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57.決闘開始
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ミリアを指差して決闘だと宣言したお嬢様スケルトンだったが。なにで決闘するんだ?
『トウカ様! 決闘なんて何事でございますか!? お止め下さい!』
『爺や! 私の言うことに文句があるんですの!? フンッ! ナイル様を手に入れるためですわ!』
『そのように婚約者を力ずくで手に入れていったい何になるんです? この方達を引き離してまでしてやる事ですか?』
その諭すような言葉で、爺やはなんとかお嬢様を落ち着かせようとしている。
お嬢様は下を俯いて口ごもってしまった。
この貴族の人達は貴族とはなんたるか。という考えを自分たちで持っている人達なのだろうな。そう感じた。
「その決闘受けて立つわ!」
腰に手を当てて胸を張りトウカを指さしてそう宣言した。
でたよ。せっかく話が纏まりかけてたのにややこしい話になるじゃないか。
『ミリア?』
「いいからナイルは黙って! これはそこのお嬢様と私の間の話よ! そうでしょ!? そこの爺やも黙ってて!」
ミリアは爺やと呼ばれた執事までもそんな扱いをしてしまう。
爺やは表情は分からないがなんだか凄く嬉しそうな優しい雰囲気で下がって後ろに控えた。
任せてくれるってことだろうか。
ミリアはこういう時に完全に自分のペースに人を巻き込んでいく人だ。
それは良い時と悪い時があると思う。
今回は相手が多分子供のスケルトン。
だから、こういう対応の方がもしかしたらお嬢様は嬉しいのかもしれない。
『言ったわね!? 逃げないでよ!?』
「逃げないわ! なんだってやってやるわよ!」
『貧弱な人族には力比べで勝負よ!』
人族の人達は筋肉をつけないと重いものを持ったり、力を発揮したりは出来ないだろう。
だが、俺たちのような魔力で運用されている生き物は違う。
魔力の質、量で決まる。
勿論、人族も身体強化をすれば力を発揮出来る訳だが。
俺達のような魔族と呼ばれる者の身体は魔力伝導率が全然違うのだ。
人族の身体は魔力で出来ているわけではない。皆さんご存知の通り血と肉と骨と神経等でできている。
魔族は何で出来ているのか。
魔物の生まれる過程を思い出して欲しい。
魔力と魔力が混じりあって体を整形するのだ。
ということは、魔力でできていると言っても過言ではないだろう。
こうした身体のつくりの関係もあって人族は弱いとされている。
魔族は魔力で力を発揮し、獣人達は発達した筋肉で力を発揮する。
中途半端な人族は弱い。
そういう共通認識になるわけなのだ。
「望むところよ!」
自信満々のミリアだが、何か勝ち目があってそう言っているのだろうか。
『ここではなんだから、家に行きましょう?』
「えっ? 家?」
『ここは往来の場ですので。助けていただいたお礼もしたいですし、是非ハッコツ家においで下さい』
プッ。危ない危ない。
吹き出すところだったよ。
まさかスケルトン族の家名がハッコツだったとはまんま過ぎて面白い。
何か転生者の思惑とかがはたらいているんでは無いかと思ってしまうな。
『あっ、あぁ。では行こうか』
俺はなんとか笑うのを堪えて案内に従って歩いていく。
道中気になったことをミリアに聞いてみた。
『なぁ、ミリア? なんでそんなに自信満々なんだ?』
「決まってるじゃない! あんなほっそい子になんか負けないわよ!」
まさかの見た目重視の自信だった。
『あのな、それで言ったら俺も弱いわけじゃん? でも、自分で言うのもなんだけどドラゴンには負けないくらい強いわけだよな?』
「まぁ、そうね。ナイルだからね」
『でもさ、その理屈だと見た目関係ないだろ?』
「それはそうだけど大丈夫よ! 今の私はねぇ、そんなに弱くないんだ! 見た目に反してね!」
そのウインクはまた俺の胸をドキドキさせる。
胸の炎が動揺で揺らめくんじゃないかと心配になるくらいドキドキだ。
屋敷に着くとかなり大きい。
アーノルド家より大きいかもしれない。
それだけ力があるということだろうか。
『さぁ、これで誰も邪魔をする者はいないわ! 決闘よ!』
「えぇ! かかってきなさい!」
『では、私が見届け人と言うことでよろしいですかな?』
「『いいわ!』」
『では、今回は三番勝負としましょう。先に二回勝った方の勝ちです』
どんな勝負になるのかちょっと楽しみだな。
だが、ミリアに勝ってもらわないと困るんだけどなぁ。
俺はスケルトンと一緒になる気はサラサラ無いわけで……。
『それでは、最初の勝負はシンプルに腕相撲にしましょう!』
爺やが宣言したのを合図に小さな二人で囲むことが出来るぐらいのテーブル運ばれてきた。
それがなんと高級そうなガラス製なのだ。
それ絶対腕相撲やる様なテーブルじゃないって!
そう叫びたい衝動に駆られるがここで邪魔をする訳にはいかない。
ミリアとトウカお嬢様はもう決闘モードに入っていてこちらは眼中に無いようだ。
二人で睨み合っている。
なにやら二人の背後から炎が見えてきそうなくらいの気迫。
あらやだ。そんなにこの骨を取り合っちゃって。僕困っちゃう。
何かを察したのか二人がこちらをギロリと睨みつけてくる。
あっ、はい。巫山戯てすんません!
ビシィっと直立に立つと爺やから合図が出た。
『それでは、両者組み合ってください!』
肘をガラス製のテーブルにつけ、二人で手をガッチリ組む。
何やらもうバトルは始まっているようでプルプルと両者の手が震えている。
『それでは、始め!』
こうして、骨の運命をかけた戦いが始まったのであった。
『トウカ様! 決闘なんて何事でございますか!? お止め下さい!』
『爺や! 私の言うことに文句があるんですの!? フンッ! ナイル様を手に入れるためですわ!』
『そのように婚約者を力ずくで手に入れていったい何になるんです? この方達を引き離してまでしてやる事ですか?』
その諭すような言葉で、爺やはなんとかお嬢様を落ち着かせようとしている。
お嬢様は下を俯いて口ごもってしまった。
この貴族の人達は貴族とはなんたるか。という考えを自分たちで持っている人達なのだろうな。そう感じた。
「その決闘受けて立つわ!」
腰に手を当てて胸を張りトウカを指さしてそう宣言した。
でたよ。せっかく話が纏まりかけてたのにややこしい話になるじゃないか。
『ミリア?』
「いいからナイルは黙って! これはそこのお嬢様と私の間の話よ! そうでしょ!? そこの爺やも黙ってて!」
ミリアは爺やと呼ばれた執事までもそんな扱いをしてしまう。
爺やは表情は分からないがなんだか凄く嬉しそうな優しい雰囲気で下がって後ろに控えた。
任せてくれるってことだろうか。
ミリアはこういう時に完全に自分のペースに人を巻き込んでいく人だ。
それは良い時と悪い時があると思う。
今回は相手が多分子供のスケルトン。
だから、こういう対応の方がもしかしたらお嬢様は嬉しいのかもしれない。
『言ったわね!? 逃げないでよ!?』
「逃げないわ! なんだってやってやるわよ!」
『貧弱な人族には力比べで勝負よ!』
人族の人達は筋肉をつけないと重いものを持ったり、力を発揮したりは出来ないだろう。
だが、俺たちのような魔力で運用されている生き物は違う。
魔力の質、量で決まる。
勿論、人族も身体強化をすれば力を発揮出来る訳だが。
俺達のような魔族と呼ばれる者の身体は魔力伝導率が全然違うのだ。
人族の身体は魔力で出来ているわけではない。皆さんご存知の通り血と肉と骨と神経等でできている。
魔族は何で出来ているのか。
魔物の生まれる過程を思い出して欲しい。
魔力と魔力が混じりあって体を整形するのだ。
ということは、魔力でできていると言っても過言ではないだろう。
こうした身体のつくりの関係もあって人族は弱いとされている。
魔族は魔力で力を発揮し、獣人達は発達した筋肉で力を発揮する。
中途半端な人族は弱い。
そういう共通認識になるわけなのだ。
「望むところよ!」
自信満々のミリアだが、何か勝ち目があってそう言っているのだろうか。
『ここではなんだから、家に行きましょう?』
「えっ? 家?」
『ここは往来の場ですので。助けていただいたお礼もしたいですし、是非ハッコツ家においで下さい』
プッ。危ない危ない。
吹き出すところだったよ。
まさかスケルトン族の家名がハッコツだったとはまんま過ぎて面白い。
何か転生者の思惑とかがはたらいているんでは無いかと思ってしまうな。
『あっ、あぁ。では行こうか』
俺はなんとか笑うのを堪えて案内に従って歩いていく。
道中気になったことをミリアに聞いてみた。
『なぁ、ミリア? なんでそんなに自信満々なんだ?』
「決まってるじゃない! あんなほっそい子になんか負けないわよ!」
まさかの見た目重視の自信だった。
『あのな、それで言ったら俺も弱いわけじゃん? でも、自分で言うのもなんだけどドラゴンには負けないくらい強いわけだよな?』
「まぁ、そうね。ナイルだからね」
『でもさ、その理屈だと見た目関係ないだろ?』
「それはそうだけど大丈夫よ! 今の私はねぇ、そんなに弱くないんだ! 見た目に反してね!」
そのウインクはまた俺の胸をドキドキさせる。
胸の炎が動揺で揺らめくんじゃないかと心配になるくらいドキドキだ。
屋敷に着くとかなり大きい。
アーノルド家より大きいかもしれない。
それだけ力があるということだろうか。
『さぁ、これで誰も邪魔をする者はいないわ! 決闘よ!』
「えぇ! かかってきなさい!」
『では、私が見届け人と言うことでよろしいですかな?』
「『いいわ!』」
『では、今回は三番勝負としましょう。先に二回勝った方の勝ちです』
どんな勝負になるのかちょっと楽しみだな。
だが、ミリアに勝ってもらわないと困るんだけどなぁ。
俺はスケルトンと一緒になる気はサラサラ無いわけで……。
『それでは、最初の勝負はシンプルに腕相撲にしましょう!』
爺やが宣言したのを合図に小さな二人で囲むことが出来るぐらいのテーブル運ばれてきた。
それがなんと高級そうなガラス製なのだ。
それ絶対腕相撲やる様なテーブルじゃないって!
そう叫びたい衝動に駆られるがここで邪魔をする訳にはいかない。
ミリアとトウカお嬢様はもう決闘モードに入っていてこちらは眼中に無いようだ。
二人で睨み合っている。
なにやら二人の背後から炎が見えてきそうなくらいの気迫。
あらやだ。そんなにこの骨を取り合っちゃって。僕困っちゃう。
何かを察したのか二人がこちらをギロリと睨みつけてくる。
あっ、はい。巫山戯てすんません!
ビシィっと直立に立つと爺やから合図が出た。
『それでは、両者組み合ってください!』
肘をガラス製のテーブルにつけ、二人で手をガッチリ組む。
何やらもうバトルは始まっているようでプルプルと両者の手が震えている。
『それでは、始め!』
こうして、骨の運命をかけた戦いが始まったのであった。
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