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しおりを挟むそして、ジュゼットとカイトの結婚式の日になった。
家族は兄夫婦だけ。
後は、屋敷の侍女や領地管理の仕事仲間、取引先などのほぼ顔見知りの者たちが集まって祝福してくれた。
屋敷でも使用人も集めてパーティーを終えた後、今日から2人で過ごす寝室に入った。
「ジュゼット、もし少しでも抵抗があるのなら初夜は待つよ?」
「……いえ、大丈夫です。私はカイ様が好きです。ちゃんと夫婦になりたい。」
「うん。愛してるよ、ジュゼット。君と家族になれて嬉しいよ。」
カイトは知らないけれど、目隠しをされて手も固定され、一方的に体を触られた行為は、結局不快でしかなかった。
見つめ合って、抱きしめ合っての愛し合う行為とは全然違う。
受け入れたくて中が潤う。
それは、やはり愛する人が相手だから。
ジュゼットは幸せな気持ちで初夜を終えることができた。
そして数か月後、ジュゼットは妊娠した。
愛するカイトとの子供が出来て、シュゼットは今度こそ我が子に会えることが楽しみだった。
カイトとは子供をどうするか話し合ったことはなかった。
だけど、初夜で避妊するかどうかを聞かれなかったということは、カイトは子供が出来ても構わないと思っているんだと解釈した。
そしてジュゼットも、結婚と出産を諦めたつもりだったのに、結婚したからにはカイトの子供を授かれたら嬉しいと思っていたから。
しかし、気がかりなこともある。
それは領地に帰ってきてからすぐに思ったこと。
兄夫婦には子供がいない。もう2人とも26歳になろうとしている。
聞きたくても聞けなかった。
とても仲の良い兄夫婦が、跡継ぎのことをどう考えているのか。
私が先に妊娠してしまって、問題なかったのだろうか。
その不安は、義姉からの言葉で消えることになった。
「ジュゼット、おめでとう!」
「ありがとうございます。お義姉様。」
「私も一緒に子育てさせてくれる?子供は産めないみたいなの。
ルミオスと別れることも考えたけど……お互いに無理だったわ。
養子も考えていたけれど、この子の方が跡継ぎに相応しいし。
あら。カイトさんが婿入りしたのはそれを踏まえてのことだったのかしら。」
コールマン家の跡継ぎを産むことになるかもしれないから。
カイトの婿入りの理由がわかった気がした。
私が、子供を産む気はないと言うかもしれないと考えて、跡継ぎの話はカイトも兄もしなかったのだ。
私の気持ちを優先で、追い込むようなことは言わないようにしていたということ。
みんなのその気遣いが、とても嬉しかった。
「この子は父親が2人に母親が2人、いることになるわね。」
義姉と共に笑い合った。
お腹の子供は順調に成長していた。
予定日まであと3か月という頃、カイト宛に手紙が届いた。
『カイト・コールマン』宛に『セバス』から。
「あのセバス、だよな?今更何だ?」
「口外禁止の契約、守っているわよね。それより、私たちが結婚したことがわかってるわ。」
「まあそれは、どちらかを調べようと思ったら繋がったんじゃないかな。」
どちらか、ではない。ジュゼットを調べたんだ。
カイトを調べてもわかるわけがない。
例え、籍がグレンジャーにあったままだとしても、本人がどこで働いているのか探すのは大変だ。
ジュゼットに用があったか、まだ貴族でいるかを調べたか。
そうしたら結婚していることがわかり、相手が僕だったということだろう。
なのに、ジュゼット宛ではなくカイト宛。
嫌な感じしかしないんだけど………
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