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12 ルージュの提案
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[ もういいかしら ]
しばらく泣いて、落ち着いた頃。
ルージュがそう声をかけてきた。
「ゔん゙……」
[ あら酷い声。無理な我慢をしようとするからよ ]
そう、ぽいっとポーションを投げてくる。
いるかなと思ったけど、とりあえず飲んでおく。笑顔の圧が強い。
[ ひとまずアマリエは、そいつをテイムしちゃいなさい ]
「え゙」
[ 当たり前でしょう?モンスターなのよ?それ以外でどうやって保護するつもりだったの ]
当然のことのようにルージュが言う。
た、確かにそれが一番確実で安全だけど、倫理的にそれってどうなの?
私とバルファルドの場合、確実に多方面から批判されるわよ。最悪そのために私がバルファルドを、なんて言い出す奴が出てくる。というか絶対言うわ、あいつらが。
だけど実際のところ、それ以外にモンスターになってしまったバルファルドを討伐させない方法がない……。
[ 馬鹿ね、よく考えてみなさい?モンスターは一定条件下で進化するでしょう。テイムしてさっさとアンデッドから別種に進化させればいいの。そうすればある程度見た目が変わるはずだし、他人の空似で押し通すのよ ]
「はっ!?」
「ああ、その手があっ、たか」
「あんたはあんたでなんであっさり受け入れてんの!?」
ルージュったらさっきから合理的だけどむちゃくちゃなこと言ってるわよ!?
テイムも、進化もできれば色々なことを誤魔化せる。だけどそんな都合よくいかない。
大体人間からアンデッドになって、何に進化するっていうの?できない可能性の方がきっと高いわ。
進化に関してはまだまだ謎が多い。どうしてそこからそうなるんだ、っていう進化もある。
仮に。仮に進化できたとして、その時バルファルドの自我は……どうなるの?
「ルージュ、進化って言ったって、テイムしたモンスターが進化するかは運みたいなものでそれを成したテイムジョブ持ちは殆どいないわ。いくら私がマスターランクだからって、」
[ できるわよ。条件さえ満たせば。現にワタシはプリンセスに進化したんだもの ]
「……え」
[ ワタシは元々フェアリーよ。アナタが主人になったからワタシはフェアリー・プリンセスに進化できたの。だから、出来るわ ]
私が、ルージュを進化させた?
そんな、まさか。
だってルージュは出会った時から姿も何も変わっていなくて、魔術は……ある時期からいきなり色々使うようになったけど、元々フェアリーは魔術が得意な種族だし。だから、最初から正体を隠したフェアリー・プリンセスなんだって思ってたのに。
本当に、私が……?
「アマリエ。そのフェアリー、鑑定した、ら、フェアリー・プリンセス・ミラージュって、いう、変異種って出て、る」
[ あら無礼ね、勝手に鑑定して。今回はまあいいけど。いい?ワタシはアマリエに幻術を掛け続けたでしょう?その修練度が一定を超えたあたりで、それに進化できるようになったの。本当はもっと条件があったけど一番大きいのはそれ。だから、ワタシが進化したのは正真正銘アマリエのお陰よ ]
「私の……」
[ そう。だから決して望み薄ではないわ。ここには鑑定士もいるんだもの。大体どうなるかなんて後で考えればいいのよ。どうせ暫く学園とは無縁の生活になるのだし ]
「俺もそれ、でいい、と思う」
ルージュの言葉にバルファルドが賛同する。
あとは私次第だ。
僅かでも希望のある選択肢を取るか、それ以外を考えるか。
…………最大のネックは、残された時間が如何ほどあるか。
アンデッドは、時間経過で劣化していく。
だからあまり多くないことだけは確かで、選択肢に迷っている暇はない。
それなら――――選ぶのは、やっぱり一つしかない。
しばらく泣いて、落ち着いた頃。
ルージュがそう声をかけてきた。
「ゔん゙……」
[ あら酷い声。無理な我慢をしようとするからよ ]
そう、ぽいっとポーションを投げてくる。
いるかなと思ったけど、とりあえず飲んでおく。笑顔の圧が強い。
[ ひとまずアマリエは、そいつをテイムしちゃいなさい ]
「え゙」
[ 当たり前でしょう?モンスターなのよ?それ以外でどうやって保護するつもりだったの ]
当然のことのようにルージュが言う。
た、確かにそれが一番確実で安全だけど、倫理的にそれってどうなの?
私とバルファルドの場合、確実に多方面から批判されるわよ。最悪そのために私がバルファルドを、なんて言い出す奴が出てくる。というか絶対言うわ、あいつらが。
だけど実際のところ、それ以外にモンスターになってしまったバルファルドを討伐させない方法がない……。
[ 馬鹿ね、よく考えてみなさい?モンスターは一定条件下で進化するでしょう。テイムしてさっさとアンデッドから別種に進化させればいいの。そうすればある程度見た目が変わるはずだし、他人の空似で押し通すのよ ]
「はっ!?」
「ああ、その手があっ、たか」
「あんたはあんたでなんであっさり受け入れてんの!?」
ルージュったらさっきから合理的だけどむちゃくちゃなこと言ってるわよ!?
テイムも、進化もできれば色々なことを誤魔化せる。だけどそんな都合よくいかない。
大体人間からアンデッドになって、何に進化するっていうの?できない可能性の方がきっと高いわ。
進化に関してはまだまだ謎が多い。どうしてそこからそうなるんだ、っていう進化もある。
仮に。仮に進化できたとして、その時バルファルドの自我は……どうなるの?
「ルージュ、進化って言ったって、テイムしたモンスターが進化するかは運みたいなものでそれを成したテイムジョブ持ちは殆どいないわ。いくら私がマスターランクだからって、」
[ できるわよ。条件さえ満たせば。現にワタシはプリンセスに進化したんだもの ]
「……え」
[ ワタシは元々フェアリーよ。アナタが主人になったからワタシはフェアリー・プリンセスに進化できたの。だから、出来るわ ]
私が、ルージュを進化させた?
そんな、まさか。
だってルージュは出会った時から姿も何も変わっていなくて、魔術は……ある時期からいきなり色々使うようになったけど、元々フェアリーは魔術が得意な種族だし。だから、最初から正体を隠したフェアリー・プリンセスなんだって思ってたのに。
本当に、私が……?
「アマリエ。そのフェアリー、鑑定した、ら、フェアリー・プリンセス・ミラージュって、いう、変異種って出て、る」
[ あら無礼ね、勝手に鑑定して。今回はまあいいけど。いい?ワタシはアマリエに幻術を掛け続けたでしょう?その修練度が一定を超えたあたりで、それに進化できるようになったの。本当はもっと条件があったけど一番大きいのはそれ。だから、ワタシが進化したのは正真正銘アマリエのお陰よ ]
「私の……」
[ そう。だから決して望み薄ではないわ。ここには鑑定士もいるんだもの。大体どうなるかなんて後で考えればいいのよ。どうせ暫く学園とは無縁の生活になるのだし ]
「俺もそれ、でいい、と思う」
ルージュの言葉にバルファルドが賛同する。
あとは私次第だ。
僅かでも希望のある選択肢を取るか、それ以外を考えるか。
…………最大のネックは、残された時間が如何ほどあるか。
アンデッドは、時間経過で劣化していく。
だからあまり多くないことだけは確かで、選択肢に迷っている暇はない。
それなら――――選ぶのは、やっぱり一つしかない。
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