」
刀が振り下ろされる。
(頼むぞ、豊臣家を・・・・・・恩慈英殿!!!)
その思念を最後に、ばさりと、彼の命は断たれた
享年41
辞世は「筑摩江や 芦間に灯す かがり火と ともに消えゆく 我が身なりけり」。首は三条河原に晒された後、
生前親交のあった春屋宗園・沢庵宗彭に引き取られ、京都大徳寺の三玄院に葬られた。
233: 俊也:16/12/09(金)01:43:29 ID:zKH主 ×
すみません、書き溜めてなくて、スローペースで・・・・今夜はここまでです。
234: 名無し:16/12/09(金)01:45:45 ID:QVd ×
遅くまで乙!
235: ↓名無し:16/12/09(金)07:19:48 ID:Rk5 ×
いつも楽しく読ませて貰ってるで今夜も頼むやで
237: 俊也:16/12/10(土)00:16:07 ID:Svx主 ×
西暦1614年 (慶長19年)
紀州九度山
「やはり、東西は手切れと相成りましたか・・・・・・」
40代後半・・・・という実年齢にしては若々しいこの家のあるじは、大坂からの使者にそう言った。
238: 俊也:16/12/10(土)00:17:07 ID:Svx主 ×
「左様、駿府の老人はあれこれと難癖をつけ、わが豊家を脅かす大軍を年内にも起こさんとしておる。
ゆえに智勇に名高き貴殿に是非合力いただきたくお願いに参上した次第・・・・・」
使者・・・・・米村権右衛門は、豊臣家重臣大野治長(修理)の家老である。
239: 俊也:16/12/10(土)00:24:31 ID:Svx主 ×
「若年のころ故太閤殿下に近侍し奉って以来、豊家には多大なる恩顧がありまする。
全力を賭して右大臣秀頼公に馳走仕らん。そうお伝えくだされ。」
「おおっ!!かたじけない!!右府様もお悦びになりましょう!!」
米村は平伏した。
「・・・・・ただし、条件、と申すとおこがましゅうなりますが、あらかじめ念を押したき事がございまする」
240: 俊也:16/12/10(土)00:27:45 ID:Svx主 ×
「は、念をとは・・・・・?」
「実際に戦となりし時、わたしに采配を一任してくれるかということであります」
「采配を・・・・でござるか・・・・・・」
「いや、わたしでなくともよいのです。たれか戦になれた、
ふさわしき将器をもった御仁がおられれば・・・・・その将に一括して戦の差配を預けて頂きたい。
いろいろな方々があれやこれやと口を出され、
たれがそもそも大将かわからぬような混乱を招いては話になりませぬ。
おそらく・・・・いや確実に寄せ集めの牢人中心で天下の大軍を相手にすることになりましょうから、
これは勝つための第一要件となります。
よくよくこのことを大野様、いや右大臣様にもお判り頂きますよう。」
241: 俊也:16/12/10(土)00:33:02 ID:Svx主 ×
「う、うむ・・・・・たしかに・・・・・なるほど」
米村もこの男の懸念する本質的問題に気付いたようである。
しかし・・・・・・難しい。
あの方がおわすかぎりは・・・・・・・・・
そのことは、この真田左衛門佐信繁(本稿では以降あえて、幸村と呼称することにする)
も十分すぎるほど承知しているだろうが・・・・・・
242: 名無し:16/12/10(土)00:35:19 ID:zee ×
信繁来たか・・・
243: 名無し:16/12/10(土)00:40:51 ID:x64 ×
話飛びスギィ!!
244: 俊也:16/12/10(土)00:41:32 ID:Svx主 ×
大坂城 本丸
「なぜ逢えぬのです・・・・・・?」
青年はそう母親に問いかけた。
「なぜ、と申すか!あの女は江戸の回し者であるぞ!」
「おせんはわたくしの妻であります。妻に逢うのに母上の許しがいるのでありますか?」
「ならぬならぬ!あの女は人質じゃ!豊臣家、天下のあるじたるそなたが気安う逢うてよい相手ではない!」
245: 俊也:16/12/10(土)00:44:53 ID:Svx主 ×
きょうは、日が悪い・・・・・・
かるく唇を噛みつつ、豊臣秀頼は内心でひとりごちた。
母、淀殿のいわばヒステリー。 それがきょうは悪い方向に針が振れてしまっている。
母にとっての現世は、亡き父太閤秀吉の黄金時代の残照と、自らがかつての覇王信長の姪であるという矜持。
そしてその血を引く自分への盲愛。
それのみで構成されているのだ。
現実のこの日ノ本は、江戸と駿府を中心に廻り、
ここ大坂は忘れ去られるだけならまだしも、排除の対象にすらなりつつある。
狭い世界に引き篭もっている自分にも其の位は判る・・
・・・母はそれから目と耳をふさぎ続けているのであろうか。
そういう思いと同時に、母親を一喝して自我を通すだけの胆力すらない自身の繊弱さを呪う秀頼であった。
246: 名無し:16/12/10(土)00:49:13 ID:x64 ×
うーん、これは毒親!w
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