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しおりを挟む侯爵令嬢であるリュゼットは15歳。
両親と2歳上の姉ミーガンと2歳下の弟トマスの5人で暮らしている。
姉には公爵令息ブルームという1歳上の婚約者がいる。彼は……私にうるさい。
ブルームが姉の婚約者になったのは2年前。
その頃は、爽やかで優しくてかっこいいお義兄様ができると嬉しかった。
だけど、あれは私に婚約者ができる直前、ブルームが姉の婚約者になって半年経った頃のこと。
父が何気なく、ある侯爵令息と私の婚約が纏まりそうだと婚約の話題を出した。
すると、ブルームは大反対。『その令息は密かに女好きだからリュゼットは幸せになれない』と。
初めは嬉しかった。家の繋がりじゃなくて義理の妹になる私の幸せを考えてくれて。
だけど…そこから何件もダメ出しされると、さすがに父もうんざりよね。
その様子を見て、『リュゼットの結婚相手は私が見つけてくる』とブルームが言い出した。
そして15歳になった今も私にはまだ婚約者がいない………
「ねぇ、ブルーム様。私は今年、学園に入学するの。婚約者は学園で私が探してもいい?」
「ダメだ。リュゼットの可愛い見た目に寄って来る男なんて碌なのがいない。
学園ではあまり男と話すなよ。勘違いする奴もいるからな。」
「だけど、話してみないとどんな方なのかはわからないわ?
ブルーム様が探してくれる方だって話が合うかもわからないし。」
「大丈夫だ。私が認めた男ならリュゼットも気に入るはずだ。」
だからその根拠は何?それに認めた男はいつ紹介できるの?
ブルーム様に任せていたら、適齢期を逃しそうで怖いんですけど?
ちなみにこの場には姉のミーガンもいるのだけれど、口を挟むことなくお茶を飲んでいる。
お姉様、もう援護してくれる気力を無くしてしまったのね……
優しい姉は、何かと私に対して口うるさいブルーム様からさりげなく助けてくれていたんだけど。
それに、なぜ私は婚約者同士のお茶会にいつも呼ばれるの?
二人きりで楽しめばいいじゃないの。
「ブルーム様、いつも我が家でお茶ばかりですけど、姉とどこかデートに行ったらどうです?」
私のその言葉に、目を見開いて驚いたのは姉。…何か変なこと言ったかしら?
ブルーム様は何かブツブツ言っている。私の相手?見つからないんでしょ?
「あと一年と少しで結婚ですよね。
今のうちに楽しみたいこともあるんじゃないですか?
結婚式の準備とかもそろそろ始まりますよね?
それに、結婚後も忙しくなるのではないですか?
姉も次期公爵夫人として、女主人として覚えることもあるでしょうし。」
「気遣ってくれてありがとう。リュゼット。
もうすっかりこの状況に慣れてしまっていたわ。
そうね、あまり時間もなくなってきたのね。」
姉を悲しませるなんて、私はひどい妹だと思った。もうブルーム様の呼び出しには応じないわ!
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