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大坂、風雲急を告げ
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247: 俊也:16/12/10(土)00:50:26 ID:Svx主 ×
駿府城
「大御所様。なにも御自らが出陣なさることはありますまい。こたびの戦は
この秀忠が差配いたしますゆえ・・・・・なにとぞお任せを」
30代半ばになる息子の言葉に、徳川家康はかぶりをふった。
248: 俊也:16/12/10(土)00:52:02 ID:Svx主 ×
「大樹(秀忠)はそう申すが、やはりおせんや、婿の秀頼がかわいいのではないか?
城攻めをするのもためらわれるであろう。
ゆえにわしが代わって泥をかぶろうかと思っておるのだが。」
「め、めっそうもない。」
もともと、自身の凡庸、繊細という評判にコンプレックスを抱いている秀忠はむきになった。
「この秀忠、あすにも馬をすすめ大坂城をせめほろぼしてごらんにいれましょう!
娘とは縁がなかったものと思っておりまする!」
「ふむ・・・・・その覚悟があるなら、諸大名を大いに叱咤して出馬するがよい。
わしも後方から補佐する故・・・・・」
249: 俊也:16/12/10(土)00:53:24 ID:Svx主 ×
家康の、ひとつの誘導であった。
今後、秀忠の治世になることを考えれば
「寛容な家康、武断派の秀忠」の印象を諸大名や世間に植え付けておく必要がある。
そのうえで、自らの目の黒いうちに豊家をほろぼす。
秀忠があの信康のような器量人であれば、こんな気苦労をすることはないのだが・・・・・
かすかな苦々しさを、家康は感じていた。
250: 俊也:16/12/10(土)01:00:23 ID:Svx主 ×
京の相国寺本山
ここに「祐夢先生」と子供たちに慕われている男がいた。
251: 俊也:16/12/10(土)01:02:17 ID:Svx主 ×
寺子屋で少年少女たちを教えている男は、かつては大名であった。
元の名を長曾我部盛親という。
「関が原では、わしは愚かであった」
そういう鬱屈した思いを、かれはこの十数年間抱えていた。
吉川広家の寝返りに動揺し、流されるようにして戦場を離脱してしまったことである。
あのときは若く、老臣たちの一言一句に戸惑い、ついに家康本営への単独突撃を決断しきれなかった。
253: 名無し:16/12/10(土)01:05:22 ID:x64 ×
長曾我部ニキようやく出番!
254: 俊也:16/12/10(土)01:06:08 ID:Svx主 ×
「じゃが、こたびこそは・・・・・・・・男子として智勇を尽くさん!!」
東西手切れとなった今、恩顧ある太閤殿下の遺児、秀頼公に馳走し奉る機が訪れた!
京都所司代の監視を巧みにかいくぐり、彼もまた大坂を目指す・・・・・。
258: 俊也:16/12/10(土)01:15:00 ID:Svx主 ×
10月11日 家康は駿府を出立し、京都をまずは目指した。
江戸をのちに出立する秀忠の軍勢とあわせると総兵力20万の大軍である。
十数年ぶりの大戦に家康はいつになく若やいだ。そう側近は記している。
259: 名無し:16/12/10(土)01:15:30 ID:ASj ×
ここまで叩かれても止めないメンタル凄い(コナミ)
260: 俊也:16/12/10(土)01:16:41 ID:Svx主 ×
同時期、大坂城には大量の牢人が入城しつつあった。
兵数自体は10万にも達しつつあったが、その内実は玉石混淆であった。
金に釣られた者。
武芸者、兵法家として名を上げんとするもの。
御家再興の執念に燃えるもの。
キリシタンの信心の自由を守るために戦うもの。
純粋に豊家大事を願う者。
様々な者の思いを包含し、とにかく大坂城は徳川の大軍を迎え撃たんとしていた。
274: 俊也:16/12/11(日)00:49:41 ID:S3T主 ×
大坂城
牢人の中から主たるものを集めての軍議が、秀頼を前にして行われていた。
「籠城?籠城してどこからか援軍の来るアテがあるのですかな?」
大野治長にそう問うたのは、後藤又兵衛基次であった。
275: ↓俊也:16/12/11(日)00:50:55 ID:S3T主 ×
「浅野、福島、毛利・・・・・豊臣恩顧の大名たちに檄を飛ばして居る。いずれ・・・・・」
まだそんなことをいっているのか、という表情を又兵衛は浮かべた。
「いきなり籠城、という選択はいかがなものかと・・・・・・
城外にてまずは一戦し、わが方の武威を示してからでも遅くはありますまい」
そう発言したのは真田幸村である。
276: ↓俊也:16/12/11(日)00:53:40 ID:S3T主 ×
「城外で戦う・・・・・なんぞ策はおありなのか」
治長の問いに、幸村は大戦略を披歴した。
「まずは右府さまにご出馬願い、大本営を山城国の天王山におきまする。」
「な・・・・・・・」
「そのうえで、京を制圧。宇治瀬田川を守りの線として家康の西進をふせぎ、西国大名と関東の連絡線を断つのです。」
277: ↓俊也:16/12/11(日)00:57:36 ID:S3T主 ×
分断したうえで関東方を各個撃破し、おおいに豊臣家の武威をしめさば、西国大名は雪崩をうってこちらに味方するであろう。
ゆくゆくは日ノ本秋津洲の西半分を豊家が支配することにも繋がる。
幸村はそう言った。
278: ↓俊也:16/12/11(日)00:59:16 ID:S3T主 ×
秀頼の目にも光がこもる。
「おお、さすがは左衛門佐どの。この又兵衛も同感でござる。
さればそれがしが先陣を・・・・・・・・」
「なりませぬ!!」
279: ↓俊也:16/12/11(日)01:01:47 ID:S3T主 ×
それまで黙っていた淀殿が喚きだした
「右大臣家を戦場に出すことなど、相成りませぬ!!」
「母上、わたくしは・・・・・・・・」
「ならぬならぬ!もしそなたが城を開けて居る間に、家康の内応者が・・・・・
あの女の取り巻きどもが・・・・・城を乗っ取ってしまったらいかがするのです・・・・」
「いや、それは・・・・・・・」
「太閤殿下が精魂込めて作り上げたこのお城を信じなされ。出てはならぬ!そうであろう!?修理!」
「さ、さようでございますな、おのおの方も、ここは籠城一択ということでひとつ・・・・・・・」
又兵衛は無言で首を振り、幸村は無表情でうつむいた。
ただひとり、明石全登が、なにかを決意した目で秀頼を見やった
280: 名無し:16/12/11(日)01:03:28 ID:gw7 ×
や淀糞
281: ↓俊也:16/12/11(日)01:15:53 ID:S3T主 ×
翌日、大坂城内でではあるが、秀頼の閲兵を牢人たちは仰ぐこととなった。
さすがに、兵馬がひしめく中には淀殿は出てこられない。
閲兵が手じまいとなる間際に、明石が馬上の秀頼に向けかしずく。
「右府様。なにとぞ今後のご采配にお役立ていただけるよう、それがしなりに纏めさせていただいた、
兵法書を、何とぞお目同士いただきたく・・・・・・・」
「うむ・・・・・・後学のため、目を通すとしよう」
純粋な知的好奇心もあったのだろう、秀頼は自ら手を伸ばし、その書物を受け取った。
大野治長が咎めるような表情を浮かべそれを検閲しようとしたが、秀頼はさっさと懐にしまい込んでしまい、
それ以上の詮議はできなかった。
駿府城
「大御所様。なにも御自らが出陣なさることはありますまい。こたびの戦は
この秀忠が差配いたしますゆえ・・・・・なにとぞお任せを」
30代半ばになる息子の言葉に、徳川家康はかぶりをふった。
248: 俊也:16/12/10(土)00:52:02 ID:Svx主 ×
「大樹(秀忠)はそう申すが、やはりおせんや、婿の秀頼がかわいいのではないか?
城攻めをするのもためらわれるであろう。
ゆえにわしが代わって泥をかぶろうかと思っておるのだが。」
「め、めっそうもない。」
もともと、自身の凡庸、繊細という評判にコンプレックスを抱いている秀忠はむきになった。
「この秀忠、あすにも馬をすすめ大坂城をせめほろぼしてごらんにいれましょう!
娘とは縁がなかったものと思っておりまする!」
「ふむ・・・・・その覚悟があるなら、諸大名を大いに叱咤して出馬するがよい。
わしも後方から補佐する故・・・・・」
249: 俊也:16/12/10(土)00:53:24 ID:Svx主 ×
家康の、ひとつの誘導であった。
今後、秀忠の治世になることを考えれば
「寛容な家康、武断派の秀忠」の印象を諸大名や世間に植え付けておく必要がある。
そのうえで、自らの目の黒いうちに豊家をほろぼす。
秀忠があの信康のような器量人であれば、こんな気苦労をすることはないのだが・・・・・
かすかな苦々しさを、家康は感じていた。
250: 俊也:16/12/10(土)01:00:23 ID:Svx主 ×
京の相国寺本山
ここに「祐夢先生」と子供たちに慕われている男がいた。
251: 俊也:16/12/10(土)01:02:17 ID:Svx主 ×
寺子屋で少年少女たちを教えている男は、かつては大名であった。
元の名を長曾我部盛親という。
「関が原では、わしは愚かであった」
そういう鬱屈した思いを、かれはこの十数年間抱えていた。
吉川広家の寝返りに動揺し、流されるようにして戦場を離脱してしまったことである。
あのときは若く、老臣たちの一言一句に戸惑い、ついに家康本営への単独突撃を決断しきれなかった。
253: 名無し:16/12/10(土)01:05:22 ID:x64 ×
長曾我部ニキようやく出番!
254: 俊也:16/12/10(土)01:06:08 ID:Svx主 ×
「じゃが、こたびこそは・・・・・・・・男子として智勇を尽くさん!!」
東西手切れとなった今、恩顧ある太閤殿下の遺児、秀頼公に馳走し奉る機が訪れた!
京都所司代の監視を巧みにかいくぐり、彼もまた大坂を目指す・・・・・。
258: 俊也:16/12/10(土)01:15:00 ID:Svx主 ×
10月11日 家康は駿府を出立し、京都をまずは目指した。
江戸をのちに出立する秀忠の軍勢とあわせると総兵力20万の大軍である。
十数年ぶりの大戦に家康はいつになく若やいだ。そう側近は記している。
259: 名無し:16/12/10(土)01:15:30 ID:ASj ×
ここまで叩かれても止めないメンタル凄い(コナミ)
260: 俊也:16/12/10(土)01:16:41 ID:Svx主 ×
同時期、大坂城には大量の牢人が入城しつつあった。
兵数自体は10万にも達しつつあったが、その内実は玉石混淆であった。
金に釣られた者。
武芸者、兵法家として名を上げんとするもの。
御家再興の執念に燃えるもの。
キリシタンの信心の自由を守るために戦うもの。
純粋に豊家大事を願う者。
様々な者の思いを包含し、とにかく大坂城は徳川の大軍を迎え撃たんとしていた。
274: 俊也:16/12/11(日)00:49:41 ID:S3T主 ×
大坂城
牢人の中から主たるものを集めての軍議が、秀頼を前にして行われていた。
「籠城?籠城してどこからか援軍の来るアテがあるのですかな?」
大野治長にそう問うたのは、後藤又兵衛基次であった。
275: ↓俊也:16/12/11(日)00:50:55 ID:S3T主 ×
「浅野、福島、毛利・・・・・豊臣恩顧の大名たちに檄を飛ばして居る。いずれ・・・・・」
まだそんなことをいっているのか、という表情を又兵衛は浮かべた。
「いきなり籠城、という選択はいかがなものかと・・・・・・
城外にてまずは一戦し、わが方の武威を示してからでも遅くはありますまい」
そう発言したのは真田幸村である。
276: ↓俊也:16/12/11(日)00:53:40 ID:S3T主 ×
「城外で戦う・・・・・なんぞ策はおありなのか」
治長の問いに、幸村は大戦略を披歴した。
「まずは右府さまにご出馬願い、大本営を山城国の天王山におきまする。」
「な・・・・・・・」
「そのうえで、京を制圧。宇治瀬田川を守りの線として家康の西進をふせぎ、西国大名と関東の連絡線を断つのです。」
277: ↓俊也:16/12/11(日)00:57:36 ID:S3T主 ×
分断したうえで関東方を各個撃破し、おおいに豊臣家の武威をしめさば、西国大名は雪崩をうってこちらに味方するであろう。
ゆくゆくは日ノ本秋津洲の西半分を豊家が支配することにも繋がる。
幸村はそう言った。
278: ↓俊也:16/12/11(日)00:59:16 ID:S3T主 ×
秀頼の目にも光がこもる。
「おお、さすがは左衛門佐どの。この又兵衛も同感でござる。
さればそれがしが先陣を・・・・・・・・」
「なりませぬ!!」
279: ↓俊也:16/12/11(日)01:01:47 ID:S3T主 ×
それまで黙っていた淀殿が喚きだした
「右大臣家を戦場に出すことなど、相成りませぬ!!」
「母上、わたくしは・・・・・・・・」
「ならぬならぬ!もしそなたが城を開けて居る間に、家康の内応者が・・・・・
あの女の取り巻きどもが・・・・・城を乗っ取ってしまったらいかがするのです・・・・」
「いや、それは・・・・・・・」
「太閤殿下が精魂込めて作り上げたこのお城を信じなされ。出てはならぬ!そうであろう!?修理!」
「さ、さようでございますな、おのおの方も、ここは籠城一択ということでひとつ・・・・・・・」
又兵衛は無言で首を振り、幸村は無表情でうつむいた。
ただひとり、明石全登が、なにかを決意した目で秀頼を見やった
280: 名無し:16/12/11(日)01:03:28 ID:gw7 ×
や淀糞
281: ↓俊也:16/12/11(日)01:15:53 ID:S3T主 ×
翌日、大坂城内でではあるが、秀頼の閲兵を牢人たちは仰ぐこととなった。
さすがに、兵馬がひしめく中には淀殿は出てこられない。
閲兵が手じまいとなる間際に、明石が馬上の秀頼に向けかしずく。
「右府様。なにとぞ今後のご采配にお役立ていただけるよう、それがしなりに纏めさせていただいた、
兵法書を、何とぞお目同士いただきたく・・・・・・・」
「うむ・・・・・・後学のため、目を通すとしよう」
純粋な知的好奇心もあったのだろう、秀頼は自ら手を伸ばし、その書物を受け取った。
大野治長が咎めるような表情を浮かべそれを検閲しようとしたが、秀頼はさっさと懐にしまい込んでしまい、
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