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しおりを挟む学園に戻ったランドールは、跡継ぎじゃなくてもケイトリンは自分を選んでくれると思っていた。
王太子の愛妾になるより、自分と結婚した方が幸せになれるはずだと。
そして、公開プロポーズをした。
そこに『待った』をかけたのが、他の3人。
もちろん、3人もケイトリンにプロポーズをした。
4人の男に跪かれてプロポーズされたケイトリンは感激していた。
周りは少し離れたところから、この結末を見届けようと面白がっていた。
その時、男が一人5人のもとへと向かっており、周りは新たな立候補者かと思っていた。
男はケイトリンの前に立ち、『満足したかい?』と言ったように聞こえた。
そして、懐から短剣を取り出すとケイトリンを刺した。
周りが驚いているうちに素早く3か所刺した男は、倒れるケイトリンを受け止めてキスをした。
我に返ったディックやハンクが男をケイトリンから引き離したが、既に遅かった。
ケイトリンは、最後に刺した男を見て、微笑んで死んだ。
ケイトリンを刺殺した男は、男爵令息パーシー。ケイトリンの幼馴染だと言った。
取り調べにはしっかりと応じた。
刺した理由は?
「責任を取りました。」
責任とは?
「令息方を巻き込んだ責任です。」
ケイトリンは君の婚約者ではないよね?なぜ君に責任が?
「きっかけを作ったのが僕だからです。」
君は、令息たちがケイトリンに夢中になった理由を知ってる?
「はい。」
教えてくれるかな?
「魅了の魔道具のせいです。」
魅了?4人には魅了の痕跡が見当たらなかったと報告があるけど?
「古代魔術による魅了です。」
古代魔術か。つまり、今の魔術と違うから痕跡として残らないということ?
「そうだと思います。」
その魔道具はケイトリンが持ってる?
「はい。右足首にアンクレットがあります。もう取ることが出来るはずです。」
ん?簡単に取れないの?
「はい。術が発動すると、装着者が死ぬまで取れません。」
きっかけが君だと言ったけど、アンクレットをあげたのが君ってこと?
「そうです。異国で僕が手に入れました。」
発動方法は?
「アンクレットの飾りに自分の血を垂らします。そして装着する。
魅了したい相手に触れ、目を見て3秒ほど念を込めるといいそうです。」
そんな簡単なら魅了し放題じゃないか。恐ろしい魔道具だな。
「対価があります。装着者の寿命。1人魅了する毎に1年~3年だそうです。」
1年~3年。それは魅了の程度によるってことか?
「おそらくは。あの4人のうち3人は3年の寿命で1人が2年だと思います。
あと前にもう1人いた人は逃れたみたいなので1年ですかね。
なので5人で12年はケイトリンの寿命は減ったのだと思います。
あ、効果を試した人が領地にいて、その人の分が1年。
合計13年減りましたが、今日で関係なくなりました。」
パーシーは淡々と語る。
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