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21 犯人の供述(別視点)
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判明した犯人は、アマリエと仲の良いテイマーの教師だった。
実習先から帰還した彼はとても落ち着いた様子で、自らの罪を認めているらしい。
聞き取りにも積極的で、あっさりと話した行動の理由は――――アマリエを守るため、というもの。
曰く、とある生徒達がアマリエを手籠めにし、殺害する計画を立てていた。
それにバルファルド・フランセルの兄らも手を貸し協力していたという。
もっと言えば彼らが計画を焚き付けていた、と。
最終的にはバルファルド・フランセルの兄らがフランセル公爵家でアマリエを囲ってバルファルド・フランセルへの人質に使うつもりでいるようだ、と。
偶然それを知ってしまった彼は脅されて協力させられていたそうだ。殆ど平民としか言えない貴族位しか持たない自分では公爵家には逆らえず、どうしようもなかったと言う。
「彼女が人質なら、どうしてバルファルド・フランセルは死んだんだい?」
問うと、彼は恐らくバルファルド・フランセルを排除したい何者かが動いた結果だろうと答えた。
この計画にはアマリエに嫌がらせをしたい者とバルファルド・フランセルに嫌がらせをしたい者が協力していたが、一枚岩ではなかったから、と。アマリエに嫌がらせをしたい者がやったんだろうと言う。
本当にそうだろうか?
どう考えても兄らの計画の方が両方へ悪辣な嫌がらせになる。実に貴族らしい、対象を踏み躙り尊厳を破壊するものだ。
何かあるな。と更に聞き取りを続けさせると、思った通り殺害したのは自分だと白状した。
テイムしたアンデッドを森に待機させておき、襲わせたと。
彼は、アマリエを一人の女性として好いていた。
だからバルファルド・フランセルを妬んでいたし嫌っていたから、その行動に躊躇はしなかった。
バルファルド・フランセルが死ねば兄らの方の計画は崩せる。アマリエを守れる。何より邪魔者を消せる!と、ぐちゃぐちゃになりながらも狂ったように笑って声を張り上げて見せた。
…………ここまでかな。
証言としては十分だ。
同じ室内に居る者達に指示を出し、踵を返す。
後回しにはできないやらなければならないことが沢山ある。
相手が相手だから、後手に回るのはあまりよくない。
誰も彼も、どうして思うように動かないのか。馬鹿だからかな?
まあ、いい。もう結果は変わらない。
彼らが誰に刃を向けたのか、きっちり思い知らせないと。
そう考えながら部屋を出ようとドアノブに手を掛けた、その時だ。
「王弟殿下!どうかフランセル公爵家を潰してください!公爵は何かを企んでいる!だからあいつらは行動を――――っぐ?!」
「話はこちらで聞きますので」
喚く男が取り押さえられるのを一瞥し、部屋を出た。
そんなこととっくに知っている。
全く困った男だよ。
こっちの指示通りにしておけば良かったものを。
これで公爵家を罰しない訳にはいかなくなった。適当に尻尾切りでは終われない。
あとこの男の首が物理的に落ちることも決まった。
どうして、こう……手間がかかる方に進むんだろうか。
面倒だな。こっちだって忙しいのに。
「にしても、アンデッド、か……」
本当に、残酷なことをしてくれたものだ。
アンデッドに殺された者は、アンデッドになる可能性が高い。
あの子は、大丈夫だろうか。
実習先から帰還した彼はとても落ち着いた様子で、自らの罪を認めているらしい。
聞き取りにも積極的で、あっさりと話した行動の理由は――――アマリエを守るため、というもの。
曰く、とある生徒達がアマリエを手籠めにし、殺害する計画を立てていた。
それにバルファルド・フランセルの兄らも手を貸し協力していたという。
もっと言えば彼らが計画を焚き付けていた、と。
最終的にはバルファルド・フランセルの兄らがフランセル公爵家でアマリエを囲ってバルファルド・フランセルへの人質に使うつもりでいるようだ、と。
偶然それを知ってしまった彼は脅されて協力させられていたそうだ。殆ど平民としか言えない貴族位しか持たない自分では公爵家には逆らえず、どうしようもなかったと言う。
「彼女が人質なら、どうしてバルファルド・フランセルは死んだんだい?」
問うと、彼は恐らくバルファルド・フランセルを排除したい何者かが動いた結果だろうと答えた。
この計画にはアマリエに嫌がらせをしたい者とバルファルド・フランセルに嫌がらせをしたい者が協力していたが、一枚岩ではなかったから、と。アマリエに嫌がらせをしたい者がやったんだろうと言う。
本当にそうだろうか?
どう考えても兄らの計画の方が両方へ悪辣な嫌がらせになる。実に貴族らしい、対象を踏み躙り尊厳を破壊するものだ。
何かあるな。と更に聞き取りを続けさせると、思った通り殺害したのは自分だと白状した。
テイムしたアンデッドを森に待機させておき、襲わせたと。
彼は、アマリエを一人の女性として好いていた。
だからバルファルド・フランセルを妬んでいたし嫌っていたから、その行動に躊躇はしなかった。
バルファルド・フランセルが死ねば兄らの方の計画は崩せる。アマリエを守れる。何より邪魔者を消せる!と、ぐちゃぐちゃになりながらも狂ったように笑って声を張り上げて見せた。
…………ここまでかな。
証言としては十分だ。
同じ室内に居る者達に指示を出し、踵を返す。
後回しにはできないやらなければならないことが沢山ある。
相手が相手だから、後手に回るのはあまりよくない。
誰も彼も、どうして思うように動かないのか。馬鹿だからかな?
まあ、いい。もう結果は変わらない。
彼らが誰に刃を向けたのか、きっちり思い知らせないと。
そう考えながら部屋を出ようとドアノブに手を掛けた、その時だ。
「王弟殿下!どうかフランセル公爵家を潰してください!公爵は何かを企んでいる!だからあいつらは行動を――――っぐ?!」
「話はこちらで聞きますので」
喚く男が取り押さえられるのを一瞥し、部屋を出た。
そんなこととっくに知っている。
全く困った男だよ。
こっちの指示通りにしておけば良かったものを。
これで公爵家を罰しない訳にはいかなくなった。適当に尻尾切りでは終われない。
あとこの男の首が物理的に落ちることも決まった。
どうして、こう……手間がかかる方に進むんだろうか。
面倒だな。こっちだって忙しいのに。
「にしても、アンデッド、か……」
本当に、残酷なことをしてくれたものだ。
アンデッドに殺された者は、アンデッドになる可能性が高い。
あの子は、大丈夫だろうか。
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