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12.石化した原因
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コンコンッ
今は夜中という程ではないが、街が酔っぱらいで賑わっている時間ではある。
その為、あの少女が起きているかは心配な部分があった。
ガチャと静かに扉が開いた。
そこには疲れ果てた顔をした少女。
ミリアはおもわず、抱きしめた。
こんなに辛そうな子供を見ていたらそうなるよな。俺もこんな身体じゃなきゃ優しく抱きしめてあげられるんだけど。
痛いだろうからね。骨だし。
「大丈夫? ララちゃん?」
「うん。どうして名前?」
「薬作ってくれたおばあちゃんに聞いたんだ。お母さんに早く薬を飲ませよう?」
「薬……作れたの?」
「えぇ。どこに寝ているの?」
奥に案内してくれた。
扉を開けると頭以外はほぼ石化している。
こりゃ危なかったな。
急いで正解だった。
「それじゃあ、お母さんに飲ませるね?」
「うん」
心配そうな顔をしている。
そりゃそうだよな。
冒険者の持ってきた得体の知れない薬だ。
ましてや俺達はララちゃんのことを何もしらない。しかも、無報酬で気持ちよくミリアが請け負っているというイマイチ、信用できる要素がない。善意だけで受けてるからな。
リーフさんの口に作ってもらった小瓶の中身を流し込む。
ゴクッゴクッと飲んでいく。
「はぁ。飲んでくれてよかった」
ミリアが安堵しているとリーフさんの体が仄かに光出した。
暗い室内でリーフさんから放たれた光が俺達の顔を照らし出す。
ララは悲痛な顔で見ていた。
助かるか心配だよな。
「大丈夫。きっと大丈夫」
ミリアは「大丈夫」と言い聞かせながら両手を握りしめて祈っていた。
パキッとリーフさんの体から音が聞こえた。
続けてパキパキッと鳴ったかと思うとポロポロと身体中の石が剥がれ始めた。
「お母さん……おかあさん!」
ララちゃんが縋り付き揺する。
すると、スゥッとゆっくりと目を覚ました。
「ララ?」
「おかあさん! よかった! 良かったよぉぉぉ! うぅぅぅぅ」
ララちゃんは泣きじゃくりながらリーフさんの胸に顔を埋めている。
良かったなぁ。
ララちゃん。
「グスッ」
横には感動しているミリア。
涙を流しながら親子の感動的な場面を眺めている。
ミリアが依頼を受けなければ、この感動の場面は悲劇の場面に変わっていたかもしれなかったんだ。
感動の場面になったのは紛れもない、ミリアの力だ。無報酬なのにあんなに気持ちよく依頼の受けれる冒険者なんぞ居ないだろう。
「よがっだっ」
ミリア、顔グシャグシャだぞ?
可愛い顔が台無しだけど、俺も感動してるから同じようなもんか。
「カカカカカカ」
「うるさいよ。ナイル?」
またしても怒られた。
感動してもどっかの骨が鳴るんだな。
俺の体。骨なんですよ。
うるさくても仕方なく無いですかね?
「あなた方は?」
「あっ! すみません! 私はミリア、こっちはナイルと言って、私のテイムモンスターです! ララちゃんからの依頼を受けて、リーフさんを治すために薬をご用意しました」
リーフさんは目を見張った。
依頼をララが出せたことに驚いているのか。
「あれ? でも、依頼って、最低でも銅貨が必要ですよね? ウチは貧乏だから、鉄貨しか……」
「えぇ。ララちゃんの依頼はギルドは通してません。私が依頼を受けたかったので、無償で受けました! でも、石化用の薬を売れるそうで、余分に採ってきたミストン花を薬に変えてもらったんです。それで、充分です!」
コクリと俺も頷く。
ウチとしてはそれも無いものだと思っていたから儲けもんだった。
だから、寧ろプラスなんだ。
「そうですか。ご迷惑をお掛けしました」
横になりながらも頭を下げてくる。
「いえいえ! それより、お婆さんからなんか不穏なことを聞いたんですけど」
「何でしょう?」
「何者かに薬を盛られたとか? 石化病はなかなか自然に発症することはないそうですね。なぜなら、この石化病は石化病を患った何かの体液を飲むことでしか感染しないから」
そうらしいな。
お婆さんからこっそり聞いておいたんだよな。
「でも、これを話すとあなた達も襲われますよ? 」
いや、寧ろこっちに引きつけよう。
「大丈夫です。私には強いナイト様が居ますから!」
「あらあら。お熱いわねぇ。素敵」
いやー。それ程でも。
後頭部の辺りを無造作に掻いていると照れ隠しのように見えてしまったようで。
「別におばちゃんに見せびらかしてもいいのよ?」
誰がおばちゃん!?
「で、一体誰なんです?」
ナイス! ミリア!
話をそらそう。
「あれはこの街の領主の使いの者だと思います。その方と片目に傷を負っていてゴロツキのような格好をした者がこの裏の通りでコソコソ話をしていたんです」
「なるほど。話の内容は聞いた?」
「はい。少しだけですけど。聞き取れたのは『こども』というワードと『うる』というワードです」
なるほどな。
それは聞き捨てならないな。
「それはゲスな事を考えていそうですね」
「でしょ? 咄嗟に隠れたんですけど。見られていたんですね。その後に買い物に行って少し目を離した隙に飲み物に薬を入れられたんでしょう。変な味がするなぁと思ったんですけど。気付いた時にはもう石化が始まってしまって……」
「わかりました! 私が阻止します!」
まぁた厄介な事に首突っ込むんだな。
「子供の誘拐なんて、させない!」
誘拐かはまだわかんないけどな。
「わかんないけど!」
今は夜中という程ではないが、街が酔っぱらいで賑わっている時間ではある。
その為、あの少女が起きているかは心配な部分があった。
ガチャと静かに扉が開いた。
そこには疲れ果てた顔をした少女。
ミリアはおもわず、抱きしめた。
こんなに辛そうな子供を見ていたらそうなるよな。俺もこんな身体じゃなきゃ優しく抱きしめてあげられるんだけど。
痛いだろうからね。骨だし。
「大丈夫? ララちゃん?」
「うん。どうして名前?」
「薬作ってくれたおばあちゃんに聞いたんだ。お母さんに早く薬を飲ませよう?」
「薬……作れたの?」
「えぇ。どこに寝ているの?」
奥に案内してくれた。
扉を開けると頭以外はほぼ石化している。
こりゃ危なかったな。
急いで正解だった。
「それじゃあ、お母さんに飲ませるね?」
「うん」
心配そうな顔をしている。
そりゃそうだよな。
冒険者の持ってきた得体の知れない薬だ。
ましてや俺達はララちゃんのことを何もしらない。しかも、無報酬で気持ちよくミリアが請け負っているというイマイチ、信用できる要素がない。善意だけで受けてるからな。
リーフさんの口に作ってもらった小瓶の中身を流し込む。
ゴクッゴクッと飲んでいく。
「はぁ。飲んでくれてよかった」
ミリアが安堵しているとリーフさんの体が仄かに光出した。
暗い室内でリーフさんから放たれた光が俺達の顔を照らし出す。
ララは悲痛な顔で見ていた。
助かるか心配だよな。
「大丈夫。きっと大丈夫」
ミリアは「大丈夫」と言い聞かせながら両手を握りしめて祈っていた。
パキッとリーフさんの体から音が聞こえた。
続けてパキパキッと鳴ったかと思うとポロポロと身体中の石が剥がれ始めた。
「お母さん……おかあさん!」
ララちゃんが縋り付き揺する。
すると、スゥッとゆっくりと目を覚ました。
「ララ?」
「おかあさん! よかった! 良かったよぉぉぉ! うぅぅぅぅ」
ララちゃんは泣きじゃくりながらリーフさんの胸に顔を埋めている。
良かったなぁ。
ララちゃん。
「グスッ」
横には感動しているミリア。
涙を流しながら親子の感動的な場面を眺めている。
ミリアが依頼を受けなければ、この感動の場面は悲劇の場面に変わっていたかもしれなかったんだ。
感動の場面になったのは紛れもない、ミリアの力だ。無報酬なのにあんなに気持ちよく依頼の受けれる冒険者なんぞ居ないだろう。
「よがっだっ」
ミリア、顔グシャグシャだぞ?
可愛い顔が台無しだけど、俺も感動してるから同じようなもんか。
「カカカカカカ」
「うるさいよ。ナイル?」
またしても怒られた。
感動してもどっかの骨が鳴るんだな。
俺の体。骨なんですよ。
うるさくても仕方なく無いですかね?
「あなた方は?」
「あっ! すみません! 私はミリア、こっちはナイルと言って、私のテイムモンスターです! ララちゃんからの依頼を受けて、リーフさんを治すために薬をご用意しました」
リーフさんは目を見張った。
依頼をララが出せたことに驚いているのか。
「あれ? でも、依頼って、最低でも銅貨が必要ですよね? ウチは貧乏だから、鉄貨しか……」
「えぇ。ララちゃんの依頼はギルドは通してません。私が依頼を受けたかったので、無償で受けました! でも、石化用の薬を売れるそうで、余分に採ってきたミストン花を薬に変えてもらったんです。それで、充分です!」
コクリと俺も頷く。
ウチとしてはそれも無いものだと思っていたから儲けもんだった。
だから、寧ろプラスなんだ。
「そうですか。ご迷惑をお掛けしました」
横になりながらも頭を下げてくる。
「いえいえ! それより、お婆さんからなんか不穏なことを聞いたんですけど」
「何でしょう?」
「何者かに薬を盛られたとか? 石化病はなかなか自然に発症することはないそうですね。なぜなら、この石化病は石化病を患った何かの体液を飲むことでしか感染しないから」
そうらしいな。
お婆さんからこっそり聞いておいたんだよな。
「でも、これを話すとあなた達も襲われますよ? 」
いや、寧ろこっちに引きつけよう。
「大丈夫です。私には強いナイト様が居ますから!」
「あらあら。お熱いわねぇ。素敵」
いやー。それ程でも。
後頭部の辺りを無造作に掻いていると照れ隠しのように見えてしまったようで。
「別におばちゃんに見せびらかしてもいいのよ?」
誰がおばちゃん!?
「で、一体誰なんです?」
ナイス! ミリア!
話をそらそう。
「あれはこの街の領主の使いの者だと思います。その方と片目に傷を負っていてゴロツキのような格好をした者がこの裏の通りでコソコソ話をしていたんです」
「なるほど。話の内容は聞いた?」
「はい。少しだけですけど。聞き取れたのは『こども』というワードと『うる』というワードです」
なるほどな。
それは聞き捨てならないな。
「それはゲスな事を考えていそうですね」
「でしょ? 咄嗟に隠れたんですけど。見られていたんですね。その後に買い物に行って少し目を離した隙に飲み物に薬を入れられたんでしょう。変な味がするなぁと思ったんですけど。気付いた時にはもう石化が始まってしまって……」
「わかりました! 私が阻止します!」
まぁた厄介な事に首突っ込むんだな。
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