魔王の膝の上は、静かすぎる

かつて人として“守れなかった”男がいた。
すべてを失ったその日、彼は感情を捨てることを選び、やがて“魔王”ヴェイルとなる。
彼の魔界は、静かで、広く、何もない。
そんな世界に現れたのは、かつて“救えなかった”過去を持つ元聖女、セレナ。
不完全な力しか持たない彼女は、魔王の暴走を抑えるために選ばれた。
触れるだけで、彼の力は静まる。
けれどそれは同時に、彼を“変えてしまう”ことでもあった。
感情を持たないはずの魔王と、自分の無力さに怯える少女。
二人は、近づくほどに“壊れるかもしれない距離”にいた。
やがてセレナは決断する。
――もう、壊したくない。
彼を守るために、自ら離れることを選ぶ。
残された魔王は、初めて知る。
“必要だったものが、なくなった”という感覚を。
再び出会ったとき、二人は初めて“選ぶ”。
それは命令でも、依存でもない。
ただ、自分の意思で隣にいるという選択。
失った者同士が、同じ傷を抱えながらも違う答えに辿り着き、またひとつになる物語。《膝の上シリーズ》《イチャあり》
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