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しおりを挟むそれからというもの、万が一に備えての話をすることもあった。
実際は万が一、ではなく8割方バレることに備えて、だが。
「王家がルドルフの存在を知ると、泣き落としか半ば脅しかでここから連れ去るだろう。
そうなったらどうする?」
「ここに居たいけれど、僕を本当に望むのであれば仕方ないよね。
だけど、父上と母上と自由に会えるようにはしてほしいかな。」
「……そうだな。」
ディアンヌはともかく、フランクは会わせてもらえるかは疑問だ。
というか、まさかディアンヌまで連れ去ったりしないだろうな?
そんなことになると、俺は毎日寂しくて泣くぞ?
……いや、ディアンヌが妃になることはないか?そんな面倒な立場を受けるはずはない。
デルード伯爵家を継ぐ養子も考える必要があるだろうな。
親戚が少ないから、探し出すのも大変だ。
「ディアンヌは殿下の妃ではない。だからお前の産まれは非難される可能性がある。
辛い言葉を言われるかもしれないが、我慢できるか?」
「気にしないよ?歴代の王家や貴族の家系図を見ても、庶子が継いでいるところは多い。
母上は伯爵家の出でしょ?平民だと非難の声は多いかもしれないけど貴族だし。
子供が多いとその母親と全員結婚することはできないし、うちみたいに育ての父親の場合もあるし。
どこの家系も由緒正しいと言われる血筋が本当に続いているかは怪しいよね。」
……その通りだ。
この子は本当にまだ9歳なんだろうか。
今まで、子供らしく振る舞っていたのかもしれないとフランクは思った。
そしてとうとうルドルフと王太子殿下が間近で会うことになるオリアナ王女殿下の誕生日パーティーの招待状が届いたのだ。
王族は大体8歳~10歳の誕生日で婚約者や友人候補となる令息令嬢を招くと決まっている。
数年かけて相性を見ていくのだ。
ウィルベルト王太子殿下の場合は隣国からの打診で早くに決定してしまったが。
公爵家と侯爵家の令息令嬢だけが招かれることを期待していたが、王女の年齢に合う令息令嬢が少なかったのだろう。
伯爵家からも招待されることになり、デルード伯爵家も招かれてしまった。
いつまでも逃げるわけにはいかなかった。
気づかれない可能性もあるのだ。
ルドルフにも友人は必要だし。
ディアンヌはルドルフが目立たないように目元を隠す髪型を考えたり、ソバカスがあるようにメイクしたらどうかとブツブツ言っていた。
「ディアンヌ、それ、返って目立つと思うよ?」
「そう?……そうね。だったら堂々としている方が目立たないかもしれないわね。
高位貴族ばかりだもの。みんな、自信に溢れた子ばかりだと思うわ。」
……いや、それはどうだろう。甘やかされて、のほほんとした子が増えていると聞くが。
こうして、地味でもなく派手でもない格好でオリアナ王女殿下の誕生日パーティーに出席し、注目を浴びるという結果になってしまったのだ。
主にルドルフだが………違う意味でディアンヌも、フランクも。
ディアンヌの『他人の空似』で突き通す作戦は成功するはずもなかった。
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